安全性重視の暗号資産ウォレットZenGoが約21.7億円調達、デビットカードも近く提供

暗号資産(仮想通貨)を管理するモバイルアプリのZenGoは、Insight Partnersが主導する2000万ドル(約21億7000万円)のシリーズA資金調達ラウンドを実施した。ZenGoは自己管理ウォレット(non-custodial wallet)で、同社がユーザーの暗号資産を管理するのではなく、秘密鍵とデジタル資産の管理は自分で行うことを意味する。

他の投資家には、Distributed GlobalとAustin Rief Venturesが含まれる。また、既存投資家であるBenson Oak、Samsung Next、Elron、Collider Ventures、FJ Labsなどもイスラエル時間4月27日に行われた資金調達ラウンドに参加した。

ZenGoが他のウォレットアプリと異なるのは、シンプルで使いやすく理解しやすい商品を維持しながら、一般的な暗号資産ウォレットよりも安全性の高いものを構築しようとしている点だ。同社はCoinbase Wallet(Coinbase.comとは異なる)やArgentなど、他の自己管理ウォレットと競合している。

具体的には、ZenGoはマルチパーティ計算(MPC)をベースにしている。最初にウォレットを作成する際、ZenGoは複数の秘密鍵(シークレットキー)を生成し、それらを異なる方法で保存・暗号化する。つまり、同社はユーザーのトークンに直接アクセスできず、ユーザーは携帯電話を紛失してもウォレットを復元することができる。

インフラや企業顧客に焦点を当てている他の暗号資産企業も、セキュリティモデルとしてMPCを選択している。最近1億3300万ドル(約145億円)を調達したFireblocksはその一例だ。

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しかし、ZenGoが作っているのは消費者向けのアプリだ。同社は2020年には、10万人のユーザーから1億ドル(約109億円)以上の暗号資産取引を処理している。ZenGoは2021年の最初の3カ月で同じマイルストーンに到達し、新たに10万人のユーザーを増やしている。

また、ZenGoを通じてDeFiプロジェクト(DeFi:decentralized finance、分散ファイナンス)を閲覧し、貯蓄プールにアクセスすることもできる。同社は、これらの投資から利益を得ている。

今回の資金調達により、ZenGoは同じ哲学を念頭に置いて事業を拡大していく予定だ。より多くのチェーンやアセットのサポート、より多くのパートナーシップ、暗号資産を購入して不換紙幣に変換するオプションなどが期待できるという。

同社は最近、デビットカードの提供を開始する計画を発表した。これにより、ユーザーは暗号資産を変換した後、Visaカードが使える場所であればどこでも支払いに使えるようになる。つまり、ZenGoはセキュリティを重視した暗号資産スーパーアプリを構築しているということだ。

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(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)

仮想通貨ウォレットアプリZenGoが米国でデビットカードを発行

仮想通貨を管理するモバイルアプリZenGo(ゼンゴー)は、Visa(ビザ)のデビットカードを米国内で発行する。仮想通貨を使うデビットカードはこれが初めてというわけではない。Coinbase(コインベース)は、デビットカードの運用を米国に拡大するとつい先週発表している。しかし、ZenGoの場合は、資産管理権のないウォレットとなる。つまり、自分の仮想通貨資産を自分で管理できるのだ。

取引所に仮想通貨を預けると、他の人がそのアカウントにアクセスして他のウォレットに通貨を送ることができる。もちろん、電子メールによる確認や2ファクター認証などのセキュリティ機能はあるが、基本的には利用する取引所のセキュリティ担当者に依存することになる。

ZenGoをはじめとする資産管理権のないウォレットでは、自分でセキュリティの責任を負わなければならない。自分自身が仮想通貨銀行となるわけだ。ZenGo自身が仮想通貨の送金や換金はできないため、デビットカードの発行はとても複雑な事業となる。

ZenGoは、2021年初頭には独自のデビットカードの発行を目指し、Visaの「Fintechファストトラックプログラム」に加盟した。現在のところカード発行は米国内のみだが、同スタートアップでは他の国々での発行もすでに計画している。

利用者が保有している仮想通貨の種類をZenGoは関知しないため、利用者はまず自身の仮想通貨を米ドルに換金しなければならない。このモバイルアプリでは、資産を米ドルなどの不換通貨に換金し、カードにチャージできる。日常的にカードを使用する場合は、毎週決まった額をチャージするようにもできる。

他の仮想通貨対応カードと異なり、このカードには換金というステップが付け加えられている。「Coinbaseなどはそれを自動で行う場合、どの仮想通貨で支払うかを自由に変えられないという問題があります。最初に彼らが決めるかまたは自分で決めるよう要請され、それが後の取引でずっと使われるようになります」と、ZenGoの共同創設者にしてCEOのOuriel Ohayon(オリエル・オハヨン)氏は私に語った。

さらに、ZenGoウォレットの残金は、このカードでは一切使えない。そのため、たとえカードが奪われるなどの危険にさらされたとしても、暗号資産は安全に保たれる。

ZenGoでは、MoonPay(ムーンペイ)とCoinmama(コインママ)との提携により、同アプリでの仮想通貨の取得をすでに可能にしている。このカードのおかげで、同スタートアップは、不換通貨から仮想通貨へ、また仮想通貨から不換通貨の換金機能により、オンランプとオフランプの両方を手にすることになる。

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カテゴリー:フィンテック
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(翻訳:金井哲夫)