Microsoft(マイクロソフト)は2017年に、いずれは買収済のWunderlist(ワンダーリスト)を閉鎖し、独自のTo-Doアプリの開発にまい進すると発表した。それ以来、To-Doという名前のアプリを、Windows、iOS、Android、そしてウェブ上でリリースして機能を拡充させてきた。そして米国時間6月17日、ついにMac版もリリースした。
マイクロソフトは同日、To-DoアプリがMac App Storeで公開されたことを発表した。タスクの作成と管理、オフライン作業、リストの共有、タグの利用など、主な機能は最初からサポートしている。さらに、Microsoft Outlookと連携して、フラグが立てられた電子メールリストを取得できる。近いうちにはMicrosoft Plannerとも連携して、自分に割り当てられた項目を確認できるようになる。
Mac版では、特にキーボードショートカットが強化されている。例えば、「command」+「2」ではアプリのウィンドウをリストビュー用に最小化する。そこから「command」+「2」を押せば、リスト全体が見えるサイズにウィンドウを復元する。また、リストビュー上のタスクのテキストをクリックすれば、その場で編集することもできる。
マイクロソフトが、このネイティブなMacアプリを100%AppKit(アップル純正のアプリ開発フレームワーク)によって開発したと述べていることは注目に値する。
今月のアップルのWorldwide Developer Conferenceで同社は、Project Catalystと呼ばれる新しいツールセットを発表した。デベロッパーが既存のコードベースを活用してiPadアプリをmacOSに移植できるようにするものだ。これにより、アップルのMac App Store上のMacアプリが徐々に充実していくことが期待できる。複数のアプリを、同時にさまざまなプラットフォーム上でメンテナンスする作業が簡略化されるからだ。例えばTwitterは、米国時間6月14日に、Project Catalystを利用してMac版のアプリを復活させると発表した。
しかし、マイクロソフトは別の道を進んだことになる。同社は、この新しいアプリを、古いバージョンのmacOS(High Sierra以降)でも動作するものにしたいと考えたようだ。Project Catalystは、そうした古いmacOSはサポートしていない。
現状での大きな疑問は、このニュースがWunderlistにとって何を意味するのかということ。なんと言ってもWunderlistは、MacApp Storeで満点の5に近い4.9の評価を受け、仕事効率化カテゴリで21番目に人気のある無料アプリなのだ。
リリースの当日時点で、Microsoft To-Doのダウンロード数は急増し、Wunderlistよりも上に来ている。この記事の執筆時点(米国時間6月17日)では、同じ仕事効率化のカテゴリで11番に位置している。
マイクロソフトは以前、「Wunderlistの最も優れた部分をTo-Doで実現できた」という確信が得られるまで、Wunderlistを廃止することはないと約束していた。同社が当初課題として挙げていたのは、To-Doにリスト共有機能を追加することや、すべてのプラットフォームをサポートすることなどだった。これらは、今回のMac版のリリースで両方とも解決している。
今回のリリースに絡んで、Wunderlistの今後の計画について、何かコメントがあるかどうか、マイクロソフトに質問してみた。
「私たちは現在、Microsoft To-Doという新しいアプリに集中していて、Wunderlistの新機能には取り組んでいません」と、広報担当者は回答した。「Wunderlistのもっとも優れた部分をMicrosoft To-Doで実現したと確信できたら、Wunderlistを引退させる予定です」と付け加えた。
この文面は、基本的にマイクロソフトが数年前に発表したのと同じだ。従って今の状況を十分に説明するものにはなっていない。
新しいMac版のTo-Doは、すでにMac App Storeから無料でダウンロードできる。
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(翻訳:Fumihiko Shibata)