ViacomCBSがNFTスタートアップRecurとの提携でNFTに参入、普通のカードでも購入可

メディアコングロマリットのViacomCBS(バイアコムCBS)がNFTに参入する。NFT(非代替性トークン)はブロックチェーン上に保存された所有権にリンクしたデジタル資産だが、デジタルアートやコレクターズアイテムの売買によく使われており、その潜在的な市場が注目されている。ViacomCBSは、NFT企業であるRecur提携し、2022年から同社の象徴的なIPやフランチャイズをデジタルコレクターズアイテムの世界に導入することを発表した。これには、CBS、MTV、Showtime(ショウタイム)、Paramount Pictures(パラマウント・ピクチャーズ)、BET、Nickelodeon(ニコロデオン)、Comedy Central(コメディ・セントラル)といったViacomCBSのトップブランドの番組や映画の商品やコレクターズアイテムが含まれる。

このプロジェクトの詳細については同社は多くを明らかにしていないが、ファンが同社のポートフォリオに含まれるNFTを購入、収集、取引できる場所を作ることになると述べている。また、このプラットフォームは「ピア・ツー・ピアのエンゲージメントを促進し、ユーザーが新しい体験をするための革新的な方法を促進する」とも述べており、マーケットプレイスの側面だけでなく、新しい体験にはソーシャルな要素があることを示唆している。

最近、5000万ドル(約56億7000万円)のシリーズAを調達し、ローンチ前の評価額を3億3300万ドル(約377億円)に高めたRecurは、現在、NFTU.comというNFTプラットフォームの構築に取り組んでいる。このプラットフォームは、デジタルライセンシング企業であるVeritone(ベリト―ン)と共同で構築しており、Pac-12 Networksの大学スポーツビデオコンテンツ(スポーツハイライトなど)を使ったNFTを提供する。

このプロジェクトから、ViacomCBSが自社のNFT計画で何を考えているのか垣間見ることができる。

すでに多くのNFTマーケットプレイスが存在しているが、Recurの計画は、あらゆる暗号資産で鋳造される定期的なロイヤルティを標準化する技術を開発することだ。この決定は、NFTが「チェーンアグノスティック(非依存)」になることを意味し、より多くの潜在的なファンを暗号資産エコシステムに引き入れることになる。ブランドパートナーやIP保有者にとっては、NFTが自分のプラットフォームを離れて他の場所で再販された場合、元の権利者はその販売や再販から継続的なロイヤルティを無期限に受け取ることができるということだ。

これは、デジタルコレクターズアイテムとなりうるIPを大量に保有するメディア企業にとって、魅力的なことだ。例えば、Spongebob Squarepants(スポンジ・ボブ)、South Park(サウスパーク)、Star Trek(スタートレック)などのグッズを考えてみて欲しい(ただし、ViacomCBSは、最初のディストリビューションにどの番組を含めるかを発表していない。また、そのような決定を下す前に、IPに関連するクリエイターや俳優などと、より複雑な権利関係の話し合いが必要になる可能性もある)。

また、Recurのチェーンにとらわれないアプローチにより、NFTの購入には、暗号資産だけでなく、米国のクレジットカードやデビットカードも使用できるようになる。これは、暗号技術のアーリーアダプター以外の、より多くの人々にリーチしたい企業にとっても魅力的なことだ。

この新しいプラットフォーム(基本的にはRecurが提供するホワイトラベルのマーケットプレイス)は、2022年春にローンチするとViacomCBSは述べている。

NFTを導入するメディア企業は、ViacomCBSが初めてではない。メディア業界の著名人に加え、CNN、The New Yorker(ザ・ニューヨーカー)、Time(タイム)、Playboy(プレイボーイ)、Lionsgate(ライオンズゲート)、Media CentralGannett(ガネット、USAトゥデイなどの親会社)、Fox(フォックス)などがNFTを採用したり、独自の調査や実験を始めている。

ViacomCBSのコンシューマープロダクツ担当プレジデントであるPam Kaufman(パム・カウフマン)氏は、声明でこう述べている。「愛されているキャラクターや多世代に渡って愛されているアイコニックな作品に後押しされ、当社のコンシューマープロダクツのプレゼンスを、成長を続けるメタバースに向けてさらに加速させることができ、大変うれしく思っています。Recurと協力し、ViacomCBSのIPに特化したNFTプラットフォームを構築することで、熱心なコレクターも、初めてNFTを購入する方も、お気に入りのシリーズの一部を所有するユニークな機会を得ることができます」。

また、ViacomCBSは、NFTの販売による収益化には当面注力せず、このプラットフォームをコミュニティ構築やファンのエンゲージメントのために活用したいと考えているとのこと。

画像クレジット:ViacomCBS

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

3万以上のテレビ番組と映画2500本が楽しめる動画配信サービスParamount+は広告付きで月額約530円

ViacomCBS(バイアコムCBS)の経営陣は米国時間2月24日、投資家イベントをバーチャル開催し、3月4日に開始されるストリーミングサービスParamount+の戦略について説明を行った。同サービスは基本的には、CBS All Accessのリブランド・拡大バージョンだ。

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米国でのサービス開始に加えて、同社幹部は、このサービスは中南米とカナダでも3月4日に利用可能になり、その数週間後には北欧でのローンチ、そして今年中にはオーストラリアでの展開も予定されていると述べた。

Paramount+の料金は、米国では広告付きで月額4.99ドル(約530円、CBSオールアクセスの約640円よりも安い)、または広告なしでスポーツ、ニュース、ライブTVコンテンツを追加して9.99ドル(約1060円)になるという。また、Showtimeなどの同社のプレミアムサブスクリプションとバンドルする計画もある。

そう、さらにもう1つの名前に「+」がついたストリーミングサービスだ。しかし、同社のストリーミング社長兼 CEOであるTom Ryan(トム・ライアン)氏は、調査の結果、パラマウントやCBS だけでなく、Comedy Central、MTV、Nickelodeon(ニコロデオン)など、ViacomCBS のブランドは視聴者によく知られており、新サービスではこれらのブランドが前面に出されると述べている。さらに、ViacomCBSはすでに「13 Reasons Why(13の理由)」「Emily in Paris(エミリー、パリへ行く)」「Jack Ryan(ジャック・ライアン)」など、他のサービスでヒットしたストリーミング番組を数多く制作していることも注目に値する。

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ViacomCBSの幹部はまた、Paramount+はライブニュース、ライブスポーツ、そして(イベント中に繰り返されたフレーズを使うなら)「山のようなエンターテインメント」を独自に組み合わせたサービスになると主張している。また、商品面では4K、HDR、ドルビービジョンでのオリジナル作品を簡単にダウンロードできるサービスを提供するという。

エンターテイメント面では、3万エピソード以上のテレビ番組と2500本以上の映画があるとされている。さらに、Kelsey Grammer(ケルシー・グラマー)氏が役に復帰した「Frasier(そりゃないぜ!? フレイジャー)」の新バージョンや、2022年初頭にShowtimeではなくParamount+でデビューするテレビ番組「Halo(ヘイロー)」などの新番組も加わり、ライブラリーは拡大していくという。同サービスはまた、「Love Story(ある愛の詩)」「Fatal Attraction(危険な情事)」「Flashdance(フラッシュダンス)」のような、さまざまなパラマウント所有作品のリブートをしていく。

また、前身のCBS All Accessと同じように、Paramount+では「Star Trek(スタートレック)」シリーズの番組が放送されることになる。これにはすでに放映されていた「Discovery(ディスカバリー)」「Picard(ピカード)」「Lower Decks(ローワー・デッキ)」だけでなく、新シリーズ「Strange New Worlds」や、子供向けアニメ「Prodigy」が含まれる。

映画サイドでは、パラマウントのCEOであるJim Gianopulos(ジム・ジャイアノプロス)氏は、同社は劇場公開モデルを今でも重視しているが、2021年に公開されるいくつかの作品(「A Quiet Place Part 2(クワイエット・プレイス 破られた沈黙)」、「Paw Patrol(パウ・パトロール)」の第1作、「Mission Impossible 7(ミッション:インポッシブル7)」など)を、劇場公開から30〜45日後にParamount+で加速的に配信する予定だと述べた(HBO Maxは2021年、Warner Bros.(ワーナー・ブラザース)の映画を劇場公開と同時に配信する予定だとのことなので、HBO Maxほど積極的ではない戦略といえる)。また、「Paranormal Activity(パラノーマル・アクティビティ)」と「Pet Sematary(ペット・セメタリー)」のリブートを皮切りに、新作で直接ストリーミング公開される映画も出てくるという。

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タグ:ViacomCBSParamount+サブスクリプション動画配信

画像クレジット:Paramount+

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(文:Anthony Ha、翻訳:Dragonfly)

動画配信サービスCBS All Accessの後継Paramount+が米国・カナダ・中南米で2021年3月4日開始

2020年、ViacomCBS(バイアコムCBS)は、2019年のViacomとCBSの合併にともなうコンテンツラインナップの拡大をより良く反映させるために、同社のCBS All Access(オールアクセス)ストリーミングサービスが近日中にParamount+としてリブランドされると発表していた。米国時間1月19日、同社は米国でのParamount+のローンチ日を2021年3月4日に決定したと発表した。またラテンアメリカ、カナダ、北欧諸国を含む他の国際市場のローンチ日も公表した。

ラテンアメリカ市場では2021年3月4日にサービスが開始され、カナダでは同時にCBS All AccessからParamount+へとリブランドされる。ただし、カナダでは2021年後半までラインナップが拡充されないという。北欧地域では3月25日にサービスが開始され、その後、オーストラリアでは「2021年半ば」にサービスが開始されるとのこと。

ViacomCBSは2020年初めから、CBS All Accessの拡張であるこの新しいストリーミングサービスは、現在CBS All Accessでストリーミングされている複数の「Star Trek(スタートレック)」シリーズや「The Good Wife(グッド・ワイフ)」のスピンオフ作品「The Good Fight(ザ・グッド・ファイト)」などの増えているオリジナルコンテンツのコレクションを含め、同社の有名シリーズや大規模なコレクションを配信できるようになる、とリブランド計画を宣伝していた。

また新サービスはNFL、NCAAやPGAなどのスポーツリーグの試合中継や、CBSN地方局のニュースのライブ配信も継続して行うという。

2020年、ViacomCBSはさらに「The Godfather(ゴッドファーザー)」の製作過程を描いたオリジナル限定シリーズ「The Offer」、Taylor Sheridan(テイラー・シェリダン)氏が製作したCIAのスパイドラマ「Lioness」など、新サービスのために計画された他のオリジナル作品も発表した。また、過去40年間に焦点を当てたVH1の「Behind the Music」のリメイク版、フィクションのヒット番組「Criminal Minds(クリミナル・マインド FBI行動分析課)」を元にした実話の犯罪ドキュメンタリー「The Real Criminal Minds」、BETの「The Game」のリバイバルなども含まれている。

Nickelodeon(ニコロデオン)の「Spongebob Squarepants(スポンジ・ボブ)」から派生した新しい子供向けオリジナルシリーズ「Kamp Koral」を含む子供番組も拡大される。そして、映画「The Spongebob Movie:Sponge on the Run(スポンジ・ボブ:スポンジ・オン・ザ・ラン)」もビデオオンデマンド購読を通し配信されるという。

CBS All Accessは完全なリブランドに先立ち、BET、CBS、Comedy Central、MTV、Nickelodeon、Paramount PicturesといったViacomCBSが所有するブランドのコンテンツを取り入れ、3万以上のエピソードや映画を視聴できるようにすることを目標に、すでにラインナップを拡大していた

ViacomCBS は、Paramount+を独立した配信先にする計画を立てているが、他のストリーミングサービスにもコンテンツのライセンスを与えている。2020年に新たに統合された会社としての最初の1年間で、ViacomCBSはComcast(コムキャスト)、Dish(ディッシュ)、Verizon(ベライゾン、TechCrunchの親会社)、Nextstar(ネクストスター)、Meredith(メレディス)、Cox(コックス)、Sinclair(シンクレア)と受託放送契約を結び、YouTube TV(ユーチューブTV)とHulu(フールー)とは増分収益に関する契約を締結した。YouTube TVとHuluは、それぞれのラインアップにViacomCBS所有のチャンネルを6つ以上追加し、その結果、価格を引き上げている。

Paramount+は CBS All Accessの既存の技術プラットフォーム上に構築されているため、初日から前身と同じプラットフォーム(TV、ウェブ、モバイル)での配信が可能になる。

現在、CBS All Accessの加入者数は約800万人と推定されており、Disney+(7300万人以上)やHBO Max(1260万人の「アクティブユーザー」)などの新しいライバルよりもはるかに少ない。

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(翻訳:Nakazato)