暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.9.27~10.3)

暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.9.27~10.3)

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、重要かつこれはという話題をピックアップし、最新情報としてまとめて1週間分を共有していく。今回は2020年9月27日~10月3日の情報をまとめた。

Atariの独自トークン「Atari Tokens」が暗号資産取引所Bitcoin.comを介し11月にIEO、販売終了後に上場決定

ビデオゲーム界の老舗メーカーAtari(アタリ)は10月1日、暗号資産取引所Bitcoin.comとの間でAtariの独自トークン「Atari Tokens」(ATRI。EthereumのERC-20準拠)の公開販売(IEO。Initial Exchange Offering)および販売完了後の上場に向けた契約の合意を発表した

Atariの独自トークン「Atari Tokens」が暗号資産取引所Bitcoin.comを介し11月にIEO、販売終了後に上場決定

IEOの開始は、2020年11月上旬を予定。暗号資産取引所Bitcoin.comを介して、ジブラルタル拠点のAtariグループ子会社Atari Chainが実施する。Atari Tokenは販売期間中、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ライトコイン(LTC)、ビットコインキャッシュ(BCH)の主要暗号資産でのみ購入可能となる。

今回のIEOとその後の上場は、Atariのブロックチェーンプロジェクトにとって重要なマイルストーンという。Atari Token保有者に流動性を提供し、同プロジェクトが計画をするAtariブロックチェーンエコシステムの発展への道を切り開く第1歩としている。

Atari Tokenのユースケース

またAtari Tokenのユースケースは、現在、Atariグループが活動をしている分野を予定。それぞれ関係各所とパートナーシップ契約を締結しており、平行していくつかのプロジェクトが進んでいる。最初は、暗号資産を使用したAtari CASINO、PCゲーム配信プラットフォームUltraでのAtariゲームの配信、今秋発売予定の新型家庭用ゲーム機「Atari VCS」などで利用される予定になっている。パートナーシップに関しては、順次atarichain.comで発表されるという。

最終目的は、決済手段はじめ、スマートコントラクトの促進、ゲーム内の収益化、アセットの拡張から保護まで

Atari Tokenは、イーサリアムのERC-20準拠のトークンとして発行された暗号資産。主たる目的は、ビデオゲームなどインタラクティブエンターテインメント業界内での決済手段として利用するものの、トークンはさまざまな業界にも有益であるとAtariグループは考えているという。

最終的な目標は、Atari Tokenが世界中で利用可能になること。決済手段のみならず、スマートコントラクトの促進から、ゲーム内の収益化、アセットの拡張から保護まで、多くの用途を想定しているそうだ。また、安全かつ信頼性が高く、普遍的で、流動性のある使いやすいトークンの作成を目指している。

Atari TokenはIEOおよび上場を機に、Atariのパートナーを含むさまざまなAtari商品やサービスとの交換手段として、まもなくAtariのネットワーク内で利用できるようになる。

Atari Token誕生までの経緯

Atari Tokenを開発するチームは、現在、Atariグループとドイツを拠点とするインターネット銀行ICICBによるメンバーで構成されている。

Atari Tokenは2018年の発表当初、AtariグループがInfinity Networks Limited(INL)とパートナーシップを結び独占契約を締結、INLにAtariブランドを付与し、ブロックチェーンプロジェクトとして立ち上がった経緯がある。プロジェクトでは、暗号資産の作成やAtariブランドを使ったブロックチェーンゲームや映画、音楽などあらゆるデジタルエンターテインメントにアクセスできるプラットフォームの構築を目指していた。

しかし、INLによるブロックチェーンプロジェクトは、Atariが期待する速度で開発は進まなかったようだ。AtariとINLは、どちらの側にもペナルティを発生させることなく、円満かつ即時にこのライセンスを終了させ、すべての権利をAtariグループ側に回復させることで合意し、INLとのパートナーシップを解消した。

その後、Atariグループはブロックチェーンプロジェクトをふたつに分離し、Atari Tokenについては、2020年3月にICICBグループと提携した。

グループは、Atari Tokenのユースケースの最大化を考慮し、開発の速度を上げるために、現時点において最も実現性の高いプロジェクトを優先しパートナーシップを締結している。それらが、Pariplayと契約をしたAtari CASINOであり、Ultraを始めとするその他のパートナーシップでということになる。Atari CASINOはまもなく開始を予定しており、IEOの前にAtari Tokenのプレセールを実施している。

ウォレットなどの開発も進行

Atari Tokenは、IEOおよび上場の計画の他にも、現在、ウォレットなどの開発が進んでいることも明らかにしている。ウォレットはすでにAndroid版のテストが最終段階であり、監査が完了し、安全性が確認でき次第発表するとした。

テックビューロHDの「mijin Catapult(2.0)がアマゾンAWS Marketplaceにて世界190ヵ国に提供開始

NEMブロックチェーンのプライベートチェーン版「mijin Catapult(2.0)」を提供するテックビューロホールディングス(テックビューロHD)は9月30日、アマゾン ウェブ サービス(AWS)が世界190ヵ国で提供する「AWS Marketplace」において、初の日本法人パートナー企業のうちの1社として登録されたと発表した。同日より、mijin Catapult(2.0)の提供を開始した。

テックビューロHDの「mijin Catapult(2.0)がアマゾンAWS Marketplaceにて世界190ヵ国に提供開始
AWS Marketplaceは、同社クラウドサービス向けのオンラインソフトウェアストアである。ITビジネスを構築・運営するために必要なサードパーティーのソフトウェア・データ・サービスを検索・購入・デプロイ・管理するために使用できるデジタルカタログとなる。

今回のAWS Marketplace登録により、販路として世界190ヵ国のAWSの顧客に対しグローバルなサービス提供をできるようになったほか、月間29万人を超えるアクティブな顧客に対して同社サービスをアピール可能となった。

NEMブロックチェーンのプライベートチェーン「mijin」

テックビューロHDが提供するプライベートチェーン「mijin」は、NEM(ネム)コアの開発者が同社に合流し開発したNEMブロックチェーンのプライベートチェーン版。「mijin Catapult (2.0)は、エンタープライズで利用可能なプライベートブロックチェーン環境を構築する「mijin v.1」をバージョンアップした製品。

またmijin Catapult (2.0)は、NEMの次期バージョン「Symbol」にあたる存在でもある。mijin Catapult (2.0)は2018年6月にオープンソース化され、Symbol公開に先行し2019年6月より製品版として公開されている。

mijin Catapult (2.0)は、300社以上への提供実績を持つmijin v.1の性能を向上させるために仕様全体を一新し、機能・性能・仕様のすべての面においてバージョンアップを実施。異なるブロックチェーン間でのトークン交換や複数トランザクションの一括処理を可能にするなど、前バージョンの課題であった処理速度、スケーラビリティの両面で大幅なグレードアップを実現している。

具体的には、mijin v.1と同様、ひとつのブロックチェーン上に複数のアセット(トークン)を同時に発行し流通・管理を行える機能「マルチアセット」、複数人の合意によって取引・コントラクトを実行する「マルチシグネチャー」機能が最大3階層まで設定が可能になった。

追加の機能として、第3者を介さず異なるブロックチェーン間でのトークン交換(クロスチェーン・トランザクション)や、複数トランザクションの一括処理(アグリゲート・トランザクション)が可能となっている。前バージョンの課題であった処理速度、スケーラビリティの両面での大幅なグレードアップも実現した。

今回のAWS Marketplaceにおける提供では、ブロックチェーンの導入促進を目的に設計・開発イメージをより多くのAWSユーザーに体験してもらえるよう、機能を制限した無料トライアル版が提供されている。

無料トライアル版の概要は、以下の通り。

  • ノード: 1台のみ(DUALモード/APIノードにHarvestを有効)
  • デプロイ: およそ15分程度で下記構成が完成
  • ライセンス費: 無料
  • インフラ費: AWS使用料として、Amazon EC2、Amazon EBS、Amazon Route53、パラメータストアの費用は発生
  • リージョン: 世界16リージョンに提供

制限事項として、公開ネットワークのみ(IPアドレス制限は可能)の配置、基軸通貨発行数は2000cat.curency限定、手数料が必要、提供されるバージョンは、「mijin Catapult (2.0)(0.9.6.4)」に固定としている。

テックビューロHDの「mijin Catapult(2.0)がアマゾンAWS Marketplaceにて世界190ヵ国に提供開始

テックビューロHDでは、2020年12月に予定されているSymbol正式版のリリースに合わせて、有料エンタープライズ版の追加公開を予定。またmijin Catapult (v.2) Free Trial版については、2021年1月末日をもってAWS Marketplaceから削除する予定で、2021年4月1日以降は問い合わせも受付終了予定としている。

パブリックチェーンのSymbolとプライベートチェーンのmijin Catapult(2.0)のクロスチェーン・トランザクション

パブリックチェーンのSymbolとプライベートチェーンのmijin Catapult(2.0)のクロスチェーン・トランザクションでは、「Atomic Swap」という方法でプライベートチェーンとパブリックチェーン両者のメリットを使い分けて利用できるようになる。それにより、Symbolとmijin Catapult(2.0)や、管理者の違うmijin Catapult(2.0)間でお互いのモザイク(トークン)の交換が可能になる。パブリックチェーンを使いつつ、大事なものはプライベートで取引をするといったサービスが提供可能になる。

LINE、独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」基盤を導入した外部企業サービスを発表

LINEの暗号資産事業・ブロックチェーン関連事業を展開するLVCとLINE TECH PLUS PTE. LTD.(LTP)は9月30日、LINEの独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」(LINE Blockchain White paper v2.1)基盤を導入した外部企業のサービスを発表した

LINE、独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」基盤を導入した外部企業サービスを発表LINEは、LINE Blockchainを基盤としたブロックチェーンサービス(DApps)を簡単かつ効率的に構築できる開発プラットフォーム「LINE Blockchain Developers」を展開している。企業は、LINE Blockchain Developersを導入することにより、既存サービスにブロックチェーン技術を組み込むことができ、独自のトークンエコノミーの構築も可能になる。

また、LINE Blockchain Developersで構築した各サービス内で発行されるトークンを、LINE IDと紐づくデジタルアセット管理ウォレット「BITMAX Wallet」にて管理・連携させることもできる。企業は、それによりLINEのユーザー基盤を活かしたサービスの構築が可能になる。

2020年8月26日にLINE Blockchain Developersの提供開始を発表後、6日目にして申込数が100件を突破したという。

今回の発表では8社が紹介され、そのうちの2社はすでにサービスを開始している。導入企業の詳細は、以下の通り。

モバイルRPGゲーム「ナイトストーリー」

ブロックチェーンゲームを開発するBiscuitlabsは、9月30日よりモバイルRPGゲーム「Knight Story」の日本版を提供開始した。プレイヤーはナイトとなり、ペットとともにバトルをしながら素材を収集し、素材を組み合わせて装備アイテムを作成し強化していく。ゲーム内アイテムはNFT(Non Fungible Token。ノン ファンジブル トークン)のため、プレイヤーはアイテムの保有権を持ち、交換・売買ができる。

電子契約サービス「リンクサイン」(linksign)

リーガルテック企業のComakeは、AI・ブロックチェーンベースの電子契約サービス「リンクサイン」(linksign)の提供を9月30日より開始。契約書の作成、内容の検討、署名、締結などと契約行為を始まりから終わりまで完結できるオールインワンプラットフォームとなっており、顧客は様々な契約書テンプレートから契約書を作成できる。また、すべての契約プロセスをリアルタイムで確認可能。ブロックチェーンにより、契約文書の偽造・変造を防止する。

LINE、独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」基盤を導入した外部企業サービスを発表

ソーシャルメディア「aFan」

Common Computerの「aFan」は、クリエイターとファンをつなぐブロックチェーンベースのソーシャルメディア。ファンは、写真家、イラストレーターなどのクリエイターに直接寄付・応援することで、クリエイターのコンテンツ制作や活動をサポートできる。ファンとクリエイターは、トークン「ファンコ」を通じて、従来の「いいね」やコメント以上の相互交流が可能となる。サービス開始は、10月上旬予定。

LINE、独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」基盤を導入した外部企業サービスを発表

MMO戦略ゲーム「リーグオブキングダム for LINE Blockchain」

ブロックチェーンゲーム開発会社NOD Gamesは、MMO戦略ゲーム「リーグオブキングダム」の日本版「リーグオブキングダム for LINE Blockchain」を10月末より提供開始予定。王国同士、連盟や戦争を通じで領土を広げていく、大陸の覇権を争うゲーム。プレイヤーは、ゲーム内で保有する資産をブロックチェーンアイテムトークンに転換することで完全に保有し、取引できる。ブロックチェーン技術をさらに活用し、プレイヤーがゲームの方向性決定に参加できる仕組みも将来計画している。

LINE、独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」基盤を導入した外部企業サービスを発表

コインプッシュゲーム「CryptoDozer」

ブロックチェーンゲーム開発会社のPlayDappは、コインプッシュゲームをモチーフにした「CryptoDozer」を2020年内に日本向けに提供開始予定。30種類以上のDozerドールを入手できるコインゲーム。ファンシードールを獲得するためにDozerドールを調合することもできる。ドール強化でゲームプレイをさらに活性化することが可能。

LINE、独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」基盤を導入した外部企業サービスを発表

ソーシャルカラオケアプリ「SOMESING」

Emel Venturesは、ソーシャルカラオケアプリ「SOMESING」を2020年内に日本向けに提供開始予定。いつでもどこでも高音質のカラオケを楽しむことができる。全世界の友達とデュエットすることも可能。ブロックチェーン技術を応用した世界初のカラオケアプリであり、独自のリワードシステムによりユーザーは自分が歌った歌に対して公正な報酬を受け取ることがきる。

LINE、独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」基盤を導入した外部企業サービスを発表

ビデオ・ストリーミング・プラットフォーム「Theta.tv」

ビデオ配信サービスを提供するTheta Labs(Theta Network)は、eスポーツ専門のビデオストリーミングプラットフォーム「Theta.tv」を2020年内に日本向けに提供開始予定。ユーザーは、コンテンツを視聴し、帯域幅を別の視聴者たちに共有することでリワードを受け取れる。ユーザーは特定のクリエイターを購読し寄付することも可能。

LINE、独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」基盤を導入した外部企業サービスを発表

スポーツゲーム「Crypto Sports」(仮称)

アクセルマークオルトプラスの100%子会社OneSportsは共同で、プロスポーツライセンスを使用したゲームの開発を進めている。2021年以降にローンチ予定。ユーザーは試合に参加して選手を育成し、その選手達を取引できる。

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カテゴリー: ブロックチェーン
タグ: Atari TokensAWSEthereumLINELINE BlockchainLINE Blockchain Developersmijin CatapultNEMSymbolUltraテックビューロ

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Ultraがアタリと提携、新型ゲーム機「Atari VCS」にブロックチェーンゲーム関連機能を搭載予定

ビデオゲーム界の老舗メーカーAtari(アタリ)とブロックチェーン活用のゲーム配信プラットフォームを提供するUltraは9月24日、パートナーシップ契約の締結を発表した。アタリが今秋発売を予定している新型家庭用ゲーム機「Atari VCS」が、UltraのPCゲーム配信プラットフォームにアクセスできる機能を搭載することを明らかにした。

Ultraがアタリと提携、新型ゲーム機「Atari VCS」にブロックチェーンゲーム関連機能を搭載予定

UltraのPCゲーム配信プラットフォーム

Ultraは、ゲームを総合的に楽しめるエンターテインメントプラットフォームの提供を目指しており、PCゲームの購入はじめ、ブロックチェーンゲームのアイテム交換・売買、配信ゲームの中古販売、収益があげられるゲーム、トーナメントプラットフォームを通じたライブストリーミングへのアクセス、eスポーツのようなゲーム大会の開催、コミュニティなどが可能という。

Ultraでの取引には、仮想通貨EOSからフォークしたUltraブロックチェーンを基盤とするトークンUOSが使用される。また、UOSトークンはステーキングを行うことで、「Ultra Power」と呼ばれるゲーム内のリソースを得られるなど、ブロックチェーンを活用したさまざまな機能が用意されている。これらはゲーム開発者にも提供され、Ultraをベースにゲームを配信する企業や開発者は、ブロックチェーンゲームの開発が容易になるうえに、他の配信サービスよりも多く収入が得られる仕組みが提供されるとしている。すでにUbisoftAMDといったゲームメーカーおよびハードウェアの大手企業とも提携をしているそうだ。

また、今回の提携によりUltraユーザーもその恩恵を受けることができる。ユーザーはAtariの専用コミュニティに参加することで、Atariの往年の名作ゲーム「アステロイド」「センチピード」「ミサイルコマンド」「PONG」「ローラーコースタータイクーン」をプレイ可能になる。

Windows 10、Ubuntuをインストールできる「PCモード」も搭載の家庭用ゲーム機「Atari VCS」

Atariが今秋発売を予定している家庭用ゲーム機「Atari VCS」(旧名:Ataribox)は、2018年に発表され、たびたび発売延期を繰り返してきたもの。本体発売と同時に2000本以上のゲームが遊べるサブスクリプションサービスの提供も発表されており、懐かしの名作ゲームが多数遊べる製品となっている。

Atari VCSは、1977年に発売されたAtariの往年のゲーム機「Atari 2600 Video Computer System」をリスペクトし開発されたもので、CPUとしては、組み込み向けの「AMD Ryzen Embedded R1606G with Radeon Vega 3 Graphics」を採用。またメモリーは32GBで、ストレージは256GB M.2 SSDとなっており、ゲームに特化した小型PCといったおもむきだ。OSとしてはDebian GNU/Linuxベースに開発した「Atari OS」を利用。「PCモード」では、このAtari OSとは別途、Windows 10、Ubuntu、Steam OS、Chrome OSなどをインストールし利用できるという。

Windows 10、Ubuntuをインストールできる「PCモード」も搭載の家庭用ゲーム機「Atari VCS」

Atari VCSでは、UOSトークン、またAtariの独自トークン「Atari Tokens」(ATRI。EthereumのERC-20準拠)を使用しUltraでもゲームなどが購入可能になる。また、AtariはNFT(Non Fungible Token。ノン ファンジブル トークン)フレームワークをはじめとするUltraの技術を利用して、同社の人気ゲームタイトルの多くをアップデートし、名作ゲームのNFT化を試みる予定も明らかにしている。

3Dプリンターで外装を積層造形した上下水道不要の自己完結型公衆トイレが登場、ブロックチェーン活用のスマートロック採用

會澤高圧コンクリートは9月23日、3Dプリンターを用いて外装を積層造形した上下水道不要の自己完結型の公衆トイレを建設し、インドでのトイレ普及を目指すSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みについて発表した。インドではスマートフォンが広く普及していることに着目し、トイレの鍵にはブロックチェーンを活用したスマートロックを採用する。

3Dプリンターで外装を積層造形した上下水道不要の自己完結型公衆トイレが登場、ブロックチェーン活用のスマートロック採用

国連サミットで採択されたSDGsは、2030年までに持続可能でよりよい世界を実現するための17のゴールが設けられた国際目標。同社は、SDGsの17のうち6番目の目標となる「安全な水とトイレを世界中に」に取り組んでいる。

同社は、新棟を建設中の深川工場(北海道深川市)敷地内に、ロボットアーム式のコンクリート3Dプリンターを用いて積層造形した国内初の小規模建築物となる公衆トイレを2基建設し、9月16日に一般公開した。2基のうちの1基がインド向けのプロトタイプという。

3Dプリンターで外装を積層造形した上下水道不要の自己完結型公衆トイレが登場、ブロックチェーン活用のスマートロック採用

ブロックチェーンを活用し、自分の前の利用者の利用状況をレーティングできる

建設された2基の公衆トイレは、他社との技術コラボレーションで実現しているという。インド向けに採用されるスマートロックは、メディアスケッチと共同開発している。トイレの鍵の開閉をスマホで行えるだけでなく、ブロックチェーンを活用し、自分の前の利用者の利用状況をレーティングできるという。その仕組みにより「次の人のためにトイレをきれいに使う習慣」を定着させることにつなげる狙いがある。

3Dプリンターを用いて速乾性の特殊モルタルを抽出・印刷し、複雑な構造物を造形可能

「安全な水とトイレを世界中に」を目標とした同社は、女性スタッフを中心とする開発チームをインドに派遣し、現地のニーズや課題などを調査した。調査結果によると、インドでは野外排泄による水質汚染が深刻な社会問題という。トイレそのものが不浄なものとして、家に設置しないこともある。また公衆トイレで襲われるなど治安が確保されないケースもあるという。また、下水道などのインフラは、都市部以外は未整備で、水洗式を全土に普及させるには膨大なコストと時間がかかることがわかったという。

こうしたインドでの課題を解決するには、上下水道不要の自己完結型公衆トイレ(オフグリッド・トイレ)の普及が必要と判断。同社は、バイオによるトイレの処理技術や空気中から水を抽出する技術を持つベンチャー企業などと協業し、3Dプリンターで積層造形した自己完結型のハイテクトイレを試作した。

同社の3Dプリンターは速乾性の特殊モルタルをロボットアームのノズルから抽出し印刷する。従来のモルタルやコンクリートを流す際に使用する型枠は使わずに、複雑な構造物を造形できる。しかし、国内においてはコンクリートが建築基準法上の指定建築材料であることから、特殊モルタルなどの使用には大臣認定などの性能評価が必要となる。そのため今回は、プリントした中空状の外装を型枠代わりに使用し、その中にコンクリートを充填して配筋を施し、鉄筋コンクリート造の構造体としたという。

上下水道が不要になるバイオトイレのモジュール

上下水道が不要になるバイオトイレのモジュールは、正和電工が開発したおがくずを使用するタイプを採用。同モジュールは、スクリュー付きタンクにおがくずを充填しておくと、おがくずが排泄物によって保水される。保水後、タンクに設置されている約50度のヒーターでおがくずを加熱し、スクリューでかき混ぜることにより排泄物の90%の成分である水は蒸発する。残った約10%の固形分は、微生物が分解し発散させるという。

排泄物自身に含まれる腸内細菌と自然界に生息する微生物の働きで、排泄物は水と二酸化炭素に分解処理されるが、蒸発も分解もされない最後に残った無機成分は、粉状態でおがくずに吸着し、肥料として使用できるという。

空気中の湿気から水を生成する水生成装置も装備

また、アクアムホールディングスが開発した、空気中の湿気から水を生成する水生成装置も装備する。空気中の湿気を強力ファンで取り込み、コンデンサーによって冷却し強制的に結露を起こし、水を生成する。水は活性炭、ミネラル、ROフィルターなどでろ過することで安全な飲料水となる。今回は、手洗いとウォシュレット用に使用する。さらに、手洗い水を節約するため、沐羽科技の低圧霧化技術を導入。特殊なノズルとコンプレッサーで、通常の蛇口に比べて約90%の水を節水できる。

LasTrustとサートプロが「資格のDX」を目指し実証事業、ブロックチェーン証明書規格Blockcerts準拠で資格書をデジタル化

LasTrust(ラストラスト)とサートプロは9月25日、「資格のDX」を目指し、サートプロが運営管理する各種団体の資格証明書を、LasTrustのブロックチェーンを活用した証明書発行サービス「CloudCerts」(クラウドサーツ)でデジタル化する実証事業の開始を発表した

LasTrustの提供しているサービスCloudCertsは、あらゆる「証明」をセキュアにデジタル化できるブロックチェーン証明SaaS(オープンソースのブロックチェーン証明書規格Blockcertsに準拠)。今回のデジタル化実証実験では、サートプロが紙で発行・運用を行っていた資格の数々をデジタル化。合格証を合格者に渡すまでのリードタイムや発行・管理コストの改善、有資格者側の利便性向上を目指し、実証実験を行う。

LasTrustとサートプロが「資格のDX」を目指し実証事業、ブロックチェーン証明書規格Blockcerts準拠で資格書をデジタル化

実証実験により、ペーパーレスの実現、環境面への配慮とサスティナビリティ(持続可能性)の確保を行う。また、有資格証明のスマホ管理、デジタル有資格証明書のURL送付、SNSへの連携など、デジタル化による有資格者の利便性の向上を図る。有資格者の実績をブロックチェーンに記録し、個人の実績を永続的かつセキュアに保存していく。それにより、紙代・印刷費・郵送費といった間接費を削減し、削減できた経費を、付加価値を生む業務へ分配することを目標とするとした。

ブロックチェーン技術、またブロックチェーン証明書規格Blockcertsを活用する理由

証明書をデジタル化するだけであれば、JPGやPDFといった画像データでも可能なものの、それだけでは誰でも簡単に改ざんできてしまうため、汎用的な画像データを証明書の原本として使用することには問題があった。

一方ブロックチェーンは、一度書き込んだ情報を変更できないという耐改ざん性を備えている。またブロックチェーン上に分散管理しておくことで、資格提供団体の状態に関わらず半永久的に実績の記録が残る。資格証明書の有効性をゼロコストで検証できるという利点があり、証明書のデジタル化には必須の技術であると判断したという。さらにCloudCertsでは、コア部分において、MIT(マサチューセッツ工科大学)の研究機関Media LabとLearning Machineとが共同開発したブロックチェーン証明書のオープンスタンダード規格Blockcerts(ブロックサーツ)を利用しており、第三者機関による証明書発行システムの信頼性・透明性検証などにも耐えうるものとしている。

実証事業は、10月には証明書デジタル化の予備提供開始と市場調査を行う。その後、資格証明書デジタル化の検証を経て、12月には本格運用を目指すという。

実証事業においてデジタル化の対象とする資格・試験は、IoT検定(IoT検定制度委員会)となる。IoT検定は、IoTに関わるすべての人を対象に、技術的な視点のほかに、マーケティングやサービスの提供、ユーザーの視点から必要となるカテゴリー、スキル要件などを網羅し、それぞれの立場でIoTを企画・開発・利用するために必要な知識があることを認定する検定試験。

実証事業後は、サートプロが管理・運営を行うAndroid技術者認定試験制度、XMLマスター、アジャイル検定、E検定にも順次対応していく予定も明らかにした。

また、資格のデジタル化には留まらず、有資格者のスキルを可視化するなどデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みを強化し、「資格」という社会的資産の価値の底上げに寄与することを目指すという。

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