スウェーデンのVoltaが全電動トラック生産開始に向け562億円の評価額で約300億円調達

スウェーデンの電気自動車スタートアップVolta Trucks(ボルタトラックス)は、ガソリンを大量に消費し、不恰好な既存のトラックよりも安全で二酸化炭素排出量が少ない、より優れた都市部用の配送車両やその他のトラックを製造できると考えている。同社は、2022年後半のVolta Zeroトラック商業生産開始に向けた大詰め作業を行うために、大きな資金調達を完了させた。

同社はシリーズCラウンドで2億3000万ユーロ(約300億円)を調達した。同ラウンドでは同社を4億9000万ドル(562億円)強と評価したと思われる。健全な顧客リストを持つVoltaはこの資金を、最初のトラックが組立ラインを離れる前にエンジニアリングと事業運営に充てる予定だ。都市部の貨物輸送用に設計された初の全電動商用貨物車両になると同社がうたうVolta Zeroの予約受注額は現在12億ユーロ(約1562億円)を超え、台数にして5000台超と発表している。Voltaの広範な事業戦略は、トラックの販売とトラッキング・アズ・ア・サービスモデルによる車両の提供の両方に基づくものとなる。

2021年9月の同社の3700万ユーロ(約48億円)のシリーズBをリードしたニューヨーク拠点のLuxor Capitalが、今回のラウンドも主導している。不動産投資会社のByggmästare Anders J Ahlström(Volta同様ストックホルムに拠点を置いている)、サプライチェーンサービス大手のAgility、B-FLEXION(旧Waypoint Capital)も参加した。Voltaは評価額を公表していないが、Pitchbookのデータによると現在4億9000万ドル強で、この数字は今回、同社に近い関係者にも確認したものだ。

Voltaの成長と、同社がこれまでに3億2500万ドル(約373億円)超という多額の資金を調達したことは、自動車業界における大きな変化の一部だ。新しい製造技術、新しいバッテリー技術、新しいエネルギーインフラに取り組むスタートアップは、より安全でクリーンな技術で現状をディスラプトする新しい自動車を製造する絶好の機会を目にしている。

おそらくTesla(テスラ)が乗用車で収めたような電気自動車分野での成功に驚いた投資家は、これらのベンチャー企業に資本と、そして潜在的な顧客に信頼性を与えるべく資金を投入している。これらはすべて、自動車を次の技術革新の波に乗せるために不可欠な構成要素だ。技術革新で、Voltaのようなトラックは、車両やそれを利用する企業が新たなレベルの生産性を発揮できるよう、膨大なデータを収集・処理できるハードウェアプラットフォームとなる。

少なくとも理論上はそうだ。そこにたどり着くプロセスは、どうしても当初のバラ色のプロジェクトより遅くなり、コストも高くなる。これこそが、この分野の企業にとって大規模な資金調達を行い、市場投入のために戦略的投資家を集めることが重要である理由だ。

Voltaの2022年のロードマップには、Volta Zeroの設計を検証するためのプロトタイプ製造のエンジニアリングと生産事業への投資が含まれる予定だ。

交通渋滞、狭い道路、自転車などのマイクロモビリティ利用者の急増のために、配達トラックは珍しくないが危険なものでもあるロンドンやパリのような都市で行う試験運行を早期顧客に展開する。そうした環境のためにこれらの都市はVoltaのトラックにとって理想的なマーケットだ。同社は、ガス排出量が減るだけでなく(初の車両の電動航続距離は150〜200キロメートルで、2025年までに120万トンのCO2を削減するとしている)、ドライバーの視界も大幅に改善される(ドライバーが前席中央に座った場合220度)。ただし、当初は自動運転機能は搭載されないようだ。

「将来的には自動運転も視野に入れていますが、街中で使用する配達車両として設計していて、車内の荷物を車両から最終目的地まで届ける必要があります。そのため、この車両の目的には常に人の関与が必要で、自動運転はこのタイプの車両にはあまり関連性がありません」と広報担当者は述べた。

Voltaは、今回調達した資金の一部を使って、引き続き7.5トンおよび12トンの小さめの完全電動Volta Zero派生モデル(最初のモデルは16トン)の開発を行い、そしてゆくゆくは18トンの大型モデルも開発する。

同社はオーストリアに生産施設を建設中で、2023年に5000台、2024年に1万4000台、2025年には最大2万7000台のトラックを生産する計画だ。

Volta TrucksのCEOであるEssa Al-Saleh(エッサ・アルサレー)氏は声明で「応募者多数で成功したシリーズC資金調達ラウンドの終了は、外部が当社の旅路を肯定的にとらえていることを示しています」と述べた。「商用車分野の革新者および破壊者として、当社は業界をリードするペースで取り組み、大きな野望を抱いています。本日、シリーズC資金調達ラウンドを終了し、2億3000万ユーロを調達しました。これにより、当社がスタートアップから完全電気トラックメーカーに移行する中で、すべての目標を達成するための財務的な余裕が生まれました。5000台を超える車両と12億ユーロを超える受注は、当社の先駆的な製品とサービスの提供が、顧客から求められ、必要とされているという確信を当社と投資家に与えるものです」。

画像クレジット:Volta Trucks

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

広告サポート型EV充電ステーションネットワークのVoltaが約130億円調達

広告により収益化する電気自動車充電ステーションネットワークを開発しているVoltaは、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)管理の下で1億2500万ドル(約130億円)の新規資金調達を行った。

Voltaは食料品店、薬局チェーン、銀行、病院周辺の駐車場に設置された電気自動車用充電ステーションのネットワークを構築し、運営している。

声明によると、同社は55インチのデジタルディスプレイを備えた充電ステーションを、米国23州の200都市に設置している。

車の所有者は無料で充電でき、EVユーザーにリーチしたい小売店や消費財メーカーの支援を受けている。

今回の新たな資金調達により、Voltaはこれまで2億ドル(約210億円)以上の資金調達を行っており、そのキャッシュを使って国際的な事業展開を開始する意向だ。

Voltaの充電器を設置している企業にはAlbertsons Companies、Giant Food、Regency Centers、Wegmans、TopGolfなどがある。また、同社のスクリーンに広告を掲載しているブランドにはGM、Hulu、Nestlé(ネスレ)、Polestar、Porsche(ポルシェ)、Unilever(ユニリーバ)などがある。

「2018年に初めてVoltaに投資して以来、電化への興奮と関心、特に公共の充電ソリューションの解決への関心は高まり続けています」と、今回のラウンドの主要かつ既存の投資家であるEnergize VenturesのマネージングパートナーのJohn Tough(ジョン・タフ)氏は語った。「このチームにおける私たちの信念も同様に成長しており、Voltaは国内で最も資本効率が高く、利用率の高いEV充電ネットワークとして、この市場をリードする準備ができていると考えています」。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Volta電気自動車資金調達充電ステーション

画像クレジット:Volta Charging

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter