NYタイムズが人気ポッドキャスト制作スタジオSerialを約27億円で買収

オーディオプロダクション業界にさらに進出するために、The New York Times(ニューヨーク・タイムズ)は両親世代なら絶対に聞いたことのあるポッドキャスティング会社を買収した。同社は米国時間7月22日の夜、非常に人気の高い同名の番組を放送しているSerial Productionsの買収に合意したことを明らかにした。

同社が後に報じたこの契約約2500万ドル(約27億円)の価値がある(The New York Times記事)とされ、2017年初頭から「The Daily」を制作してきたのと同じ部署にポッドキャストが加わることなる。「Serial」のクリエイターであるJulie Synder(ジュリー・シンダー)氏とSarah Koenig(サラ・ケーニッヒ)氏は、それぞれSerial Productionsのエグゼクティブ・エディターとエグゼクティブ・プロデューサーとして、ニューヨーク・タイムズのスタッフとなる。

この買収により長年愛されてきたPRXの番組「This American Life」も、ニューヨーク・タイムズと提携することになる。Ira Glass(アイラ・グラス)がホストを務めるラジオ番組は、ポッドキャスト初の「Serial」の出発点としての役割を果たしており、このポッドキャストと同様に、この番組のリスナー層とニューヨーク・タイムズの読者層の間にはかなりの重複があることは間違いない。コンテンツとトーンという視点では、これ以上の買収はなかっただろう。

今回の買収はニューヨーク・タイムズによるAudmの買収に続くもので、同社は長編の記事からオーディオコンテンツを作る新興企業だ。買収されたAudmは、独占配信権を購入するために大金をつぎ込んできたSpotify(スポティファイ)と対峙することになるだろう。昨年、SpotifyはGimletとAnchorを合わせて3億4000万ドル(約360億円)(未訳記事)で買収し、最近では物議を醸したJoe Rogan Experienceの独占権を獲得(未訳記事)した。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

The New York Timesがガジェット系メディアのThe Wirecutterを買収

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The New York TimesがThe Wirecutterとその姉妹メディアのThe Sweethomeを買収したことを発表した。

The Wirecutterは元Gizmodo編集者のBrian Lamによって創設された。The New York Timesによれば、Brianはこれからも顧問役として当メディアの運営に関わっていくようだ。The New York TimeのBeta開発チームに所属するBen Frenchが臨時のジェネラル・マネージャーとして就任し、編集主任のJacqui Chengとプロダクト・ディレクターのChristopher Mascariはそれぞれ現職を維持する。

TechCrunchの読者であればThe Wirecutterはすでによくご存知のことだろう(私たちは共同で記事を配信したこともある)。しかし、The Wirecutterのことを知らない読者のために説明すると: 当メディアではガジェット紹介記事を提供していて、例えばノートパソコンスタンディング・デスクといったカテゴリーの中で最良のガジェットを見つけられるようになっている。The Sweethomeでもそれは同じだが、違いはThe Sweethomeでは家庭で利用するガジェットにフォーカスしているという点だ。

The New York Times CEOのMark Thompsonは買収を発表したプレスリリースの中で、「この2つの買収が実現したことをとても嬉しく思います」とコメントしている。「この2つのメディアは魅力的な収益モデルをもつ素晴らしいビジネスです。そして、正確に情報を伝えることを大切にする彼らの素晴らしいジャーナリズムこそが、彼らの成功の礎なのです」。

今回の買収費用はすべて現金で清算されたということを除いて、The New York Timesは買収金額について言及していない。しかし、Recodeの記者であるPeter Kafkaによれば(この買収のニュースを公表した人物)、今回の買収金額は3000万ドル以上になるとのこと。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

中国、上海自由貿易区でFacebookを解禁。しかしインターネットの自由への弾圧は続く

中国政府は、上海の自由貿易区において、一部の禁止ウェブサイトへのアクセスを許可する見込みであるとSouth China Morning Post(SCMP)が報じた。匿名政府筋の情報による。対象サイトはFacebook、Twitter、およびNew York Times。本誌はこの3社にメールで確認を求めている。FacebookのCOO、Sheryl Sandbergは、最近の訪中で北京の国務院情報局を訪れているが、目的は彼女の著作『Lean In』中国語版のプロモーションだったと語った。あの会談が、自由貿易区でのFacebook禁止解除に関係しているかどうかは不明だ。

FacebookとTwitterは2009年以来中国本土で禁止されているが、多くの人々はVPNやプロキシサーバーを使い、金盾工程と呼ばれる政府のインターネット検閲プログラムによる万里のファイアーウォールを破ってサイトにアクセスしている。Tech In Asiaによると、成都市が主催したFortune Global Forum 2013カンファレンスでは、VPNが設定されていた他、多くの一流ホテルや香港企業所有のオフィスタワーも同様であるという。New York Timesは2012年10月に、温家宝元首相一族の蓄財を批判した後禁止された(本件は中国人ハッカーによる同社サーバーへの連続攻撃も誘発した)。

2013年7月に発表された上海自由貿易区は、同国における経済および金融再編のテストケースとして中国政府が設立した。またSCMPは、地区当局は、地域内でインターネットサービスを提供するライセンスの入札を国外企業から受け入れるとも報じている。自由貿易区の面積は現在28.78平方キロメートルだが、最終的には現在500万人の人口を持つ浦東地区全体に拡大する予定だ。これは落札企業が、中国の三大キャリアーでいずれも国営企業であるChina Mobile、China UnicomおよびChina Telecomらと競合することを意味している。

Facebook、Twiiter、およびNew York Timesのサイト解禁は、李克強首相が承認したもので、上海自由貿易区に対する海外投資家の興味をかき立て、移住者にとっての魅力を高める取り組みの一環であると報じられている。ただしこれは、中国政府のソーシャルメディアに対する自由化姿勢を表すものではない。現在中国共産党によるインターネット弾圧は最高潮に達している。ここ数ヵ月間に同党は、Sina Weiboで1200万人のフォロワーに対して政治的投稿を繰り返していた中国系アメリカ人起業家、Charles Xsuを拘束し、不動産業界の大物で著名マイクロブロガーのPan Shiyiには、ソーシャルメディアの危険性に関するテレビインタビューを強要したとされている。.

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)