【現在は復旧】米国からの追放が検討される中でTikTokの「いいね」数と再生回数に異常

TikTokの「いいね」の数と再生回数が米国時間7月9日の午後、人数不明の一部ユーザーで異常を示した。該当ユーザーは自分のものもほかのユーザーのものも含めてTikTok投稿の「いいね」数が「ゼロ」になり、再生回数も「ゼロ」になった。同社は問題を認めたうえで修正中であると言ったが、問題の原因は説明しなかった。

TikTokのTwitterサポート・アカウントは、米国東部標準時午後2時43分(日本時間7月10日午前4時43分)に問題について返信して、至急修正すると語った後、午後3時35分(日本時間7月10日午前5時35分)に修正作業が進行中であることを投稿した。問題は内部で解決し、まもなく表示は正常に戻ると同社は語った。

一般にこの種のバグはさほど大きな問題にならない。そもそもオンラインアプリはときどき壊れるものだからだ。しかしTokTokの問題は、中国とのつながりが米国で非難を浴びている最中に起きた。

今週、Mike Pompeo(マイク・ポンペオ)国務長官の声明から米国が TikTokをはじめとする中国製ソーシャルメディアアプリの禁止を検討しているというニュースが浮上した。すでにインドではTikTokをはじめ58本の中国製アプリが同様の理由で禁止されている

米国時間7月9日、The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)は、TikTokの親会社であるByteDanceの経営陣がTikTokの企業体制の変更を検討中であり、TokTokを中国から遠ざけ、アプリが中国当局に侵入される可能性を防ぐために本社を中国以外に置くことも視野に入れていると報じた。この種の議論がなされたのは初めてではない(CNCB記事)。

その意味で、本日の「いいね」数を巡る問題を禁止の前兆だと見るユーザーもいた。しかしそれは当たらない。何人かのユーザーが、TikTokはアルゴリズムに何らかの変更を加えたという説を唱えている。それは、いいねの数が戻ったあとも「For You」ページが、ユーザーの興味を反映していないからだという。しかし、現時点でそれを検証するのは不可能だ。

しかし米国でTikTok廃止というニュースは、TikTokコミュニティーを心配させている。このためすでに一部のユーザーは、Byte、Dubsmash、Likeeなどの米国製アプリに逃げ始めている。たとえばByteは、米国App Storeのソーシャルネットワーク部門で210位だったが、7月5日に同部門1位となり、9日にはアプリ全体のトップになった。Z世代が中心のTikTokユーザーの集団脱出のおかげだ。

【アップデート】米国東部時間午後8時49分(日本時間7月10日午前10時49分)、TikTokは問題が解決したと伝えた。

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

各国政府からTikTokへのユーザーデータ要求は今年上半期だけで500件

昨年後半にTikTokの親会社ByteDance(バイトダンス)は、各国政府からのユーザーデータ要求件数と、要求に応じた件数の詳細を公開する多数の米国テック企業の仲間入りを果たした。この動きは、TikTokの中国とのつながりについての懸念と、TikTokは繰り返し否定しているが、米国の国家安全にとって脅威になるという非難が渦巻く中、同社に対するかなり懐疑的な見方に対応するものだ。

米国7月9日に公開された同社2回目となる最新の透明性レポートの中で、TikTokは各国政府から今年上半期に緊急リクエストも含め計500件の法的な要求を受けたことを明らかにした。この数字は前年同期比67%増だ。

TikTokはまた、コンテンツ削除の要求を45カ国の政府から受けた。最も要求が多かったインドは、今月初めに安全保障上の懸念を理由に同国でTikTokを禁止した。

しかしこのレポートで目を引くのは、TikTokは利用できないものの親会社のByteDanceが本社を置いている中国についての記載がないことだ。これはそう珍しいことではない。Facebook(フェイスブック)、そしてTwitter(ツイッター)も中国では利用できず、両社とも中国政府から要求を受けたり、要求に応じたりしたことはない。その代わり、ByteDanceは中国本土のユーザー向けに別のビデオアプリDouyinを展開している。

TikTokの広報担当であるHilary McQuaide(ヒラリー・マクキード)氏は「当社は中国政府にユーザーデータを提供したことはなく、もし要求があっても提供はしない」とTechCrunchに語った。「中国政府からの要求でコンテンツを削除したりしないし、削除したこともない。要求されても削除しないだろう」とも述べた。

しかし米国テック業界における透明性確保の動きと一致した同社の取り組みは、議員を含め同社を批判する人々が長らく抱いている恐れを抑制することにはならなさそうだ。議員たちは昨年、米国当局に同社を調査するよう求めた。

TikTokは引き続き、同社が脅威ではなく米国に深く根差していると主張している。今週初め、同社は中国政府が新安全維持法を施行したことを受けて香港から撤退すると発表した。

画像クレジット: Lionel Bonaventure / AFP

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(翻訳:Mizoguchi

TikTok禁止のインドでフェイスブックがショートビデオのInstagram Reelsをテスト開始

インド政府がプライバシー上の懸念を理由にTikTokを始め数十種類の中国製アプリを禁止する中、Facebook(フェイスブック)グループのInstagramはショートビデオアプリのReelsをインドでテストすると発表した。ReelsはTikTokのライバルとなるショートビデオでフェイスブックはカバー地域拡大に乗り出していた。

なお、インドのTikTok禁止直後、フェイスブックは本体とは別のスタンドアローンのTikTokクローンであるLassoを7月10日に終了すると発表している(未訳記事)。

Instagram Reelsはまずブラジル、ついでフランスとドイツでテストが行われているが、Instagramの広報担当者はカバー地域をさらに拡大する可能性があると述べた。ただし詳細は明らかにしていない。

インド版のBusiness InsiderはInstagram Reelsが「匿名の情報源」によるものとしてインドにやって来る可能性を報じた。ただし正式公開ではなくあくまで「テスト」だという。

TechCrunchがインドへの拡大に関してInstagramに取材したところ、広報担当者は「Reelsをアップデートし、多数の国でスタートさせる計画はある。Reelsはクリエイティブな自己表現であり、眺めるだけでも楽しい優れたメディアだ」と述べた。

スタンドアローンアプリだったLassoとは違って、ReelsはInstagramの一部としてデザインされている。 このアプリはTikTokと非常によく似ており、音楽や音声つきで15秒のビデオを作成して投稿できる。またReelsにはカウントダウンタイマーやビデオの再生速度を調整するなど一連のツールが提供されるのもTikTok同様だ。これによってクリエイティブなコンテンツの提供が容易になる。しかしInstagram Reelsには全体と個人向けオススメの2つのタブをもち、スクロール可能なフィードはない。 Reelsではコンテンツ全体が表示される。

2019年にブラジルでReelsがリリースされた後、Instagramはユーザーフィードバックを取り入れて機能のアップデートを行った。例えばユーザーはお気に入りのビデオクリップをまとめたり、他のユーザーがまとめたお気に入りを見たりできたらいいと要望した。そこでReelsはInstagramのユーザープロフィールに専用スペースを割り当ててInstagramが公開アカウントである場合、他のユーザーが検索できるようにした。

これによりReelsユーザーのアカウントをフォローしていないInstagramユーザーでもReelsクリップが表示されることになり、バイラルに拡散される可能性を得た(当初ReelsはInstagramストーリーでしか利用できず、これが制限となっていた)。

Reelsがインドで公開されるのは非常にタイムリーだ。 フェイスブックは2020年6月にインドの大手音楽レーベルであるSaregamaと世界を対象とする契約を結んだことを発表している(未訳記事)。つまりユーザーはフェイスブック本体とInstagramの双方で動画その他の投稿にSaregamaのライセンスを得て音楽を使えるようになる。

フェイスブックはまたインドの他の有力レーベルであるYash Raj Films、Zee Music Company、T-Seriesなどと契約を結んでいる。またSaregamaは10万曲以上のインド音楽を持っているだけでなく、ボリウッドと呼ばれるインド映画のサウンドトラックに加えガザール、インディポップなど人気のコンテンツを幅広くカバーしている。こうした点を考えると、Saregamaとの契約はReelsがインドでメジャーな存在となる道を開いたに違いない。

いずれにせよTikTok禁止という政府の決定と同時にインドにやってきたのはReelsにとって絶妙のタイミングだった。

インドが中国アプリを禁止したことにより、TikTokは最大の海外市場を失った。InstagramにとってReelsによって急増したショートビデオのユーザーを獲得する絶好のチャンスが生まれたわけだ。禁止前TikTokはインドに2億人以上のユーザーを抱えていた。北京に本社を置くTikTokにとって大損失だ。

しかしInstagramに手強いライバルが現れている。Reutersの報道によれば、インドのビデオ共有アプリであるRoposo、Chingari、Mitronなどの人気も急上昇している。特にRoposoはインド政府がTikTokを禁止した後の2日間で2200万人のユーザーを獲得している。

Instagramは、Reelsが米国など世界の他の大市場をいつカバーするようになるか明らかにしていない。

アップデート(東部時間7月6日13:30) : インドにおけるReelsは正式公開ではなくテストのスタート

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

YouTubeがTikTokに照準、15秒のマルチセグメント動画をテスト中

YouTubeはTikTokに直接狙いを定めているようだ。米国時間6月26日、ユーザーが15秒のマルチセグメントビデオを録画できるようにするモバイルの新機能のテストを開始することを発表(YouTube Help Community投稿)した。これはTikTokのデフォルト設定の時間で、InstagramがTikTokを真似たReelsで設定されているものと同じ長さでもある。

同社によるとこのテストでは、モバイルアップロードフローに「動画を作成する」というオプションが表示されるとのことだ。

TikTokと同様に、ユーザーは録画ボタンをタップ、長押ししてクリップを録画する仕組みだ。次にもう一度タップするか、ボタンを離して録画を停止する。このプロセスは15秒相当のビデオ映像が出来上がるまで繰り返される。録画が完了するとYouTubeがクリップを結合し、1つのビデオとしてアップロードする。つまり、TikTokと同じである。

この機能の導入により、15秒を超えるモバイル動画コンテンツをYouTubeアプリ自体で録画することは不可能となる。15秒以上の動画を投稿するには、スマートフォンのカメラアプリなどで長い動画を録画後、YouTubeにアップロードする必要がある。

YouTubeはこのテストに関するその他の詳細を明かしていない。例えば、フィルター、エフェクト、音楽、AR、ビデオ速度を変更するボタンなど、短編動画のワークフローに関連するコントロールや機能が今後含まれていくのかは不明となっている。こういった機能は単にビデオの長さやマルチセグメントの録画スタイルというわけでなく、現在のTikTok動画を築き上げた重要なツールだ。それでも、YouTubeがTikTokによって普及した短いビデオ形式を視野に入れているという事実は注目に値する。

YouTubeが競合他社の機能セットを真似してライバルに対抗したのはこれが初めてではない。同社は2017年、動画の作成と共有をより簡単に行えるようにするためInstagram Storiesに匹敵するような機能を立ち上げた(未訳記事)。

しかし、このYouTube StoriesはTikTokユーザーを満足させることはできないだろう。TikTokは振付や準備したパフォーマンスを重視したコンテンツであり、パーソナルな動画ブログとは異なるものだからだ。これには別のワークフローとツールセットが必要となる。

YouTubeは、このテスト中の動画がStoriesとしてアップロードされないということは言及しているが、これら15秒の動画がYouTubeアプリでどのように見つけられるかについての詳細は明らかにしていない。

YouTubeのテストに関するこの最新ニュースは、今週開催されたIABのNewFrontsカンファレンスでTikTokが広告主に向けて行なった大々的な発表の直前に届いたものだ。TikTokは米国時間6月26日、TikTokアプリでのビジネスを検討しているブランドやマーケターを対象とした新しいプラットフォームであるTikTok For Businessをローンチ(未訳記事)した。広告主は、新サイトからTikTokの広告サービスについて学び、キャンペーンを作成およびトラッキングし、eラーニングに参加することができる。

YouTubeによると、この新しい動画テストはiOSとAndroidの両方で少数のクリエイターグループを対象に実施されている。同社の広報担当者は、このテストは短編ビデオに関して同社が実施した複数のテストの1つであると述べている。

「YouTubeは常に、求められている動画をユーザーがより簡単に見つけ、視聴し、共有し、交流することができるようにする方法を考案しています。ユーザーが短い動画を見つけたり作成したりするための様々なツールを現在テスト中です」とYouTubeの広報担当者は説明する。「これはYouTubeで常時実行している多くのテストの1つであり、テストへのフィードバックに基づいて、機能を今後より広く展開することを検討していきます」。

関連記事:グーグルがAI利用のスマート返信をYouTubeに導入、今後多国語展開も

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タグ:YouTube 動画配信 TikTok

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(翻訳:Dragonfly)

TikTokが「レコメンド」フィードの仕組みを公開、イメージアップ作戦か

ショート動画アプリTikTok(ティックトック)を開くと、ユーザーの好みに合わせて選ばれた一連の人気動画を次々に再生できるフィードが画面に現れる。そのため、例えばあなたの友人が自分の端末でTik Tokを起動すると、あなたとは違う動画フィードが表示される。起動時に再生されるこのメインコンテンツは個々のユーザーに合わせてパーソナライズされているため、TikTokはこれを「For You(レコメンド)」フィードと呼んでいる。これまで謎に包まれていたこのレコメンデーションシステムの仕組みがついに明らかにされた。TikTokがレコメンドフィードの選定に使われている要素は何か、ユーザーごとにそれぞれの要素の重み付けをどのように変えるのか、詳細を公表したのだ

TikTokはまた、いつも同じような動画ばかり表示されるようになる「フィルターバブル」の形成を回避するために講じている対策についても説明している。

多くのレコメンデーションシステムと同じく、TikTokのレコメンドフィードもユーザーからのインプットに基づいている。

ユーザーが「いいね」したり共有したりした動画、フォロー中のアカウント、投稿したコメント、作成したコンテンツなどに基づいてユーザーの好みを自動で判別しているのだ。さらに、キャプション、サウンド、気に入ったコンテンツに関連付けられたハッシュタグなどの動画情報も判別に使われている。

また、それほど重視はされないものの、端末とアカウント設定に関する情報(言語、国、デバイスの種類など)も判別要素になる。ただし、TikTokのレコメンデーションシステムでは、この種の情報は他社ほど重視していないという。同システムのパフォーマンス最適化に、より力を入れているためだ。

TikTokがユーザーの好みを判別するために参考にしているシグナル、いわば手がかりは他にもある。例えば、長い動画を最初から最後まで見ると、ユーザーはその内容に強い関心を持っているとみなされる。このようなシグナルは、「動画の視聴者と投稿者の出身国が同じ」というようなシグナルよりも重視される。

TikTokはまた、フォロワーの多いアカウントによって投稿された動画は再生回数も多くなる可能性が高いことを確認している。単純に視聴者層が厚いためだ。その上で、フォロワーの数が多いことや、そのアカウントが過去に再生回数の多い動画を投稿したかどうかという点は、TikTokのレコメンデーションシステムでは直接的な決め手にはならない、と同社は説明している。

つまり、再生回数の多いTikTokのトップユーザー、すなわちcharli d’amelio、addison rae、Zach King、Loren Gray、Riyaz、Spencer X、BabyArielといった人気アカウントが、フォロー中のユーザーを含むすべてのユーザーのレコメンドに表示される保証はないということのようだ。

TikTokをしばらく使っていると、レコメンデーションシステムはユーザーの好みや関心事の変化に合わせるようになる。新しいアカウントをフォローし始めたことや「Discover(トレンド)」タブでハッシュタグ、楽曲、エフェクト、トレンドトピックを検索したことなどもシステムで認識される。これらすべてによって、TikTokのエクスペリエンスがパーソナライズされていく。

また、動画を長押しして「Add to Favorites(セーブする)」あるいは「Not interested(興味ありません)」をタップし、TikTokに対して明示的に好き嫌いを示すこともできる。

ユーザーによるインプットとシグナルに基づいてレコメンデーションを行うアプリはどれもそうだが、TikTokもコールドスタート問題を克服する方法を見つける必要がある。アプリが初めて起動された時点では、ユーザーの趣味や嗜好に合うコンテンツについての情報が何もない。この問題に対処するため、TikTokでは、新規ユーザーに興味があるカテゴリ(ペットや旅行など)を選択してもらい、初期のレコメンデーションに使用する。このカテゴリ選択をスキップしたユーザーについては、ある程度のユーザー入力が蓄積されるまで一般的な人気動画を表示する。「いいね」、コメント、再生などについて、ユーザーが初回の操作を一通り完了すると、いよいよTikTokが最初の「レコメンド」フィードを開始する。

ユーザーの個人的な好みに合わせすぎると、いわゆるフィルターバブルの状態となり、エクスペリエンスが制限されてしまう可能性があるが、TikTokは、この点も理解しているという。フィルターバブルの状態になると、「毎回同じような動画ばかり表示されるようになる」が、この問題については真剣に取り組んでいる、とTikTokは説明している。

数年前にVICE(ヴァイス)に掲載された記事で、TikTokはこの問題をまだ克服していないと指摘された。この記事によると、ある記者が白人至上主義者のコンテンツを表示するようTikTokをトレーニングしたという。具体的には、特定のクリエイターをフォローし、関連するハッシュタグを検索し、白人至上主義者という「関心事」に一致する動画のみに「いいね」するといった操作を行った。その結果、実験に使われたTikTokアプリの画面は白人至上主義者の動画一色に染まってしまったのだが、これは単なるモデレーション機能の問題ではなかった。熱心なユーザーがその気になれば、TikTokに細工をしてヘイトコンテンツであふれさせてしまうことも可能であることを示唆していたのだ。

TikTokは現在、ユーザーのレコメンドページを多様性のある新鮮な状態に保つ方法の実現に取り組んでいるという。つまり、反復コンテンツ、重複コンテンツ、以前視聴したコンテンツやスパムはレコメンドに表示されないということだ。これは同時に、同じクリエイターの動画や同じ楽曲を使った動画を連続して視聴しないよう気をつける必要があるということを意味している。TikTokでは安全上の理由から、人によってはショッキングな内容だと感じる動画をレコメンド表示しないようになっている。手術の動画や規制対象品を消費する(合法であっても)動画などだ。

さらに、ユーザーが興味を示しているカテゴリから外れるような動画や膨大な数の「いいね」を集めている動画がレコメンドフィードにときどき追加されることもあるという。これは多様性を向上させるためにTikTokが行っている試みの1つで、新しいコンテンツカテゴリやクリエイターに出会うチャンスを提供して、ユーザーに「新たな視点やアイデアを体験してもらう」ことがねらいだという。

これは、Facebook(フェイスブック)、 Instagram(インスタグラム)、YouTube(ユーチューブ)もうまく対応できていない問題だ。これら大手プラットフォームのアルゴリズムは多くの場合、以前に「いいね」したのと同じ類いの動画を目立たせるようになっており、時には徐々により過激的な見方に触れるように促すことさえある。まるで自分の声の反響音しか聞こえない部屋に閉じ込められているような状態だ。

この点がパーソナライズ機能の弱点だということは、TikTokも認識しているという。

TikTokはあるブログ投稿の中で、「趣向の異なる動画をときどきレコメンド表示することは、より広範な視聴者の間で人気のある動画がどれなのかをシステムがより正確に把握し、他のユーザーに素晴らしいエクスペリエンスを提供するのに役立つ。当社の目的は、ユーザーが興味を持つコンテンツを提供するのと同時に、(TikTokでレコメンドされなければ)味わえなかったであろう体験をさせてくれるコンテンツやクリエイターと出会えるようにすることだ」と語っている。

ちょうど今、米国とEUの規制当局が米国の大手テック企業に対し独占禁止法違反の疑いで捜査を進めており、特にTikTokは中国との関係について米国議会で審査されているという、まさにこの時期に、TikTokはレコメンデーションアルゴリズムを公開した。インドでもここ数週間、国境問題のせいでTikTokとその他の中国製アプリが攻撃の的になっており、一部のインド政府当局者がTikTokのブロックを要求するという事態がおきたばかりだ。

TikTokはこれまで、米国が持つ同社へのマイナスイメージを変えようと着実な取り組みを進めてきた。具体的には、Content Advisory Council(コンテンツ諮問委員会)を設立し、ロサンゼルスにTikTok Transparency Center(TikTok・トランスペアレンシー・センター)というラボを開設した。このラボでは、社外の専門家がTikTokのソースコードの閲覧や、TikTokのモデレーション機能が実際に動いているところを見学することが可能だ。

関連記事:インド政府による禁止措置を受けてTikTokがインドでアクセス不可に

カテゴリー:ネットサービス

タグ:TikTok 動画配信

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(翻訳:Dragonfly)

インド政府による禁止措置を受けてTikTokがインドでアクセス不可に

インド政府がセキュリティとプライバシーの懸念を理由に、人気のショートビデオアプリTikTokやその他の58のアプリを世界で2番目に大きいインドのインターネットマーケットで禁止したことを受け、ユーザーがTikTokにアクセスするのをブロックするインターネットサービスプロバイダーが増えている。

AirtelやVodafone、その他のサービスプロバイダーの多くのユーザーが、インド時間6月30日午後に「スマホからTikTokアプリにアクセスできない」と報告した。ユーザーがいうには、TikTokアプリを開くと「インターネットにつながっていない」と表示された。(アップデート:インターネットサービスプロバイダーは、自分たちがTikTokをブロックしているのではなく、アプリそのものがインドでアクセスできなくなっていると述べた。インドの電気通信局はインターネットサービスプロバイダーに「すぐさま」TikTokをブロックするよう命じていた[ETTelecom.com記事])。

TikTokアプリを開くと、このアプリはインド政府の命令に従ってサービスを提供できないというメッセージが表示される。インドでTikTokのウェブサイトを開くと、同様のメッセージが出てくる。

6月30日にインドのApple(アップル)のApp StoreとGoogle(グーグル)のPlay StoreでTikTokアプリをダウンロードできなくなった。この件に詳しい2人の人物がTechCrunchに語ったところによると、TikTokを開発したByteDanceが自らアプリをストアから引っ込めたという。

Alibaba GroupのUC BrowserとUC News、eコマースサービスのClub Factoryなどを含め、インド政府が6月29日夜に禁止した他のアプリのほとんどがまだアプリストアでダウンロードできる。これはグーグルとアップルがまだインド政府の決定に従っていないことをうかがわせる。

インドに2億人超のユーザーを抱えるTikTokは、アジアで3番目に大きな経済のインドを、同社にとって最大の海外マーケットととらえている。インドにおけるTikTokのオペレーションを監督するNikhil Gandhi(ニクヒル・ガンディー)氏は、同社がインド政府の命令に従っている「最中」であり、インド政府の懸念を和らげるために議員たちに協力したいと話した。

モバイル調査会社のSensor Towerによると、TikTokアプリはグローバルで約20億回インストールされ、そのうちインドでのダウンロードは6億1100万回だ。2020年6月末までの四半期でインド政府が禁止を命じた59アプリは計3億3000万回インストールされた。これらのアプリの2020年5月におけるマンスリーアクティブユーザーベースは、App Annieの幹部がTechCrunchに示したデータによると計5億500万人だった。

人口13億人の半分近くがネットを使用する世界第2位のインターネットマーケットであるインドがこれほど多くの外国アプリの禁止を命じたのは初めてのことだ。インド政府は「多くの『治安問題に影響を与えるデータセキュリティとプライバシーの流出について市民からの抗議』がコンピューター緊急対応チームに寄せられていた。こうしたデータの編集では、インドの国家安全と防衛にとって敵対的な要素を持ってマイニングとプロファイリングが行われている」と述べた。

今回の驚くべき発表は、インド政府がこれらのサービスをどのように「禁止」するのか混乱を生じさせた。しかしそれは現在、明らかになりつつある。

TikTokは2019年にインドで1週間禁止されたが、すでにアプリをダウンロードしていたユーザーは利用できた。その際、裁判所に提出した書類の中で、1日あたり50万ドル(約5400万円)失っていると述べた。ロイターは6月30日、ByteDanceがTikTokをさらに浸透させるためにインドに10億ドル(約1080億円)を投資する計画だったと報じたが、今となってはその計画は立ち消えたようだ。

中国外務省の報道官であるZhao Lijian(趙立堅)氏は6月30日の記者会見で、中国はインドの動きを懸念しており、インドは「中国の投資家を含め海外の投資家の法律上の権利を維持する責任を負う」と述べた。

画像クレジット:Costfoto / Barcroft Media / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

米国、英国、スペインの子どもたちは、YouTubeと同じ程度の時間をTikTokで過ごしている

子どもに関するアプリの使われ方や習慣を調べた最新の調査では、YouTubeの圧倒的な優位性に大きな脅威が迫っていることが判明した。子どもたちはグーグルのオンラインビデオプラットフォーム(YouTube)と、TikTokなど他のアプリやNetflix、ならびにRoblox(ロブロックス)といったモバイルゲームで時間を使い分けるようになっている。現在4歳~15歳の子どもは毎日平均85分間YouTubeビデオを鑑賞しており、TikTokで過ごす時間は毎日平均80分に達している。同調査によると、TikTokが子どものソーシャルアプリ使用を引き上げ、成長率は2019年で100%、2020年で200%に達している。

デジタル安全性アプリの開発元、Qustodio(クストディオ)が発表した年次報告で使われたデータは、米国、英国、スペイン在住の4歳~14歳の子どもを持つ6万世帯の情報を元にしている。そのため、世界的なトレンドを反映したものではない。この調査は2019年2月から2020年4月にかけた子どもたちのオンライン行動を対象としている。新型コロナウイルス危機を考慮に入れ、4つの主要なアプリカテゴリ(オンラインビデオ、ソーシャルメディア、ビデオゲーム、教育)に焦点を当てた。

同調査によると、子どもたちが最も頻繁に利用するアプリにYouTubeが当然のごとく数えられている。

子どもたちは、4年前と比べて2倍の量のビデオを鑑賞するようになっている。YouTubeの公式アプリは13歳以上を対象としているが、それでもこの結果が得られた。これまで徹底されていない年齢制限に対して、YouTubeは2019年にFTC(連邦取引委員会)から米国の子どもに対するプライバシー規制違反を理由に、前例のない1億7000万ドルの罰金を課されている

YouTubeアプリは現在、米国の子どもの69%、英国の子どもの74%、スペインの子どもの88%に利用されている。より低年齢の子どもに向けたアプリのYouTube Kids(YouTubeキッズ)は、米国の子どものわずか7%、英国の子どもの10%でしか使用されておらず、スペインに至っては統計に値しない程度の数字でしかない。

オンラインビデオで第2位となるのはNetflixであり、米国の子どもの33%、英国の29%、スペインの28%が視聴している。

2020年初頭、米国の子どもたちはYouTubeで1日あたり86分を消費している。これは2019年の88分からわずかに下がっている。英国の子どもたちは1日あたり75分を消費しており、これも2019年の77分からわずかに下落している。スペインでは1日あたり63分となっており、同じく2019年の66分からわずかに下がっている。

予想されたことながら、新型コロナウイルスでロックダウンが続くなか、YouTubeの視聴時間は大きく増加した。例えば、4月中旬の米国では子どもたちがYouTubeに1日あたり99分を費やしている。

YouTubeの合計消費時間が減っている理由には、子どもたちがTikTokを利用する時間が増えていることも一因として挙げられている。YouTube規制の増加および関連収益の減少につれ、クリエイターがグーグルのビデオプラットフォームから中国発のこの短いビデオ専用のアプリに移動する勢いをさらに増せる可能性がある。クリエイターが増えれば、コンテンツが充実し、TikTokの魅力が高まるであろう。

昨年、TikTokはフェイスブックが所有していないアプリでは世界でベスト5に入るダウンロード数を誇り、すべての年齢層にわたって成長を続けている。

2019年5月から2020年2月まで、TikTokで子どもが過ごす平均時間は米国で116%増えて82分となり、英国では97%増えて69分、スペインでは150%増えて60分となった。

2020年2月、米国の子どもの16.5%がTikTokを使用しており、これはインスタグラムの20.4%をわずかに下回っているだけで、スナップチャットの16%をすでに上回っている。英国とスペインではそれぞれ、17.7%と37.7%の子どもがTikTokを使用している。

また、TikTokで過ごす時間はCOVID-19のロックダウン期間中に増加しており、同アプリはYouTubeで費やされる時間よりもほんの数分足りない程度にまで成長している。例えば米国では、COVID-19ロックダウン期間中に子どもがTikTokを使用する平均時間は95分に達しており、YouTubeの97分との差は2分しかない。

オンラインゲームでは、ロブロックスが圧倒的な優位を見せ、米国と英国では、それぞれ54%と51%の子どもがプレイしている。スペインでは、わずか17%にとどまるが、その代わり、スペインの子どもはBrawl Stars(ブロスタ)に熱中している。

同様に、米国の子どもの31%、英国の子どもの23%がマインクラフトを遊んでいるが、スペインではわずか15%だ。

ロブロックスは小さな気晴らしなどではない。子どもたちが画面に集中する時間を占めてきている。

2020年2月では、このゲームだけで1日あたり81分が米国で消費され、英国では76分、スペインでは64分が消費されている。平均すれば、子どもたちは他のビデオゲームアプリよりもロブロックスを約20分長く使用している。(フォートナイトはいい気味だ)

新型コロナウイルスのロックダウン中、ロブロックスで遊んだ子どもはゲームに費やす時間を延ばしており、米国/英国/スペインではそれぞれ、31%/17%/45%の増加率が見られている。ただし、ロックダウンはゲームアプリを使用する子どもの割合を増やしていないことが明らかとなった。

教育アプリ全体は、ロックダウンが始まるまでは、2019年から2020年初頭までほとんど成長していなかった。しかし、調査対象の3つの市場のうち2つでGoogle Classroom(グーグルクラスルーム)が市場を制覇し、スペインの子どもの65%がこのアプリを使用するに至り、米国では50%の子どもが使用しているが、英国ではわずか31%にとどまっている。(英国ではShow My Homework(ショーマイホームワーク)の方が人気があり、ロックダウン期間中に42%へ成長した)

報告では、増加した子どものアプリ使用率は、政府のロックダウンが解除されにつれ多少減少しても、新型コロナウイルスが蔓延する以前のレベルへ戻ることはないであろうと示唆されている。これは、Nielsen(ニールセン)社が本日発表した常時接続のTV利用に関する調査結果とも一致する。この調査でも、政府の規制が解除された後に、コロナ以前のレベルへの落ち込みは見られていない。

クストディオの報告ではこう述べられている。「今では、およそ250億台のデバイスが世界中で相互接続されている。そして、こうしたデバイスの多くが子どもたちに所有されている。」同報告はこう締めくくっている。「今日、米国の子どもは平均して毎日100分近く、YouTubeを鑑賞している。英国の子どもは毎日70分近くもTikTokで過ごし、スペインの子どもはロブロックスで毎日90分以上を費やしている。アプリの使用時間がとっくに増加し始めた世界は、もはや以前の状態に戻ることはないだろう。新型コロナウイルスはそれを加速させただけだ」。

関連記事:TikTokカルト戦争!?急上昇中アプリ「Step Chickens」とTikTokのカルトトレンドについて

Category:ネットサービス

Tag:YouTube TikTok 動画配信

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(翻訳:Dragofly)

TikTokカルト戦争!?急上昇中アプリ「Step Chickens」とTikTokのカルトトレンドについて

【編集部注】本稿は米国スタートアップやテクノロジー、ビジネスに関する話題を解説するPodcast「Off Topic」が投稿したnote記事の転載だ。

自己紹介

こんにちは、宮武(@tmiyatake1)です。これまで日本のVCで米国を拠点にキャピタリストとして働いてきて、現在は、LAにあるスタートアップでCOOをしています。Off Topicでは、TikTokの話や最新テックニュースの解説をしているポッドキャストもやってます。まだ購読されてない方はチェックしてみてください!

はじめに

先日ツイートした急成長中アプリの「Step Chickens」がさまざまメディアに取り上げられ始めたので、こちらでももう少し詳しく説明したいと思い、今回記事を書かせていただきました。

この現象の始まり、そしてこの「カルト」文化の影響や今後のインパクトについても説明したいと思います。よくわからないことが起きているように見えて、実はTikTok上、そして今のコロナ状況だからこそ自然に生まれる流れであると思っています。さらに、これはStep Chickensだけで止まらなく、今後もTikTok上でのカルト・グループ・コミュニティがどんどん結成される。いまのTikTokトレンド、いわゆるZ世代に今後何かを売り込みたい方は、このトレンド、インフルエンサーの進化はぜひ読んでください!

Step Chickensとは

先週からApple(アップル)のアプリランキングのソーシャル部門であるアプリが出てきた。Instagram、Facebook、TikTokなどの後にStep Chickensと言うアプリが出てきた。

ロゴはこんな感じです。

左上がロゴに使われている画像(引用:Step Chickensのウェブサイト

この画像はTikTokではすでに有名になっていた。このアプリの顔、そしてStep ChickensのクリエイターはMelissa Ong(メリッサ・オング)さん。TikTok上では何万人も自分のプロフィールをメリッサさんに敬意を示すために変えたw

彼女が「mother hen」(母鶏)であり、TikTok上で最も勢力があるカルトグループのStep Chickensのリーダーだ。

TikTok上のカルトはよく聞く宗教的なカルトとは大きく違う。だいたい1人のクリエイターに対してのファン層が「カルト」と呼ばれている。TikTokカルトリーダーはSNS上でのファン作りをしているクリエイター。TikTokカルトに所属しているファンはリーダーのグッズ、曲、コメントなどをする。人によってはカルト用のニュースアカウントまで作る。

メリッサさんはコロナのタイミングを上手く使って熱狂的なファン層を作れた。半分冗談で宗教家カルトを作ろうと発言した動画を投稿してから全てが始まった。

TikTokのカルト文化

TikTokユーザーはここ数カ月にも、ほかのカルト・グループに参加していた。過去だとDum Dum GangというカルトがMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏やBarack Obama(バラク・オバマ)前大統領の投稿のコメント欄にモアイ像の絵文字を投稿し続けて有名になった。

レゴ スターウォーズ軍
1月には数千人の10代の子供たちがTikTok上でレゴ スターウォーズ軍を作った。

これは当時HypeHouseと言うTikTokコラボハウスが立ち上がったときに、批判した声がそろってHype Houseをスターウォーズ上での銀河帝国と名付け、それに対してユーザーが対抗してスターウォーズキャラのアバターに変更した。

それがどんどん広がり、YouTuberのDavid Dobrik(デビッド・ドブリック)、そしてワシントン・ポスト紙などの企業までそれに乗っかった

Hype Houseについて知りたい方は以下スレッドを参照してほしい。

GTAでのエイリアンギャング戦争
そして4月にはTikTokユーザーは2つに分かれて紫と緑のエイリアンになり、ギャング戦争を始めた。

Grand Theft Auto(GTA、グランド・セフト・オート)ではFortnite(フォートナイト)と似たオンラインモードがあり、そこでは服装を変えて友達とプレーできるところ。そこで何人かが緑のエイリアンっぽい服装を着て自分たちが「グリーンエイリアンギャング」と主張。それを見て別のグループが「パープルギャング」を作って対抗し始めた。

引用:Polygon

1つの世界に入ってバトルし合って、それをTikTokに投稿し始めた。

さらに専用のTikTokページも作り始めて、何万人とフォロワーがつくページも多くなっている。各プロフィールページはDiscordサーバーへのURLが含まれている。

さらに3つ目のグループができた。防護服を着たプレーヤーはエイリアンを捕まえたいらしい。

しかもグリーンギャングとパープルギャングのボスたちがMTGして戦争を終わらせようとしたらしいが、結局ダメだったらしい。

最近だとトレンドに乗りたいTikTokerも入り始めている。

今はグリーンギャングが1400万人以上メンバーが揃って勝っているっぽい。

その次の流行が5月8日に生まれたStep Chickensである。

Step Chickensの始まり

コンセプトはセルフィーから始まった
Step Chickensの本当の始まりは、TikTokでStep Chickensカルトを始める前から実は動き始めていた。Step Chickensのコンセプトは2018年5月18日に実は始まった。今では有名になったStep Chickensアイコンであるメリッサさんのセルフィー画像を彼女は友達に送ったとき、その友達がその写真を使ってマグカップにしてメリッサさんを冗談半分でからかった。

Chickens(鶏)はどこから来たのか?
そしてそれから約1年半後の2019年10月。当時はメリッサさんはGoogleで働いていて、彼女が所属していたグループのハロウィーンパーティーでコスチュームコンテストを開催した。そこでメリッサさんは鶏のコスチュームをAmazonで買った。コンテスト自体は勝てなかった。

メリッサさんは2019年11月からTikTokを作り始めていた。TikTok上だとその鶏のコスチュームが最も相性がいいと思い、そこでいろいろな動画を出した。ただ、数カ月経ってもほとんどの動画はバズらなかった。

めげずに鶏のコスチュームでTikTok動画を作り続けたメリッサさんはある日、自分の宗教をフォロワーと一緒に作りたいと動画で発言。そしてある日、彼女のフォロワーからのコメントに「Step chicken, what are you doing?」という書き込みがあった。メリッサさんはそれをきっかけに、TikTokで鶏のコスチュームを着てエロ動画のパロディーをやったからついている。TikTok上では「CornHub」と呼んでいて、腹違いの兄と妹の話(英語で腹違いはStepと言うのでStep Chickens)。この動画のパンチラインが「Step chicken, what are you doing?」だった。ちなみにこの動画だけで110万再生回数もあるw

@chunkysdead

Inspired by @mlgpro47’s comment on last week’s vid. Thank you @thecabelguy64 for helping me with the script #fyp #whatareyoudoingstepbro #cornhub

♬ original sound – chunkysdead

初期成長
フォロワーがつき始めてからメリッサさんは彼らに指示を出し始めた。最初はメリッサさんが投稿した動画に「E」の字だけでコメントしてくれと。

24時間以内で3万人がその指示に従った。

いろいろなことをフォロワーがやってくれると感じたメリッサさんは、別の知らない人をヤギの動画にタグ付けしようと指令を出した。もちろん選ばれた人とヤギの動画の持ち主はかなり混乱する。TikTokで動画が公開されたが、その前には7000人がコメントしてくれたらしい。これが成功したときにメリッサさんがフォロワーのことをカルトと呼び始めた。

そして次にいたずらしたのが友達のChris(クリス)さん。彼の直近の動画のコメント欄に「シュレック動画を出して!」と記載するように指示した。

@chunkysdead

Prank instructions: Go to @itskingchris’s latest video and comment “Do Shrek next”

♬ original sound – chunkysdead

そのいたずらの結果、2万人以上がコメントして、クリスさんが4つのシュレック動画を作ってくれた。さらにクリスさんは自分のプロフィール画像をシュレックに変えた。

@chunkysdead

Happy Birthday @itskingchris! I hope your day is as Shrek-filled as this video. #fyp #shrekislove #shrekislife

♬ original sound – chunkysdead

このタイミングで全員これはただの遊びだけではないと感じた。正式なカルトになった瞬間だった。そこでカルトの名前が必要だった。名前を募集していると動画で発表し、その中から一番好きだった5つの名前を選び、それをファン投票で決めた。

結果としてはStep Chickensが圧倒的多数で選ばれた。Step Chickensとしての最初の指令は、プロフィール画像を変えることだった。そこで選んだのが2年前に撮ったセルフィーだった。

それ以外にFlex Tapeと呼ばれる、よくMeme(ミーム)化されていた水漏れをx一瞬で解決できる、テープのクリエイターであるフィル・スイフトさんのコメント欄を荒らす指示を出した。

フィル・スイフト紙の動画に数百人のStepchickenファンがコメントし始めた。コメントし始めてから48時間以内にフィルさんも自分のアバターをメリッサさんの顔へ変更。

メリッサさんのリアクションw

始めてから2週間以内で100万人以上のフォロワーが増えた。その中でもスポーツチームのHouston Rockets(ヒューストン・ロケッツ)、Tampa Bay Rays(タンパ・ベイ・レイズ)、Kansas City Chiefs(カンサス・シティ・シェフ)、そしてメディア企業のワシントン・ポスト紙、Adweekなどもプロフィール写真をメリッサさんの顔写真へ変更。

そしてStep Chickensは「Famous Birthdays」に追加された。ここに入ることは、どのインフルエンサーもマイルストーンとしてして念頭に置いているほどだ。

引用:Famous Birthdays

Step Chickensの拡大フェーズ

ここ数週間ではメリッサさんはStep Chickensを拡大している。まずStep Chickensの曲を作ったw。

そして次にグッズショップを作った。Tシャツ、スマホケース、マスク、ヨガパンツなど売り始めている。

日本語がおかしいところは気付いているのだろうか?w

次はYouTubeを乗っ取ることがメインプロジェクト、サイドプロジェクトとしてはInstagramを乗っ取ることらしい。

アプリ化

メリッサさんがコンテンツクリエイターになる前にはGoogleとYahooで勤務していた。YahooでSam Mueller(サム・ミューラー)さんと会った。サムさんはYahoo退職後にBlinkと言うSNSアプリを作った。彼によると「TikTokとDiscordを描き合わせたもの」とのこと。

Step Chickensファンはメリッサさんにお互い会える専用スペースが欲しいとお願いしてた。元々はDiscordサーバーを立ち上げるアイデアが出てたが、SamさんがBlinkをStep Chickensへリブランドすることを提案した。TikTokカルト用のアプリは過去にはなかったので、メリッサさんはかなり乗り気になった。

そしてメリッサさんはアプリについてTikTokでアナウンスして爆発的に伸び始めた。すぐに数十万ダウンロードされ、Blinkの4人チームとしてはサーバーを安定することとユーザー登録の受付が大変だった。アプリランキングはSNS部門で9位、全体アプリランキングで99位(Quibiを超えたw)にまで登った。

しかもその影響でメリッサさんのTikTokフォロワーが74.5万人から170万人と、2倍以上になった(今では180万人になっている)。

競合カルトの登場

最近だとStep Chickenを倒そうとするカルトグループも出てきている。150万人のフォロワーがいるAdrian Ortizさんは「Weenies」と言うカルトを作り、YouTube上で戦うことになった。

それ以外には、「Muder Hornets」「Griswolds」「Babbages」「Duck Sanctuary」「Flamingos」「Cardi Army」「Beardians」「Gary Vee’s Fam」「Jeff」などが最近立ち上がっている。

「Jeff」はいくつかのカルトが一緒になってより大きいカルトを作ったものらしい。

@realadamrose

JEFF’s. head to @keemstar1 ‘s latest tiktok and FLOOD IT with JEFF related comments. #WEAREALLJEFF #JEFF not #stepchickens

♬ Dramatic – Dave McKay

そしてその「Jeff」軍が早速Step Chickenとアライアンスを組んだw。

@realadamrose

this is what it’s come to… #JEFF #stepchickens @chunkysdead

♬ original sound – realadamrose

今だと50人ぐらいのTikTokkerがカルトを作っているとメリッサさんが語る。そして全員Step Chickenに認められて、カルト戦争に参加していることを発表してもらいたいらしい。それによって本当のカルトとしてTikTok上で認められるから。

今後のStep Chickens

メリッサさんは最近ではタレントマネージメント会社と提携、そして彼女のファンに向けて色んなプラットフォームでコンテンツを作りたいと言っている。彼女の夢は自分のコメディ番組をHBOもしくはNetflixで出すこと。

新しいインフルエンサー文化:ファン→カルト

Step Chickenファンの多くはこのようなカルトグループに入ることによって孤立感をなくしているらしい。このコロナの中だからこそ盛り上がる現象かもしれない。特に今までのTikTokスターのCharli D’Amelioなどがダンス動画で人気になったのと比較すると、だいぶ違うかたちでTikTokが使われているのがわかる。

今の若手層はSNSでインスタ映えや完璧なダンスをこなすTikTokkerを見ていて、かなり落ち込む人も多い。自分はそうなれないと思っている。実際にTikTokのダンスを学ぶのは大変。Step Chickensはその逆の発想で、TikTokにかなり合うものでもある。Meme文化から生まれているので、より個性や自分の変な部分をさらけ出せるプラットフォーム。過去の次世代SNSの記事でも説明したが、それがまさにTikTokのユーザー層のZ世代が求めているもの。

メリッサさんのファンは彼女の完璧じゃないけど前に出てくるところを尊敬して、自分たちのことを本当にStep Chickenと思っている。

結論

このStep Chickensの話はバカげたように見えるが、実は重要なことを表している。昔のセレブのファン層と比べて、今のインフルエンサーとフォロワーの間の親近感は完全に進化している。今ではインフルエンサーが一緒に戦争しようと言ったらファンがすぐについてくる。特にTikTokのようなマイクロエンタメアプリだと早いフィードバックループを活用してファンにいつでも新しいコンテンツを提供できるようになる。

実際にStep ChickensについてのNew York TimesやForbesの記事が出た数時間後にメリッサさんはTikTok上でフィードバックを流していた。

@chunkysdead

The links to the articles are on my IG story. Thank you so much @taylorlorenz!!! #fyp #stepchickens #newyorktimes #nyt #forbes

♬ original sound – chunkysdead

このように自分の話やジョークを軽くスマホで撮るだけでフォロワーと繋がれる状況となっている。このカルト文化は今後も続くと考えてもおかしくない。そしてメリッサさんは最も今の世代の理想のクリエイターと言えるかもしれない。

そして何よりも、この現象はTikTokで象徴的な今の流行の文化が拡散される。逆に言うと、これに乗らないブランドはこの時にはTikTok上での動画再生回数は落ちる可能性がある。TikTokで必要なのは、この流行を瞬時に理解し、自分のブランドと合えばそれに乗っかって上手く参加すること。そしてこのMeme文化を理解するのはZ世代世代に近づくことでもある。99%の今のZ世代カルトリーダーたちはMemeのエキスパート。StepchickensクリエイターのMelissa Ongさんは10年間MemeをRedditとInstagramなどで研究していた。これだけ強いコミュニティ作りを出来るのはインフルエンサーだけではなく、ブランドもできるはず。

Z世代世代はコミュニティにみんな入りたがっていて、その中でも積極的に参加してくれる。このチャンスを今活かせるブランドやインフルエンサーがこれから成長していくだろう。

今後のコミュニティ作り、マーケティングトレンド、Z世代の理解、そしてミーム文化を理解するためにも、カルト戦争を皆さんも追ってみてはいかがだろう?

Zigazooがローンチした「子ども版TikTok」、10万回を超えるアップロード&ダウンロード数

子どもを持つ多くの親がそうであるように、Zigazoo創設者のZak Ringelstein(ザック・リングルスタイン)氏も自身の子どもたちがスクリーンに向かう時間の長さを懸念している。新型コロナウイルスの影響で学校が休校となり、リモート学習が日常となったことで彼の懸念はさらに増大した。ロックダウンが拡大する中、リングルスタイン氏は教育とエンターテイメントを子どもたちのデジタルライフに取り入れるという方法で、スクリーンタイムを受け入れようと試みている。

UClassの創設者であるリングルスタイン氏は、2015年の買収後Zigazooを立ち上げた。同氏はこのサービスを「子どものためのTikTok」と説明する。

無料アプリのZigazooで、子どもたちは短い動画ベースの練習問題に対してビデオを通して答えたり、友達と回答を共有したりできるというものだ。練習問題は重曹で火山を作る方法から食べ物で分数を学ぶというものまで多種多様で、幼稚園から中学校までの子どもを対象としている。

アプリのプライバシーを確保するため、リングルスタイン氏は親がアプリの主要ユーザーである必要があると説明する。ユーザーがコンテンツを公開して共有するには友達申請の承認が必要だ。リングルスタイン氏は、これにより悪質な行動やいじめの可能性を回避することができると考えている。

加えて、ZigazooはSightEngineを介したAPIでコンテンツを管理している。

リングルスタイン氏自身の子どもたちが最初のユーザーとなったわけだが、テストはとても有益なものだったと言う。

テスト過程で同氏は、子どもたちは長いビデオを作ることと短いビデオを観ることを好むという事に気がつき、そのため子どもたちの注意が持続する時間を把握しようと試みた。現在、1ユーザーあたりのサイトの平均滞在時間は、1日あたり19分43秒となっている。

リンゲルスタイン氏の息子もZigazooのテストに参加

リングルスタイン氏はセサミストリートをイメージしていると言う。多くのビジネスが教育とエンターテイメントの融合による成功を証明しているのも事実だ。子どもたちがテレビ画面の前でセサミストリートのキャラクターをじっと見つめ、何時間もの時間を費やしていたことを同氏は思い出す。

「セサミストリートのクリエイターはメディアを介して子どもたちを教育し、同時に楽しませていました」とリングルスタイン氏。愛されるキャラクターとMichelle Obama(ミシェル・オバマ)元大統領夫人が一緒に出演したり、愉快な歌を使って子どもたちにリサイクルについて教えたりVox.comがセサミストリートを「教育テレビの基盤」と呼んだのも頷ける。

Zigazooでアップロードおよびダウンロードされたビデオの数は、1か月間で10万回におよぶ。

Zigazooは「子どものためのTikTok」とうたっているが、実際はTikTokと競合関係にあるというのが事実だ。一部の教師らはTikTokを使って太陽電池システムや実験に関するレッスンを作成している。

他にも「子どもに優しい」TikTokクリエイターを纏めたガイドも出回っているし、最近ではTikTok自体がコンテンツ、DM、スクリーンタイムの制限を子どものために親が設定できるようなシステムとなった。

リングルスタイン氏によると、Googleドキュメントから文章を受動的に読むよりも、動画ベースで学習するほうが、生徒が積極的に教育活動に取り組めると言う。

教育とエンターテイメントの組み合わせには、子どもの安全に関する一連のリスクが伴う。昨年3月、ニューヨークタイムズは「キッドフルエンサー(子どものインフルエンサー)」のコンセプトがどのように成長していったかについてのストーリーを書き下ろした。これは親が子どもをオンライン上に登場させ、ブランド品などを宣伝してお金を稼ぐと言うものだ。この結果として生じる倫理的懸念こそが、リングルスタイン氏がZigazooが必要とされていると信じる理由である。

「Zigazooは、YouTubeやTikTokのような大人の娯楽に子どもを付き添わせたようなものではありません。子どもの安全、学習、楽しみのために特別に作られたスペースなのです」と同氏は言う。

リングルスタイン氏は「フォロー」機能と対比するZigazooの「友達」機能が子どもの安全における鍵であると考えている。パブリックフィードがあり、ユーザーが誰でもフォローできるTikTokとは異なり、ZigazooはFacebookと同様にユーザーがフォローされることをオプトインする必要がある。

パートナーシップによりZigazooでは、認証済みのコンテンツで子どもたちが好きな有名キャラクターを使用して子どもたちが関心を持っているテーマについて教えることができる。デジタルデトックスがもはや現実的ではなくなっている現在、よりスマートなスクリーンタイムのアクティビティが必要とされている。

最近Zigazooは全米教員連盟と提携し、幼稚園から高校生までの何百万人もの生徒を対象とするプロジェクトを実施した。生徒らはZigazooを使用して過去1年間の学習体験を纏めたビデオを提出するよう促されるというものだが、全米教員連盟によると「いちかばちかのテストよりも断然効果的なまとめ方だ」とのことだ。

リングルスタイン氏はこの夏、主要な子ども向けエンターテインメント企業、ポッドキャスト、博物館、図書館、動物園、ソーシャルメディアインフルエンサーなどの厳選されたグループと共に「Zigazoo Channels」をローンチする予定だ。

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Category:ネットサービス

Tag:Zigazoo 動画配信 TikTok

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(翻訳:Dragonfly)