火星探査車オポチュニティは、公式には永久にオフラインになったが、その科学と画像の遺産は存続する。そしてNASAは米国時間3月13日、あのロボットがその後塵の毛布に包まれていく前に送ってきた最後の、完全に近いパノラマをシェアした。
火星の表面にこれまで5000日(地球日ではなく火星日で)以上いたオポチュニティは、その最後をエンデバークレーターの中、その東縁にあるパシビアランスバレーで迎えた。生存の最後の1か月彼は、自分のまわりを規則正しく撮影し、多くの感動的なパノラマにまた一つを加えた。
パノラマカメラ「Pancam」は、撮影をブルー、グリーン、ディープレッド(深紅色、近赤外線色)の順にフィルタをかけて行い、354の画像で多様な地形や自分の一部、そして谷を踏み歩いた軌跡を拾う。下の画像をクリックすると完全な注釈つきのバージョンを見られる。
それは、人が望みうる火星の風景画像としてこれ以上のものがありえないほど完璧で、細部の違いまで詳細だ。色を加工しているので、この世のものとは思えぬ独特の美しさがある(元の色のバージョンはここにある)。そしてそのため、この探査車の最後のショットだという切なさが胸を打つ。彩色は実は完成していない。左下にあるモノクロの部分は、これから彩色する箇所だ。
厳密に言うとこれは、探査車が最後に送った画像ではない。あの致命的な塵の嵐が迫ってくるとき、オポチュニティは最後のサムネイルを送ったが、本体画像は送られなかった。それは、日没寸前の太陽の画像だ。
塵の雲が完全に太陽を覆い、オポチュニティが漆黒の闇に包まれたことは最後の送信でわかる。
上の画像中にある閃光やドットは、すべて画像センサーのノイズだ。本当は完全な闇で、その嵐の規模が全惑星サイズであることから考えると、数週間は続くだろう。
オポチュニティは、とてつもない幸運に恵まれた。設計寿命の何十倍も長持ちして旅をし、チームの最長予測すら超えた。しかも最後の日まで美しくて価値あるデータを取り続けたことは、その設計と制作が堅牢かつ細心であったことの証明だ。
画像クレジット: NASA/JPL
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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa)