昨年10月に紹介したフクロウラボ。同社は4月6日、スマートフォンアプリ向けディープリンクソリューション「Circuit(サーキット)」正式版の提供を開始した。同時にB Dash Venturesなどから資金調達を実施したことも明らかにしている。調達額や出資比率は非公開だが、億単位と見られており、同社では事業拡大に向けて人材採用やサービス開発、マーケティング強化を進めるとしている。
以前の記事でも紹介したが、ディープリンクとはもともとはウェブサイトのトップページ以外のリンクのことを指していた言葉。今ではウェブサイトに限らず、スマートフォンアプリ内の特定ページに遷移するリンクを指すことが多い。最近スマートフォンのブラウザでサイトを閲覧していて、Amazonだとか特定のサイトにアクセスした際、アプリが起動して(アプリトップではなく)アクセスした商品ページの内容を直接表示するなんてことを経験した人もいるんじゃないだろうか。あれがディープリンクによるアプリの遷移だ。
ディープリンクを利用するシーンは何もブラウザ(ウェブ)からアプリに限ったことではない。プッシュ通知でアプリのトップページを表示するのではなく、最適なページを表示する際もディープリンクの設定は必要だし、ソーシャルメディア系のアプリから別のアプリ、メールアプリから別のアプリといった「アプリからアプリ」の遷移だってディープリンクが求められている。
フクロウラボ代表取締役の清水翔氏いわく、例えばEC系のアプリではトップページではなく商品ページを直接表示することで、その商品を強く訴求できるので、米国ではマーケティングの観点でディープリンクを利用することが増えているそう。例えばアパレルECの「JackThreads」では、ディープリンクを付けた広告メールを配信したところ、売上が21%向上したという事例もあるようだ。
ただしこのディープリンク、対応には手間と時間がかかるという問題があったのだそう。例えばある大手メディアで見積もりをしたところ、約3カ月かかるという結果が出た。また対応した後も、OSごとに運用管理を継続しなければならないという課題があった。
Circuitは、そんなディープリンク対応を最短10分で実現するという製品だ。ウェブの管理画面上でディープリンクによる遷移情報を入力し、アプリにSDKを導入。さらに数行のコードを追加すればディープリンクへの対応が可能だ。導入後は、アプリのアップデートをすることなく、ディープリンクの追加や削除が可能となる。料金はフリーミアムで提供。アプリのユーザー数にもよるが、「エンタープライズ版でも月額10万円程度で利用できる」(清水氏)とのこと。
昨年10月のベータ版ローンチ後、すでに複数の導入実績があるそう。だが認知も含めてこれからというところで、「蛇口をひねれば水が出るように、情報の流れを簡単にするために、気付いたら使っている製品になるのではないか。課題自体がまだ認識されていないので、まずは使ってもらうのが重要」(清水氏)とのこと。