飲食店の「常連作り」支援に向け、予約台帳のトレタがPOSシステム5社と連携へ

トレタ代表取締役の中村仁氏(一番右)とPOSサービスの担当者ら

トレタ代表取締役の中村仁氏(一番右)とPOSサービスの担当者ら

予約・顧客台帳サービス「トレタ」を提供するトレタ。先日資金調達を発表したばかりの同社が今度は台帳サービスと社外のPOS(販売時点情報管理)システムとのデータ連携を実現するAPI「トレタPOSコネクト」の提供を開始する。現在POSシステムを提供する6社と提携(1社は交渉中)を進めており、今春以降順次データの連携を進めていく。

このトレタPOSコネクトを利用してPOSシステムとトレタを連携すれば、飲食店はPOSの会計情報や来店情報などと予約情報や顧客情報、座席情報などを連携できるようになる。これによって、例えば予約で掛かってきた電話に対して過去の来店情報をもとにした対応をしたり、営業時にPOSハンディターミナルで過去の注文行動から顧客の好みを参照してオーダーの提案を行ったりすることができるようになる。

対応を発表したのはインテリジェンス ビジネスソリューションズの「POS+(ポスタス)」、セカンドファクトリーの「QOOpa」、NECの「NEC モバイルPOS」、プラグラムの「スマレジ」、ユビレジの「ユビレジ」の5社のサービス。セイコーソリューションズが現在連携に向けて交渉中だという。

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飲食店に求められるのは「新規顧客獲得」ではなく「常連作り」

先日のトレタの調達記事でも触れたが、今後拡大することはないと考えられる日本の飲食店市場。そこで重要になるのは、「新規顧客獲得」ではなく、「常連作り」だとトレタ代表取締役の中村仁氏は語る。自社で試算したところ、日本の飲食店の販促予算は約7000億円。この金額のほとんどがグルメサイトへの出稿やポスティングに使われているが、それはあくまで新規顧客の獲得が中心。今後は常連作りのニーズに応えるCRMツールが必要になると説く。

現在、飲食店が利用するサービスは、「集客」「予約」「POSレジ」「決済」の4つのレイヤーに分かれている。最近ではPOSと決済の連携は進んでいるが、予約に関しては紙の台帳では連携どころの話ではなかった。予約台帳がクラウド化されることによって、初めてPOSレジとの連携が可能になったと説明する。

ただし、この流れは何もトレタに限った話ではない。予約・顧客台帳サービスの競合環境を見てみると、2015年12月に「TableSolution」を提供するVESPERがPOS連携を発表しているほか、先週2月25日には「ebica」を提供するエビソルもPOS連携を発表している。

予約台帳のトレタがアイスタイル、伊藤忠、DDHから3億円を調達——アジア進出も本格化

トレタ代表取締役の中村仁氏

トレタ代表取締役の中村仁氏

予約・顧客台帳サービス「トレタ」の開発・運営を行うトレタは2月29日、アイスタイル、伊藤忠商事電通デジタル・ホールディングス(電通デジタル投資事業有限責任組合)の3社を引受先とした総額第三者割当増資を実施したことを明らかにした。トレタでは2015年12月にセールスフォース・ドットコムからも資金を調達しているが、同一ラウンドでの調達となる。また、今回の調達にともなってキャンバス取締役の加登住眞氏が非常勤監査役として同社に参画する。

トレタは2016年2月現在で登録店舗数で4900以上、最新の数字はまもなく5000店舗を達成するという。トレタ代表取締役の中村仁氏は「思った以上のペース」と語る。サービス利用継続率は99.5%、MAUは登録店舗の95%。累計の予約件数は665万件・3400万人に上るという。

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今回の調達はCVCであるDDHを除いて事業会社。資金ニーズもさることながら、各社との業務提携により、海外展開なども進めていく。アイスタイルとの展開についてはまだ話をできる段階にはないということだったが、伊藤忠商事については、同社の関連会社であるベルシステム24と組んで、飲食店の予約業務代行での協業を計画しているほか、台湾最大手の電気通信事業者である中華電信股份有限公司との営業提携を検討中だという。

「少子高齢化で日本の人口が減っていくということは、『胃袋』も『食べる量』も減ることになる。国内だけで見れば、外食産業は横ばいで決して成長する産業ではない。ただもちろんそこには変化は起きていて、(台帳)ツールは広がっている」——中村氏は国内の市場についてこう語る。またそんな状況だからこそ、「海外を見ないといけない」と語る。

海外と言っても、米国ではOpenTableが台帳・メディアとしても強いサービスに成長している。だがアジアを見てみれば、外食産業自体がまさに成長中。そこで今後は国内に次いで台湾やASEANを中心にサービスを展開していくという。「外食産業は日本からアジアのタイムマシン経営ができる。日本の外食産業のノウハウは価値があるもの。今まで(米国からタイムマシン経営のメリットを享受すること)とは逆の立場で取り切っていく」(中村氏)

また新たに監査役を加えるということでいよいよIPOの準備か、とも思ったのだが、中村氏は「もともと早く(IPOすることを)考えているわけではない。IPOするとして、大事なのは資金よりも信用だ。信用を持って永遠にサービスを続けていくという意志を保証する意味で重要。営業にもダイレクトに響いてくる。だが上場が目的になることで会社のあり方がゆがむのであれば意味がない。また市況で判断していればきりがない」としている。

予約台帳サービスのトレタがセールスフォースと資本業務提携、CRM機能を強化

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11月に累計登録店舗数4000店舗、登録社数2000社を超えたと発表している飲食店向け予約/顧客台帳サービス「トレタ」。サービスを提供するトレタは12月3日、米セールスフォース・ドットコムと資本業務提携を実施したことを明らかにした。

資本提携ではセールスフォース・ドットコムの投資部門であるセールスフォース ベンチャーズを引受先とする第三者割当増資を実施しているが、調達額やバリュエーション等は非公開。ただしトレタが公表している2015年7月時点での資本金が1億7995万円、今回の増資後の資本金は2億3991万円であることから、資本準備金に組み入れる金額を考慮しても最大でも1億数千万円程度の調達である可能性が高そうだ。

トレタは今回の資本により、営業体制や開発力の強化を図る。また具体的なスケジュールに関しては現時点では公開していないものの、セールスフォース・ドットコムが提供するクラウドCRMサービス「Salesforce Sales Cloud」とトレタの連携を進めて行くという。これにより、トレタに蓄積された顧客属性や予約行動などのデータを活用した顧客サービスを提供していく。

トレタと言えば、ITリテラシーの低い飲食店ユーザーでも利用できるシンプルさをウリにしてきた印象が強かったので、正直なところどこまでユーザーからCRMに対するニーズが高いのかはかりかねるところがあった。だが同社代表取締役の中村仁氏いわく、この1年でそのニーズは急激に高まっているのだという。

「たとえ今まで新規集客に重きを置いていた店舗でも、トレタを使ってどんどん顧客情報が貯まっていくのを見たら、それは『宝の山』だと直感的に理解してくれる。顧客情報をもっと活用したいという声は、日に日に高まっている。 ただ、CRMといっても単に『DMを送りたい』というレベルの要望にとどまっているのも事実。今回の提携を機に、より簡単で高度なCRMソリューション(による常連作り)を提案していきたい」(中村氏)

予約台帳のトレタが3億2000万円の資金調達、登録店舗数は3200以上に

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予約台帳アプリ「トレタ」を提供するトレタは7月27日、日本政策金融公庫、アイスタイルキャピタル、WiL、フェムトグロースキャピタル投資事業有限責任組合から総額3億2000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。詳細は公表していないが、第三者割当増資に加えて、新株予約権付き融資や資本性ローン等を組み合わせての資金調達となっている。

トレタは、飲食店向け予約台帳アプリを2013年12月に公開。登録店舗数は2015年7月時点で3200以上。この数字は前年同時期の約2.5倍の数字で、サービス利用継続率も98%以上だという。累計予約件数は約260万件、人数にして約1400万人分の予約が登録されており、「拡大を続ける予約台帳アプリ市場の中でも際立った成長を続けている」(トレタ)という。

VESPERも7月に2億円を調達、競合の動きも活発に

最近ではグルメサイトや予約台帳、決済サービスなど飲食店向けのサービスはオンラインで予約台帳を提供するスタートアップでは、同社の他にVESPERの「TableSolution」やエビソルの「ebica」などがいる。2社の直近の動きについても紹介しておく。

VESPERは7月にジャフコを引受先とした2億円の資金調達を発表。TableSolutionは8カ国語に対応した台帳サービス。クライアントにはホテル日航東京などもあるそう。現在の導入店舗数は非公開だが、5月時点では約1400件と聞いている。2015年1月から6月末までの平均導入件数は、前年比で約27倍に増加しているという。エビソルは5月に英語と中国語(繁体・簡体)に対応。6月にヤフーの「Yahoo!予約 飲食店」、7月にUSEN「ヒトサラ」のと連携(トレタは4月にYahoo!予約 飲食店と連携。7月にヒトサラと連携)している。5月時点の導入店舗数は導入見込みを含めて800件となっている。