ニュースアプリ「Vingow」などを開発するJX通信社、共同通信デジタルと資本業務提携

JX通信社代表取締役の米重克洋氏(左)と取締役の

JX通信社代表取締役の米重克洋氏(左)と取締役COOの細野雄紀氏(右)

ニュースアプリ「Vingow」などを開発するJX通信社は10月15日、共同通信デジタルとの資本業務提携を実施したことを明らかにした。資本提携として、共同通信デジタルを割当先とした第三者割当増資を実施。金額は非公開だが、関係者らによると億単位の資金を調達しているという。

「NewsDigest」

「NewsDigest」

JX通信社は2008年の設立。2012年10月よりVingowを提供している。Vingowは、ユーザーがあらかじめ登録したキーワードに対して、最適なニュースを閲覧できるというニュースアプリ。その仕組みを実現するために、同社では独自のエンジンを開発。ネット上の記事をクロール・自動解析・要約している。

Vingowで行っている記事の収集から整理・編集・発信のという一連のプロセスを、SaaS型のニュースエンジン「XWire(クロスワイヤ)」としてニュースサイトなどに提供しているのが同社のコア事業だ。大きなところでは、T-MEDIAホールディングスの運営するポータル「T-SITE」などへの導入実績がある。

また2015年には、速報配信に特化したニュースアプリ「NewsDigest(ニュースダイジェスト)」の提供も開始。ダウンロード数は数十万件だが、速報ということでプッシュ通知も積極的に行っていることもあり(もちろん設定でオフにできる)「起動回数やアクティブ率は他のニュースアプリと比較しても非常に高いのではないか」(JX通信社代表取締役の米重克洋氏)という。
さらにこのNewsDigestをベースにした法人向けの速報検知サービス「FASTALERT」も開発。大手メディアや金融機関を対象に提供していくという。

速報検知の仕組みについて聞いたところ、「Vingowで1日5万件の記事を解析してきた。その中から例えばどういった単語がニュースに使われるかなどのデータを蓄積している。人によってはビッグデータと呼ぶかも知れないが、そういった情報をもとにニュース性を見ている」(米重氏)とのこと。

これについては同社取締役COOの細野雄紀氏が例を挙げて説明してくれたのだが、例えば「ソーシャルネットワーク上で話題になっている記事」という切り口だけで速報のニュースを集めようとすると、2ちゃんねるのまとめ記事なんかも頻出するそうだ。そこでその内容を「ニュースそのもの」かどうか、すばやく正確に判定するために、Vingowで培ってきたノウハウが生きているという。

今回の資本業務提携により、JX通信社は自社の技術を共同通信グループの報道現場に応用する取り組みを協力して進めるとしている。また共同での新製品開発も検討するほか、XWireの拡販などでも協力していくとしている。

自動要約機能で差別化–ビジネスパーソン向けニュースアプリ「Vingow」の狙い

SmartNews」や「Gunosy」と並び称されることも多いJX通信社のニュースリーダーアプリ「Vingow」。そのiOS版が3月12日にリニューアルした。最新版のアプリはApp Storeにて無料でダウンロードできる。

Vingowは、約5000のニュースサイトと、ソーシャルメディアで注目の集まるメディアをクローリングして要素を解析。登録した「タグ(キーワード)」をもとに、ユーザーが必要とするニュースを集めて閲覧できるスマートフォン向けアプリだ。

ユーザー数は非公開ながら、サービス開始初月の記事閲覧数から直近2014年2月の記事閲覧数を比較すると150倍に成長しているという。ユーザーの8割は男性で、「特にビジネスパーソンに支持されている」(JX通信社代表取締役の米重克洋氏)という。

今回のリニューアルではアイコンやユーザーインターフェースを一新。気になった記事を保存するクリッピング機能なども導入した。さらにこれまで試験的に提供してきた「ニュースの自動要約機能」を正式版として提供する。

この機能は、クロールした記事をもとに、機械的に要約を作成するというものだ。同社によると、これまで違和感なく読める要約が7割程度だったそうだが、現在は(広告などのテキストを含まない形で)本文を正しくクロールできれば9割以上が読める品質になっているという。

「記事の要約にはいろいろな目的があるが、言ってみれば『よりメディアを見たくなる』という(動機付けをする)もの。要約を読むことでよりもとの記事全文が読みたくなる」と語る米重氏。Vingowでは要約と元記事へのリンクを用意しているが、元記事のキャッシュなどは保持せず、当該サイトにアクセスして閲覧する仕組みを採用している。「要約によってトラフィックも増えているとも聞く。また要約は元記事の本文を書き換えたものではないので、著作権や編集権も尊重している」(米重氏)。実際、要約の導入以降、元記事への送客は10%以上増加しているそうだ。

以下にある画像は実際にTechCrunch Japanに掲載された記事の要約だ。僕としては、自動生成された要約の品質としては満足できるのだが、読者の皆さんはどう思うだろうか。

米重氏によると、現在メディアからの問い合わせも少なくないそうだ。その多くはVinogowのエンジンの導入を検討したいという話なのだそうだ。たとえばある医療系のニュースサイトでは、Vingowでキーワードを入力するように、ユーザーの病状、症状などを入力することで、関連するニュースを自動で配信するという仕組みを導入している。

今後はエンジンの導入以外にも、課金モデルでのマネタイズを図る。米重氏は「詳しくは語れないが、既存のメディアのコンテンツを有料で閲覧するというものではない。ビジネスパーソンが、リアルタイムに自分の業界で知りたい情報を入手できるようにするのを手伝うもの」とだけ語る。ビジネスで多くのニュースに目を通す1人として、課金サービスが楽しみだ。


パーソナルニュースリーダーのVingowが「自動ニュース要約」機能を開始

Vingowは好みのタグを登録(SNSアカウントから分析してリコメンドも可)しておくと、それに関連したニュース記事を配信してくれるサービスだ。2011年末にβ版をリリースして以降、順調に成長しており、現在は約7万人がこのアプリを利用している。

このVingowが新たにニュース記事の自動要約機能の提供を開始した。自動要約といえば、今年3月にYahoo!が買収したSummlyや4月にGoogleが買収したWaviiが有名どころだろう。だが、これらのサービスは日本語には対応していなかったため、アプリ上で日本語のニュース記事を自動要約することは初となる。

Vingowの要約文は3つの文で構成され、本文中から重要な内容を抽出し、合計200字程度で表示してくれる。どのように要約文を構成しているのかは詳しく教えてもらうことは出来なかったが、元々Vingowが使用している本文抽出エンジンを利用し、文章の特徴的な箇所をスコア付けすることで、どの部分が重要かを判断しているようだ。

日本語は英語と違い、単語と単語に区切りがないため言語処理は難しいが、今のところ全体の記事に対して約70パーセントは上手く要約できているとVingowを運営するJX通信社代表取締役社長の米重克洋氏はいう。※記事下部に実際の要約文を掲載した。

米重氏は今回の要約機能によって、モバイルでの情報収集を効率化したいという。モバイル環境からのインターネット・トラフィックは、世界全体で15パーセントを占めるほどに成長してきており、大画面のPCに比べ小さな画面で情報量の少ないモバイルでは、今後ますます効率化が求められている。

モバイルだけではなく、単純にニュース記事の要約・短縮は重要視されているようで、英紙ファイナンシャルタイムズも先日、ニュースを短文で発信する「FastFT」をローンチするなど、ここ最近はこうしたトレンドが目立つように思える。

Vingowのユーザー数は直近2カ月で250パーセント成長しており、今回のアップデートにより、さらに成長を加速させていきたいと米重氏はいう。テストユーザーの利用実績では要約機能を追加後、アプリで読む記事本数が数倍に増えているそうだ。

今後は本文抽出エンジンの改善をするとともに、いくつか新しいアップデートを予定しているとのこと。

※実際の要約文

「FacebookがとうとうTwitter式ハッシュタグを導入する–さらに新機能を準備中」

“私が「友だち限定」の投稿にハッシュタグを含めたとすると、そのハッシュタグ検索で記事を読めるのは私の友だちに限定される”

“ハッシュタグ検索結果やハッシュタグ・フィードから直接あらたな投稿ができる”

“「ハッシュタグをクリックするとそのハッシュタグを含むニュースフィード中のコンテンツを読むことができるようになる」と述べている”