オミクロン株でCES出展者が参加を迷う中、主催は断固開催の意向

少々MWCのようになってきた。もちろん、2020年にバルセロナで開催が予定されていたMobile World Congress(モバイル・ワールド・コングレス、MWC)とは、これまでのところ少し異なる展開になっている。その理由は明らかだ。当時、パンデミックは事実上、未知のものだった。2年近く経った現在、我々は少なくとも、パンデミックをより把握しており、より効果的なツールを手に入れている。たとえ、すべての人がそうした方法を選択していないとしてもだ。

CES 2020は、世界的な封鎖という点では、ぎりぎりのところで間に合った。2021年の展示会では、主催者のCTA(全米民生技術協会)は(非常に賢明にも)そのリスクを回避し、完全にバーチャルで開催することを選択した。CES 2022は、多くの関係者にとって一種のハイブリッドイベントとして、控えめながら復活の道を歩んできた。

これまでのところ、バルセロナで見られたような根本的なドミノ倒しにはなっていない。しかし、オミクロン変異株の急速な広がりは、主催者にとって大きな脅威となっている。ホリデーシーズンの旅行関連の感染者急増(その数値的な影響はCESが終わるまでわからない)が非常にあり得ること、そしてラスベガスの一般的な予測不可能性(友人が最近述べたように、カジノを通らないと中心地のストリップのどこにも行けない)と相まって、なぜ最近多くの人が怖じ気づいたかは理解できる。また、イスラエルなどの国々の渡航制限も難しさに拍車をかけている。

CTAは声明の中で、計画どおり進めることを堅持している。CTAはTechCrunchに、これまでのところ、出展者のキャンセルはフロアスペースの7%に達しており、最新の変異株にもかかわらず、展示会に出展する企業は増え続けていると語った。

CES 2022は、強力な安全対策を取りながら米国時間1月5日から8日までラスベガスで開催されます。また、ラスベガスに行きたくない、あるいは行けない人々のために、デジタルでの参加も用意されています。私たちの使命は、業界を結集させ、実際の会場で参加できない方々にもCESの魅力をデジタルで体験していただくことにあります。

このほど42社の出展キャンセル(展示フロアの7%未満)がありましたが、12月17日以降、実際の会場への出展で新たに60社が加わりました。デジタルアクセスとラスベガスでのイベントの両方への登録はここ数日で数千件増え、力強い勢いを見せています。

CES 2022では世界の健康と安全、モビリティ、問題解決のための重要なイノベーションが展示されるため、計画通り進めます。さらに、何千もの中小企業がビジネスのためにCESに依存しています。出展者数は2200社以上に増え、12月21日に発表したように、両政党から選出された多くのトップがCESに参加します。

ワクチン接種の義務化、マスク着用、新型コロナ検査提供といったCESの包括的な健康対策、そして出席者数の抑制、社会的距離対策と合わせて、参加者、出展者は社会的距離を置きながらもラスベガスでの有意義で生産的なイベントに参加し、我々のデジタルアクセスで実りある体験ができると確信しています。

T-Mobile(Tモバイル)は米国時間12月21日、この展示会会場から撤退する最初の主要スポンサーとなった。同社は、資金面でのスポンサーとしての役割を果たし続けるが(おそらく契約無効化のようなことはまだ起きていない)、チームの大半を派遣しないことにし、CEOのMike Sievert(マイク・シーベルト)氏は対面でもバーチャルでも基調講演を行わない予定だ。奇妙なことに、WeezerはどうやらT-Mobileの祝福を受けながら、中心地ストリップで無料コンサートを行う

WeezerのボーカルであるRivers Cuomo(リヴァース・クオモ)氏のプレスリリースには「大好きなラスベガスに戻り、2021年の壮大なドローンレーシングリーグのラスベガス選手権レースにT-Mobileと一緒に参加できることにとても興奮しています」とある。

Meta(メタ)、Twitter(ツイッター)、Amazon(アマゾン)、Pinterest(ピンタレスト)は最初から手を引いている。しかし、いずれもビッグネームではあるものの、伝統的にこの展示会では目立つ存在ではない。

12月20日の週の初めには、The Verge、CNET、Engadget、PCMag、Gizmodo、Tom’s Guide、TechRadarと同様、TechCrunchもこの展示会にチームを派遣しないことを発表した。私たちとしては、簡単な決断ではなかった。この2年間でオンライン会議の世界へ移行するという著しい変化があったことは事実だが、我々にとってCESのような展示会にはまだ価値がある。

特に、Eureka Park(エウレカパーク)を歩き回り、そうでもしなければ騒音に満ちた受信トレイに埋もれてしまうような新しいスタートアップを直接見ることができるのは、大きな価値がある。筆者は、Venetian(旧Sands)エキスポホールのフロアで多くの企業を発見してきたので、前年の休みを経て再び同じことができることを非常に楽しみにしていた。

CES 2021は、世界(より具体的にはCTA)がすべてオンラインで開催されるハードウェア展示会に対応できるかどうか、大きな試金石となった。自身の体験からいうと、時期尚早だったと思う。バーチャルCESの体験はさほど良いものではなかった。特に、これらの展示会で最も難しく、重要な要素である「発見」に関してはそうだった。

2022年の展示会でどれだけのものが実際に展示されるかは別として、効果的なオンライン開催が必要だ。すでに多くのメディアが遠隔からの取材を計画している。また、このパンデミックが終息すると仮定した場合、今後どのように展示会をカバーするのか、多くの人が疑問に思っているはずだ。

CTAはこれまでのところ、こうした事態に揺るぎない態度を示している。CTAは、新しい健康プロトコルを導入しつつ、予定どおり展示会を開催すると繰り返している。ワクチン接種証明とマスク着用に加え、参加者には無料の迅速検査キットを配布し、参加者は会場に入る前の検査で陰性であることを証明する必要がある。

CESのソーシャルメディアアカウントは、ラスベガス・コンベンション・センター内部の画像や新しい講演者の発表に専念している。講演者には現在のところ、運輸長官のPete Buttigieg(ピート・ブティジェグ)氏や「NFT、WTF?!?!」というパネルでブロックチェーンについて話すことになっているParis Hilton(パリス・ヒルトン)氏などがいる。

Google(グーグル)、HTC、John Deere(ジョン・ディア)、TCL、BMWなどは「状況を注視し続けている」と語っている。NVIDIA(エヌビディア)を含む他の企業は、バーチャルの記者会見を行い、出展は行わないという、十分に警戒することを最初から選択した。

画像クレジット:Photo by ROBYN BECK/AFP / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

ロックバンドWeezerのフロントマンはコンピュータサイエンスの学生として二足の草鞋を履く

「やあ、僕がWeezer(ウィーザー)のリバースです」と、Rivers Cuomo(リバース・クオモ)は微笑みながら手を振った。ときおりカメラから目をそらしながら、彼は精一杯のインフォマーシャルピッチを始めた。「ツアーに参加していて、楽屋やツアーバスに座っていると想像してみてください。そして舞台裏にいます。あなたはステージ恐怖症で、ストレスでいっぱいです。あちらこちらに歩き回っています。その状況に加えて、ツアーマネージャーが何度も声をかけてきて、さまざまな移動に関する質問をしてきます」。

インターネットピッチ動画を見る限り、それは普遍的なものとはいえない。どちらかといえば、この3分間のクリップは、見ている人を最後まで惹きつける魅力には欠けている。最後に近い場面では、クオモ氏はマルーンのSpaceXパーカーを着て、プライベートジェットへのタラップを昇っていく。飛行機のドアが閉じると、Weezerのフライングロゴ「W」が現れる。

「GitHubからDrivetimes(ドライブタイムス)を今すぐダウンロードしよう」と、クオモ氏はナレーションで付け加えている。「これはCS50Xの成果です」。

これは最高に洗練されたアプリ宣伝ビデオではないし、クオモ氏のセールストークは、ベンチャーキャピタルにシードラウンドを申し込むつもりならもう少し洗練させた方が良いだろう。しかしオンラインプログラミングコースの最終プロジェクトとしては、それは見るべきものに仕上がっている。コードのページ、Google(グーグル)のスプレッドシート、主観ショットなどに交互に挟まれた映像は、Pixies(ピクシーズ)との共同ツアーの最中にクオモ氏が撮影したものだ。

この結果、クオモ氏はコースで95点を獲得した。

現在の構成では、ツアースケジューリングツールDrivetimeの魅力は限られているものの、クオモ氏の最終プロジェクトであるハーバード大学のフォローアップコースCS50Wの成果物は、四半世紀以上のキャリアを追う彼のファンたちにすぐに明かされた。今週クオモ氏は合計86時間以上に及ぶ2400個以上のデモ音源を投入した。1976年から2015年にかけてのもので、曲の品質はテープ録音されたスケッチから洗練された形態までさまざまなものが含まれている。それらの曲は、最終的にWeezerの13枚のアルバムの中に収録されたものもあれば、サイドプロジェクトに取り込まれたものもある。どこにも使われなかったものもある。

クオモ氏の「Mr. Rivers’ Neighborhood」サイトを通じて入手可能になっているが、トラックは9つのバンドルにまとめられ、それぞれ9ドル(約940円)で入手することができる。「ところで」とクオモ氏は、免責事項の一番下に書く。「このマーケットは、僕がウェブプログラミングのために履修しているコースの最終プロジェクトの成果物です」。

プラチナセールスを記録するロックスターは、実は5年にわたって、コンピュータープログラミングの学生としての日々も過ごしていたのだ。

「僕はいつでもスプレッドシート使いでした」と、クオモ氏はTechCrunchに語る。「2000年頃、Microsoft Access(マイクロソフト・アクセス)から始めて、次にExcel(エクセル)に移ったと思います。自分の曲やデモやアイデアを、とにかくすべて追跡するためです。スプレッドシートはますます複雑になり、その結果『まあこれじゃ、数式の中にとても扱いにくいコードを書いているようなものだな。おそらくきちんとプログラミングをやるべきなのだろう』と考えるようになりました」。

現実世界で成功したミュージシャンとしては、それは奇妙な副業だろう。しかし、クオモ氏にとっては、それは次の論理的なステップなのだ。Weezerの同名デビューアルバムの大成功を受け、彼はハーバード大学の2年生として入学し、1年間を寮で過ごした。結局このときには、クオモ氏はバンドの人気作となったアルバム「Pinkerton」を録音するために学校を去ることになったが、1997年と2004年に2度再入学を行い、2006年には英語の学士号を取得して最終的に卒業した。

CS50(コンピューターサイエンス履修コース50)でクオモ氏は、ハーバード大に戻ることとなった —— 少なくとも気持ちの上では。このコースは大学がオンラインで主催し、無料でコンピュータサイエンス入門を行うものだ。

「僕はいくつかのオンラインコースを見て回って、魅力的に感じられるものを探していました。そしてハーバードのCS50が非常に人気が高いことを知りました」とクオモ氏は語る。「そのときは『まあ一丁試してみるか』といった感じで、すぐにとりかかったわけではありませんでした。最初の週のコースはScratch(スクラッチ)を使用していました。ご存知かどうかはわからないけれど、それはクリックアンドドラッグで行うプログラミングで、ちょっとしたビデオゲームを作ることができます」。

6週間のコースを彼は6カ月かかって修了した。同じ年、2人の子供の父親でもあるミュージシャンは、何十ものショーで演奏し、グラミー賞にノミネートされたWeezerの10枚目のアルバム「White Album」を録音した 。

クオモ氏はいう「コースの途中でPython(バイソン)に出会ったときには、その強力さに驚きました。僕にとってそれはとても直観的だったのです。おかげでたくさんのことを行うことができました。そしてコースが終わるまで、旅を続けるミュージシャンとしての日々の生活を本当に管理し、自分のスプレッドシートを管理し、クリエイティブ・アーティストとしての仕事の管理にも役立つプログラムを書き続けていたのです」。

クオモ氏にとって、生産性が大きな問題だったことはない。バンドは2020年に「Black Alibum」の後2枚のアルバムを完成させていたし、彼はすでに別の2枚の仕事にも取りかかっていた。より大きな問題に思えたのは、そうした考えを整理することだった。だからスプレッドシートとデータベースの出番があったのだ。

「数千」ものスプレッドシートがやがてデータベースとなり、クオモ氏自身のデモや彼が研究した他のアーティストたちの作品がカタログ化された。

「何年もの間、それは時間の無駄もしくは道楽のように思えていました」と彼はいう。「僕はそうした古いアイデアをただカタログ化するのではなく、新しい曲を書いたり、曲のレコーディングを行うべきだったのです。でも何年も経った後でようやく、僕はこうした古いアイデアをとても効率的に活用できることに気がつきました。なにしろ自分で書いたPythonプログラムに対して『おい、126BPMでキーはAフラットの曲を全部見せてくれ。ただし3度のスケールとメロディでスタートしてドリアンモード、そしてマネージャーが3つ星以上のスコアをくれたやつだ』と命令できるのですからね」。

彼は、このやり方はファンが望んでいるであろうロックンロールのロマン主義に、ある意味欠けていることを認めている。しかしクオモ氏は、分析的なページ上で創作をしていたとしても、まだそこには魔法が残されていると主張する。

クオモ氏にとって、生産性が大きな問題だったことはない。彼の生産性のレベルを考えると、むしろそれらの思考のすべてを整理することの方が難しい可能性が高い。だからスプレッドシートとデータベースが必要となったのだ。

「私たちが伝統的に人間の創造性だと考えているものの中には、自発性とインスピレーションの余地がまだたくさんあります」とクオモ氏は説明する。「この領域における僕のヒーローの1人が、Igor Stravinsky(イーゴリ・ストラヴィンスキー)です。『音楽の詩学』という彼の講義録があります。そして、彼はその講義録にメモを添えています。彼は自分の能力の1つしか使っていない作曲家には興味がないといっています、それは『クリエイティブゾーンにいるとき、自分の頭に自発的に飛び込んでくるものを書くだけです。それ以外のツールは何も使いません』というような作曲家のことです」。

「彼がいっているのは、『いや、私が聴きたいのは、自由に使える能力や、すべての直観を使いながら、同時に自分の持っているものすべてを分析し分類し活用する、知性と能力を駆使する作曲家の音楽なのです』ということです。僕はそうすることが、最もワイルドで予測不可能でクリエイティブな作品になることがわかったのです」。

そして作曲数そのものが不足することはなかった。クオモ氏は、バンドは今年の「Black Album」に加えて2枚のアルバムを完成させて、さらに個人的にさらに2枚のアルバムに着手していたという。18ヶ月のメジャーレーベルのアルバムリリースサイクルに何十年もの時間を詰め込んで、Demosプロジェクトを手掛けたあと、彼はファンに直接音楽をリリースするための、より多くの方法を見つけることに新たな関心を持つようになったという。

「自分としては、大きなマーケットを本当に理解していたり、世界に最大の影響を与える方法を知っていたりしているとはとても思えませんね」と彼はいう。「僕のマネージャーはそれが得意ですが、彼に対してこんなことを話したばかりです『なあ、ここに何かを感じるよな。なんといっても、本当に楽しいし、ファンも本当に喜んでくれている。みんなも気軽に参加してくれるしね』。コーディングは簡単ではありませんが、みなさんには、数クリックをするだけで、この音楽すべてを手にしてもらうことができます。値段も安いし、中間業者もいません。PayPalは多少手数料がかかりますが、メジャーレーベルほどではないですしね。だから、これは『何か』なのです。そして、僕から聞き手に直接伝えることができるのは、本当に素晴らしい何かなのです」。

いまのところ、コンピュータサイエンスは彼の時間の多くを占め続けている。クオモ氏自身は、働いている時間の約70%をプログラミングプロジェクトに費やしていると見積もっている。水曜日の夜には、彼は(数十年にわたる情熱を注いている)瞑想サイトのためのプログラミングを手伝い、さらにハーバード大学のフォローアップコースのCS50Mを受講する予定だ。このコースはモバイルアプリの開発を中心にしたものだ。

とはいえ、すぐに自分の本業を辞める予定はない。

「スタートアップとかに就職したり、誰かのウェブサイトの保守をすることは想像もできませんね」と彼はいう。「とはいえ、ロックスターとウェブ開発者の間の線が徐々にぼやけてきているので、ミュージシャンたちが技術ツールをますます活用できるようになるでしょう。音楽ソフトだけでなく、聞き手とのつながりをコードする中で現れる、配信や組織や創造性の手段をどんどん活用していきたいと思っています」。

カテゴリー:その他
タグ:Weezer

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:sako)