急成長するライブストリームショッピングプラットフォームのWhatnotがPastel Labsを買収、エンジニアリング担当VPも雇用

ライブストリームショッピングプラットフォームのWhatnot(ワットノット)は、フェニックスのガレージから抜け出して今や従業員数120人、評価額15億ドル(約1717億5000万円)にまで成長した。事業が爆発的に成長していることから、2022年中に従業員は300人以上になると見込まれている。この成長を支えるために、Whatnotは重要な人物を2人雇用する。1人は2020年にJeff Chang(ジェフ・チャン)氏が創業したPastel Labsの買収に関連している。チャン氏はかつてPinterestの成長チームでテクニカルリードを務めた著名な成長アドバイザーで、買収にともなってWhatnotの成長担当責任者となった。買収は全株式の取引でIPは含まれないことから「アクハイヤー」(買収による雇用)と見られる。Whatnotはもう1人、Lyftの成長&プロダクトエンジニアリング担当責任者だったLudo Antonov(ルード・アントノフ)氏をVP兼エンジニアリング担当責任者として雇用することも発表した。

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Pastel Labsの買収は2021年12月に合意していたものの発表されていなかった。この買収についてWhatnotの共同創業者でCEOのGrant Lafontaine(グラント・ラフォンテーヌ)氏は、500万〜1000万ドル(約5億7000万〜11億4500万円)規模と述べた。Pastel Labsは従業員5人の小さい企業で、ユーザーのビデオメッセージを記録するSaaSプロダクトやオンライン指導向けのEdTechマーケットプレイスなど、実験的なプロダクトを開発していた。

画像クレジット:Whatnot

ラフォンテーヌ氏はアクセラレータプログラムのY Combinatorでチャン氏を知った。Whatnotはコロナ禍の直前である2020年冬にY Combinatorに参加していた。創業当初、ビニール人形のFunko Popのようなコレクターズアイテムのリセールに力を入れていたWhatnotは、資金を調達できなかった。人々はお遊びではなくコロナ禍に気を取られていたからだ。Whatnotはしばらくの間、ロサンゼルスからフェニックスへ移らざるを得ないほどだった。しかし同社は、米国の市場ではライブのソーシャルコマースは初期段階で今後の可能性を大いに秘めていると考えて、構築を続けた。

ラフォンテーヌ氏は「(チャン氏は)Y Combinatorでまさに成長を教えている人です」と述べ、チャン氏について「会社をスケールし、成長させることと、そのためのメカニズム」を知ることに関して世界で指折りの人物と説明している。ラフォンテーヌ氏によれば、チャン氏はこれまでにも成長に関する問題についてWhatnotにアドバイスをしてきたという。そして両氏が話をする中で、ラフォンテーヌ氏はPastel Labsで開発されてきたことの一部を、1年間で60倍以上の成長を遂げたばかりのWhatnotでさらに活かせるのではないかと考えた。

今後、チャン氏はWhatnotでマーケットプレイスの売り手側のスケールに力を入れる。現在、マーケットプレイスで扱われているものはスポーツやゲームのカード、おもちゃ、マンガ、ビンテージゲームなどのコレクターズアイテムが中心で、最近ではスニーカー、ビンテージファッション、レコード盤などのマニア向けカテゴリーもある。チャン氏は買い手側の強化にも力を入れ、スケールし続けるために必要な仕組みを明らかにしていく。それは広告かもしれないし、共有のためのツールか、あるいはもっと別のものかもしれない。同氏が率いる成長チームのメンバーは現在6人で、今後増員する計画だ。

もう1人のアントノフ氏はLyftやPinterest、Huluなど多くの有力テック企業での経験があり、今後はWhatnotのエンジニアリングチームを動かしていく。

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ラフォンテーヌ氏はアントノフ氏について「ルードは世界有数の成長を遂げたPinterestの成長チームや、Lyftの数百人にのぼるプロダクト&成長エンジニアリングチームの運営など、一流のエンジニアリングチームを確立してきました。彼の経歴はWhatnotにうってつけです。ビデオを扱い、コンテンツやPinterestを扱い、Lyftでマーケットプレイスを扱ってきました」と称賛している。

ラフォンテーヌ氏は、Whatnotはコンテンツプラットフォーム、マーケットプレイス、ビデオプラットフォームの3つをすべて包含するものだと補足した。

新たに加わる2人は、NFTなどの新しい分野に進出して拡大を続けるWhatnotを率いていく。同社は他にも、スケーリング、低遅延の環境、リアルタイムのデータを用いてコンテンツを発見するシステムの構築といった課題にも取り組む。ラフォンテーヌ氏によれば、今後1年間で同社はコレクターズアイテムやマニア向けカテゴリー以外にも拡大していく予定だという。さらに同社は、コンシューマ向けの新機能や売り手向けツールを追加する計画も立てている。

「ジェフとルードはともに、成長やマーケットプレイスのエンジニアリングチームを率いる豊かな経験を持っています。2人はコンテンツとコマースを組み合わせるだけでなく、企業のユーザーを何億人にもスケールする技量を示してきました。ルードとジェフがWhatnotに加わって、これほどうれしいことはありません」とラフォンテーヌ氏はいう。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

コレクター向けのライブストリーミングショッピングアプリWhatnotが約165億円を調達、ユニコーン企業に

レアなポケモンカードやFunko Pop(ファンコ・ポップ)などのコレクター向けのライブストリーミングショッピングプラットフォームを提供している「Whatnot(ワットノット)」は、2021年だけで3回目の資金調達となるシリーズCの1億5000万ドル(約164億9600万円)を獲得した。今回のラウンドでWhatnotの評価額は15億ドル(約1648億9300万円)に達し、増え続けるユニコーン企業のリストに名を連ねることとなった。

では「Whatnot」とはどんなアプリなのか?このアプリは、米国でInstagram(インスタグラム)などのプラットフォームで人気が高まっていた(中国ではすでに大きな人気を博していた)ライブショッピングというトレンドに着目している。認証された出品者は、アプリを使っていつでも生中継を開始でき、その場で商品のビデオオークションを開催することができる。購入者が何を購入しているのか把握している場合もあれば、ときにはミステリーバッグのように何が手に入るのかわからない場合もある。例えば、ポケモンカードやスポーツカードの未開封の箱の一部をユーザーが購入し、その中身をライブで公開する「カードブレイク」というコンセプトが人気だ。

今回のラウンドでは、投資家のa16zとY Combinator(Yコンビネーター)のContinuity Fund(コンティニュイティー・ファンド)に加えて、新たにCapitalG(キャピタルG)(Google / Alphabetの社名変更前は「Google Capital」として知られていた)が出資した。また、エンジェル投資家として、Golden State Warriors(ゴールデンステート・ウォリアーズ)のAndre Iguodala(アンドレ・イグダラ)氏、New Orleans Pelicans(ニューオーリンズ・ペリカンズ)のZion Williamson(ザイオン・ウィリアムソン)氏、ユーチューバーのLogan Paul(ローガン・ポール)氏など、有名どころが加わっている。このラウンドに関する最初の情報は、先週、The Information(インフォメーション)で報じられた。

Whatnotはもともと、一般的な(ライブ感の少ない)再販用のプラットフォームとしてスタートし、当初は、Funko Popの公式コレクターズアイテムのみに絞っていた。しかし、パンデミックの影響で誰もが家に閉じこもりがちになったことを受け、同社はライブショッピングに力を入れ、その結果、急成長を遂げることとなった。

その間に、同社は急速に取り扱う範囲を拡大し、Funko Popだけでなく、ポケモンカード、ピンバッジ、古着、スニーカーなど、あらゆる種類のコレクターズアイテムを扱うようになった。Whatnotの共同設立者であるGrant Lafontaine(グラント・ラフォンテーヌ)氏によると、同社で最も人気なカテゴリーはスポーツカードであり、次にポケモンとFunko Popが続くという。Whatnotでは、各カテゴリーにおいて、それぞれのコミュニティですでに知られ、信頼されている販売者を採用することを重視している。参加している各ストリーマーは、ライブを開始する前に同社によって審査されているため、不正行為を最小限に抑えることができる。なにか怪しいことをすれば、同プラットフォームから追い出され、自分の評判を落とすことになるだけだ。

その他、ラフォンテーヌ氏との会話からいくつかのポイントを紹介する。

  • 展開できるカテゴリーは「数千」にのぼるという。今、取り組んでいるのは NFT(非代替性トークン)だ。ストリーマーは、自分のNFTをWhatnotに取り込み、画面に表示したり、ライブストリームの中に(静的またはアニメーションの)オーバーレイとして取り込むことができる。ユーザーは、画面に表示されたNFTをタップすると、そのメタデータが表示され、NFTの詳細を確認することができる。
  • 同氏によると、現在、このプラットフォームには「数千人のアクティブなライブストリーム販売者」がいるという。
  • 同社のGMV(プラットフォーム上で販売されたすべての商品の合計金額)は、2021年の初めに行われたシリーズAの時点から30倍に増加している。Whatnotは販売額の8%を受け取る。
  • 同社は現在「プレビッディング(事前入札)」機能の導入を進めている。これは、ライブストリームが始まる前に、ユーザーが欲しいと思っている商品に入札することができるというものだ。例えば、ユーザーがあるものを欲しがっていて、それを入札したいと思っているものの、ライブを見ることができない場合などを想定している。もちろん、他の人が入札に参加することも可能だ。
  • 同社は近日中に、iOSとAndroidの両方のアプリを全面的に再構築し、買い手と売り手の両方にとって利用プロセス全体がよりスムーズで簡単になるような、新しいUIを採用する予定だ。ラフォンテーヌ氏は「来週か再来週」にはすべてのユーザーにこのアプリが提供されると期待している。

今回のラウンドにより、同社の資金調達額は2億2500万ドル(約247億4600万円)となり、そのほとんどが2020年中に調達されたものだ。一方、この分野での競争は激化している。「Popshop(ポップショップ)」のような競合企業は、自社のプラットフォームのために数百万ドル(数億円)の資金を調達しており、マイアミの「Loupe(ルーペ)」は、スポーツカードのライブ販売に焦点を当て、6月に1200万ドル(約13億1900万円)を調達した(近日中に実店舗をオープンする予定)。さらに、既存の大手企業もこの分野に参入しようとしている。YouTube(ユーチューブ)はライブショッピングのコンセプトを取り入れており、Amazon(アマゾン)もライブセッションを開催するインフルエンサーを招いている。言い換えれば「この領域に注目せよ」ということだ。もしかしたら、この競争そのものもライブストリームで見られるかもしれない。

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Dragonfly)

ポケモンカードやFunko Popなどをライブストリームで販売するWhatnotが54.4億円を調達

Whatnot(ワットノット)は1つの目標を心に抱いている。それは、ポケモンカードやスポーツカード、ピンバッジなどのコレクターズアイテムを、安全で信頼性の高い方法で売買できる場所を提供することだ。

同社は当初、GOAT(ゴート)やStockX(ストックX)のような再販市場を目指していた。そこでは、小さなページに、販売される商品の静止画像がずらりと並んで表示されている。やがて、それ以外の形式を試して行く中で、かなり有望そうなものを発見することになる。それが「ライブ配信」だ。QVCやHome Shopping Networkのようなもの(いずれも有名な通販番組)を想像して欲しい。ただしそれは、巨大なスタジオでホストが宝石や家具を売るようなものではなく、ユーザーがスマートフォンを使って、ポケモンカードやヨーダのフィギュアを売るのだ。

画像クレジット:Whatnot

Whatnotについて初めて書いたのは2020年のことだった。それから短期間のうちに、同社は徐々に大きくなる資金調達を続けて、同年12月に400万ドル(約4億3000万円)、2021年3月に2000万ドル(約21億8000万円)、そして米国時間5月25日に、さらに5000万ドル(約54億4000万)を調達した。

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Whatnotは今でも、売り手が24時間365日利用できるように、より標準的な商品ページを提供し続けているものの、今ではライブストリーミングの方が圧倒的に重要な役割を果たすようになった。共同創業者のGrant LaFontaine(グラント・ラフォンテイン)氏は、私に対して「注意の95%」がライブストリーミングに向けられていると語った。ここは、同社の売上の大半を占める場所であり、ユーザーが最も関心を寄せているところなのだ。

他に、ユーザーが気にしているものは?スポーツカードだ。Whatnotは1月にスポーツカードの販売者にサイトを開放したが、すぐにサイトの最も売上の立つカテゴリーになった。この1つのカテゴリーだけで、今では毎月「数百万ドル」(数億円)の売上を占めているという。

Whatnotのチーム自体も急速に成長している。私が最初に話を聞いたときには、まだひと握りの社員しかいなかったが、2021年の1月には10人に増えていた。そして現在は45人のフルタイム従業員がいる。年内には100名近くになるだろうとラフォンテイン氏はいう。

Whatnotのマーケットプレイスでは誰でも販売を行うことができるが、ライブストリームで販売ができるのは、審査や招待を受けたユーザーだけだ。このことは、不正行為を抑制するのに役立っている。売り手は、偽のカードを忍び込ませたり、誰かを騙そうとしたりすれば、ライブストリーミングへのアクセス、つまり買い手を失ってしまう可能性があることを知っているからだ。

同社によれば、今回のシリーズBラウンドは、Y CombinatorによるContinuityファンドのAnu Hariharan(アヌ・ハリハラン)氏が主導し、Andreessen Horowitz、Animal Capital、その他多くのエンジェルが支援したということだ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Whatnot資金調達ライブストリーミングコレクション

画像クレジット:Whatnot

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(文:Greg Kumparak、翻訳:sako)

ポケモンカードやレアなおもちゃなどコレクター品をライブ配信で販売するアプリ「Whatnot」が21.7億円調達

2020年2月にWhatnotについて最初の記事を書いたとき、同社はまだスタートしたばかりだった。収集価値のあるおもちゃのGOAT(the greatest of all time、史上最高)になることを目指し、同社は当初、本物だと証明されたFUNKO POPフィギュアを売買するための信頼できる場になることに焦点を当てていた。

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数カ月後、Whatnotはピンバッジやポケモンカードなどのカテゴリーを拡大し、ライブショッピングプラットフォームの構築を開始した。テレビのショッピングチャンネルのようなものだが、スタジオやカメラクルーの代わりに、自宅でiPhoneのカメラを使い、仲間のコレクター向けにストリーミングして売るわけだ。このコンセプトはすでに中国で人気が実証されており、米国のコレクターの間でも人気が出始めていた。しかし、これらの米国発ライブストリームの多くは、実際に入札や販売が発生した後の支払いを処理できるように作られていないInstagramライブで配信されていた。Whatnotは市場のギャップを見出し、それを埋めたいと考えた。

その動きは、同社チームにとって順調に運んでいるようだ。2020年末、Whatnotは400万ドル(約4億3000万円)のシードラウンドを調達した。それからわずか数カ月しか経っていないが、同社はライブショッピングプラットフォームの勢いに乗り、より多くの収集品カテゴリに拡大することを目指し、新たに2000万ドル(約21億7000万円)を調達した。

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同社によると、このシリーズAラウンドはAndreessen HorowitzのConnie Chan(コニー・チャン)氏が主導し、YC、Wonder Ventures、Operator Partners、Scribble Ventures、ミュージシャン・DJとしても知られるSteve Aoki(スティーヴ・アオキ)氏、そしてエンジェル投資家のChris Zarou(クリス・ザロウ)氏が参加したという。

Whatnot はより伝統的な、ライブ配信ではない販売プラットフォームも提供し続けている。しかし、共同設立者のGrant LaFontaine(グラント・ラフォンテーヌ)氏は、同社チームの取り組みの「95%」は現在ライブストリーム側に集中している、と語った。

「人々が当社(アプリ)に来てくれるのは実際ライブが目当てですが、そうした後に『10種類の違うアプリを使って売るのは面倒だ』と感じるユーザーも多いでしょうから、ワンストップショップになるためのツールを提供しています」と彼はいう。

2020年12月に言及したように、Whatnot上のライブ配信の中でますます人気のあるタイプは「カードブレーク(card break)」だ。その仕組みは以下のようになっている。

複数のユーザーが自分たちのお金をプールして、カードパックの箱全体を購入します。これは多くの場合、もはや生産されていない箱で、入手するのに数千ドルかかることもあります。各ユーザーは番号を取得し、それぞれの番号は箱の中の特定のパック(または複数のパック)に関連付けられています。各パックはライブ配信で開封され、中身はそのパックの番号に紐付けられた(うまくいけば?)ラッキーな所有者に送られます。

なぜまた資金調達を行ったのか?ラフォンテーヌ氏によると、より多くのカテゴリーに迅速に進出するためだという。同社は現在、主にポケモンカード、FUNKO POP、FigPins、そしてスポーツカードに焦点を当てているが、コミックブック、ビデオゲーム、ビンテージハードウェアなども自然にかみ合うと同社は考えている。新しいカテゴリーに飛び込むということは、そのためのコミュニティを構築し、信頼できる売り手がプラットフォームに加わるよう説得し、それを価値あるものにするために適切な買い手にマーケティングを行うことを意味する。同社のチームは、いずれ100以上のカテゴリーを対象にする予定だという。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:WhatnotGOAT資金調達

画像クレジット:Whatnot

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Aya Nakazato)