地図サービスのTomTomとTRI-AD、デンソーの3社が自動運転向け高精度地図作成で協業

オランダを拠点とする地図サービスなどを運営するTomTom(トムトム)は3月11日、トヨタ自動車のグループ会社で自動運転などを研究するトヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)とデンソーとの協業を発表した。併せて、自動運転技術に不可欠な地図データを高速かつ高精度に生成するための実証実験に成功したことを明らかした。

TomTomは、アップルの「マップ」アプリに地図データが採用されていた企業で、最近では中国ファーウェイが同社とナビゲーションとマッピング、交通情報へのアクセスの提供について契約合意している。

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3社が合同で実施した実証実験は、デンソーの車両センサーを搭載したTRI-ADの試験車を利用し、TRI-ADの自動地図生成プラットフォーム「Automated Mapping Platform」(AMP)とTomTomのクラウドベースのトランザクション・マップ・プラットフォームを併用。車両センサーが道路上で観測した情報を収集し、それらの情報をAMPがデータ形式の変換・補正を実行、TomTomのトランザクション・マップ・プラットフォームに反映されるという流れだ。このシステムが実用化されれば、地図上とは異なる現在の道路や周辺環境を随時クラウド上で管理・更新可能になる。既存の地図データと組み合わせることで、最新かつ詳細な地図が手に入る。

Huaweiは失ったGoogleマップの代わりを求めてTomTomを頼る

Googleのソフトウェアとサービスへのアクセスを失ったHuawei(ファーウェイ)は、当然ながら困り果てた。中国のハードウェア大手は、AndroidやGoogle Play Storeなどへのアクセスの喪失に対応すべく非常事態計画を練ってきたが、しかしながらGoogleの製品は、競合他社であるスマホメーカーの多くと同様に、デバイスに搭載するソフトウェアの中核を形成していた。

HuaweiはGoogleに対抗しうるソフトウェアスイートを再構築するために、超ビッグネームを頼った。オランダの地図ソフトウェアの大手TomTomが、同社のナビゲーションとマッピング、交通情報へのアクセスの提供に合意した。ロイターの記事によると、Huaweiはその情報を使って独自のアプリケーションを構築することができる。

TomTomはこの契約を認めたが、それ以上の情報提供はない。ハードウェア企業の後退がマッピング企業の収益機会になった、というところだろうか。Huaweiのグローバルなスマートフォン市場はかなり大きいため、TomTomにも大きな取引だろう。同社は以前、AppleMapsに情報を提供していた。

Huaweiは米国による制裁で米国製のソフトウェアやコンポーネントにアクセスできなくなっていた。同社はAndroidのライバルとなる代替OSを自力で作ってきたが、HarmonyOSは見たところかなり非力だ。また、Huaweiが独自でGoogleマップの代わりとなるシステムを作っているという噂も流れているため、今回のTomTomとの契約は、同社の一時しのぎだと見なしがたい。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa