スマートロック「NinjaLock」や、そのNinjaLockと連携するアプリケーションなどを開発するライナフは2月1日、三井住友海上キャピタルおよび三菱地所を引受先とする第三者割当増資を実施したことを明らかにした。同社が外部から資本を調達するのはこれが初めて。金額は非公開だが、1億円以上資金を調達しているとみられる。同社は今回の資金調達をもとに人材採用を積極化。開発およびマーケティング体制の強化を計る。また三菱地所グループと業務提携し、不動産業界向けのソリューションを共同開発していという。
ライナフは2015年5月にNinjaLockの販売を開始した。国内でこの領域を手がけるのは、「Akerun」(2015年4月発売)を提供するフォトシンスや「Qrio SmartLock」(2014年12月にクラウドファンディングサービス「Makuake」で発表。2015年8月出荷)を提供するQrioなどがある。
スマートロック単体でなく、サービスと組み合わせて展開
NinjaLockでは、単にスマートロック単体を販売するのではなく、アプリやサービスと組み合わせることで「不動産業界のインフラ」になることを目指しているのだという。
実は同社は「シェアルーミング」という空きスペースのレンタルプラットフォームを提供している。これはスペースのオーナーが、サービス上で会員制の「シェアクラブ」を作成し、会員に限定してスペースを時間貸しするというもの。スペースにNinjaLockを取り付けており、会員はオンラインで事前にスペースの予約をしておけば、予約した時間にブラウザ経由で開錠できる。今後はこういった「スマートロック×サービス」の提供を進めていく考えだ。
三菱地所グループとの取り組みもこのシェアルーミングの延長線上にあるサービスからスタートする。両者は三菱地所レジデンスが開発する高品質賃貸マンション「ザ・パークハビオ」にNinjaLockを導入。「スマート内覧」と呼ぶ無人内覧サービスを開始する。
競合製品も含めて、これまでもスマートロックを利用した内覧サービスはあった。しかしその多く現場まで不動産仲介業者が同行してスマートロックで開錠する、もしくは現場で不動産仲介業者に電話をしてスマートロックを遠隔操作で開錠するというものだったのだという。今回のスマート内覧は、不動産のデベロッパーが直接内覧の機能を提供するかたちとなるため、あらかじめウェブ上で日時を指定して内覧予約していれば、現場では仲介業者等に連絡することなく、ブラウザ経由で開錠して自由に内覧ができるという(エントランス用の後付け式スマートロックも用意している)。
ライナフは今後もスマートロック単体だけでなく、連携サービスにも注力するとしている。「例えば月額1万円でスマートロックのサービスだけ提供するというのではお金を払ってもらえないかも知れない。だがカギの入退室からセキュリティまでスペースの『運営システム』として一括で提供できるようになればビジネスは大きく変わる」(ライナフ代表取締役社長の滝沢潔氏)