ラスベガス銃乱射事件を受け、SNSと検索サイトにはクリックベイトが氾濫

米国史上最悪となった銃乱射事件を受け、多くの人々が情報を求めてソーシャルメディアに目を向けたが、主要ウェブサイトに載せられたトップ記事のほとんどが全くのでたらめだった。

インターネットの下水道を流れるコメントの選別をアルゴリズムに任せ、数百万の人々に配信するやりかたに、もはや勝ち目はない。これは、Facebookを始めとするソーシャルメディアが責任を放棄し続けていることを示す新たな兆候だ。

Googleやソーシャルメディアサイトは、良質のニュースソースがヒットする確率を高めようと努力しているが、ラスベガス銃乱射事件に続くデマの拡散は、彼らの仕事がどれほど多く残っているかを示すものとなった。

事件の後Facebookの「安否確認」ページには、ある極右ブロガー犯人は「極左の愚か者」であると糾弾する投稿が載せられた。その後同ページのトップ記事は、ニュース集約サービス MyTVTodayのクリックベイトビデオに取って代わられ、その後ようやくローカルおよび全国報道機関の記事に落ち着いた。

[今日FacebookはThe Gateway Punditをフィードのトップに載せた。Google Newsは4chanスレッドを拡散した。シリコンバレーよ、われわれは問題を抱えている]

憶測や真っ赤なウソを看板ページで拡散しているのはFacebookだけではない。投稿サイトの4chanに流れた、Geary Danlyという人物を射撃犯と誤認した噂記事は、Googleのトップ記事ウィジェットに登場した(BuzzfeedBloomberg による)。

Googleは、BloombergとNew York Timesで以下の声明を発表した(本誌もコメントを求めている):

「遺憾ながら、今日午前本サイトで、少数の検索クエリの結果ページに、ウェブサイト4chanの不正確な記事が一時的に表示された。数時間後、4chanの記事はアルゴリズムによって有効な記事に置き換えられた。これはいかなるクエリについても起きてはならないことであり、将来同じことが起きないよう今後もアルゴリズムの改善に努める」

TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアが記事の選別に使用しているアルゴリズムは、配布される情報への注目度が高まる中、アルゴリズム自体が見出しを飾る結果となっている。

Buzzfeedに載りTwitterで拡散されたでっち上げ記事ひとつだけをとっても、同社自慢のニュースストリームに意図的に火を放つならず者に対して何らかの手を打つ必要があると @Jack(Dorsey CEO)に確信させるのに十分だ。

そもそも、どうして4chanのような情報源が速報ニュースの有効な配信元とされているのか、というのは真っ当な疑問だ。実際すでに声をあげている記者もいる。

[適切な情報をリアルタイムで表示することの難しさは認識しているが、どうやって4chanが情報源のひとつになったのかは理解できない。]

Google、Twitter、Facebookの各社は、現在議会が捜査しているロシアハッキングスキャンダルを受け、すでに詳しい調査の対象となっている。そして、多くの命を奪い人々を傷つけて国を震撼させたこの事件の扱いを誤ったことは、ソフトウェアに依存する彼らのやり方 ―― およびそれが与えるリアル世界への影響 ―― がいかに大きな問題かを如実に示すものだ。

[NBCの記事は辛うじて2番目に見えている。これは腐りきったニュース選択であり、責任のあるアルゴリズムは退陣すべきだ]

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

NFL、各チームによるSNS投稿ポリシーを緩和

OAKLAND, CA - NOVEMBER 27:  Derek Carr #4 of the Oakland Raiders celebrates after a touchdown by Latavius Murray #28 against the Carolina Panthers during their NFL game on November 27, 2016 in Oakland, California.  (Photo by Lachlan Cunningham/Getty Images)

2ヵ月ほど前、NFLはチームによるゲーム中のソーシャルメディア投稿を厳しく制限するルールを定めた。当然のことながら、反対意見が相次いだ。チームはもちろんファンも、ソーシャルメディアの有効性を否定するかのような決定に不満をつのらせていた。NFLとしては、視聴率の低迷をなんとかしたいという判断で行ったものだった。

しかしどうやら、NFLは制限を緩和する方向に転換することとしたようだ。Yahoo Financeが入手した各チーム宛のメモには、ファンとの交流にソーシャルメディアを使うことを制限付きで認める旨が記されている。

以下にNFLのソーシャルメディア・ポリシーの変更点を記しておこう。これも先述のYahoo Financeが入手した情報によるものだ。

  • 各チームは試合中にも「non-highlight」ビデオをソーシャルメディアに投稿することができる。これまでは、試合中にはいかなるビデオ投稿も行うことができなかった。「non-highlight」とは、プレイの様子を映したものはNGであるという意味だ。ただ、ハーフタイムショーの様子や、ファンの姿などは投稿できるようになったわけだ。
  • 試合中に投稿できるビデオは、各ソーシャルメディア・プラットフォーム毎に16件ずつとなった。これまでは最大8投稿までとなっていたのが倍増したことになる。
  • 試合中であっても、独自のGIF画像を投稿できるようになった(プレイの様子を映したものは投稿できない)。これまではゲーム中の様子を示すいかなるGIFも投稿することができなかった。どうしてもGIFを投稿したい場合には、特定の試合に関連しないGIFを投稿することになっていた。
  • Snapchatへの投稿は、試合中5件まで認められることとなった。これまでは、ゲーム中の投稿は一切認められていなかったのが緩和されることとなる。これにどのような意味があるのかはまだわからないが、テレビおよびNFLの公式投稿以外では、Snapchatが唯一ゲームの様子を見られるメディアということになる。
  • ルール違反に対する巨額の罰金は継続される。すなわちプレイの様子をライブでソーシャルメディアに投稿するようなケースでは、10万ドルもの罰金を課される可能性がある。

なお、Yahoo Financeが入手したというメモにはGiphyとの「試験運用の同意」についても触れられている。NFLゲームの公式や、過去の名シーンのGIFなどを提供していく予定なのだとのこと。

この件についてはGiphyに詳細を確認しているところだ。NFLが制作したGIFを公開するプラットフォームとなるようで、新たにゲーム中の様子をGIF化して公開/保存するというわけではないようだ。

今回の新しいルールでも、各チームは試合中の様子をGIF化して公開するようなことはできない。ゲームの様子をソーシャルメディアに投稿するには、NFLが制作したものを投稿するしかない。NFLが「公式」コンテンツを投稿するまで各チームは何のアクションも取れないわけで、これは依然としてチームの不満をよぶ要素ではある。

NFLも1試合しかないような場合には、即座にゲームの様子をGIF化する努力を行なってはいる。しかし試合が8つも重なるような場合にはGIF動画をつくるのにも時間がかかる。また、チームが公開したいと思う場面が、NFLの意向と一致しないケースも多い。そのような場合には、NFLに依頼して作ってもらう必要がある。当然ながら時間がかかることとなるわけだ。

とにもかくにも、ルール変更により各チームはこれまでより多くの情報をソーシャルメディアに投稿できるようになった。今後の話し合い次第では、プレイの様子を投稿できるようにもなるのかもしれない。

原文へ

(翻訳:Maeda, H