インドのアグリテック大手DeHaatが約131億円調達、世界第2の生産量を誇るインド農業に注目が集まる

インドの農家にオンラインで総合的な農業サービスを提供するDeHaatが、インドのアグリテックスタートアップとしてはこれまでで最大となる資金調達ラウンドで1億1500万ドル(約131億円)を調達した。インドでは年間1兆ドル(約113兆8350億円)の小売支出のうち、その3分の2を農産物が占める。


創業10年のスタートアップのシリーズD投資ラウンドは、SofinaとLightrockが共同でリードした。他に、Temasekと現存の投資家であるProsus Ventures、RTP Global、Sequoia Capital India、そしてFMOがこのラウンドに参加した。これで同社のこれまでの資金調達総額は1億6100万ドル(約183億2000万円)になるが、この内1億5700万ドル(約178億7000万円)はここ30カ月のうちに調達している。

DeHaatはヒンドゥー語で「村」という意味で、同社はインドやその他の国の農家が直面する3つの大きな問題である「運転資金」「種子や肥料など農業資材の安定入手」「収穫物の安定市場」を解決しようとしている。インドの農家の収穫量のわずか3分の1しか大市場には届けられていない。

グルグラムとパトナーに本社を置く同社は、農業資材の販売と、機関投資家、そしてバイヤーの三者の役割を1つのブランドに集約し、また3000ほどの零細企業家に集荷や配達のサービスを提供している。

同社は、農家と積極的な関わりを持ちながらヘルプラインを提供し、また社名と同名のAndroidアプリを複数言語対応で提供している。

SofinaのプリンシパルYana Kachurina(ヤナ・カチュリナ)氏は「総合サービスというユニークな特徴とフィジカル、デジタル両方の市場開拓努力で、同社はインド農業における重要なプレイヤーに育つ路線に確実乗っていると私たちは確信している」と述べている。

DeHaatによると同社は、ビハール州とウッタル・プラデーシュ州、ジャールカンド州、オリッサ州の65万人以上の農家にサービスを提供し、また同社のプラットフォーム上では850あまりのユニークなアグリビジネスを提供している。

同社の共同創業者でCEOのShashank Kumar(シャシャンク・クマール)氏はTechCrunchインタビューに対して、同社は今回の新たな資金は「インドの主要な農業クラスターすべて」に同社サービスを拡大するために投入すると語った。

彼によると、DeHaatはここ7カ月間で5倍に成長した。

これまでほとんど無視されていたインド農業に最近では多くのスタートアップや大手テクノロジー企業が群がり、中国に次ぐ世界第2の生産量を誇る果物や野菜の、多様な市場化方式を探求している。世界4大会計事務所の1つであるEYは、インドのアグリテック産業には2025年の売上が約240億ドル(約2兆7311億円)に達するポテンシャルがある、としている。

Amazonは最近、農家が作物を決めるために役立つリアルタイムのアドバイスと情報を提供し始めている。またMicrosoftは、100の村と協働してAIをデプロイし、プラットフォームの構築を目指している。

CEOのクマール氏は「私たちのチームは850名を超える深い専門知識のあるプロフェッショナルの大部隊になりました。彼らの専門分野は成長、戦略、サプライチェーン、農業科学と多岐にわたっています」という。人材募集はまだまだこれからも続く。

画像クレジット:DeHaat

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(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)

投稿者:

TechCrunch Japan

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