Googleは完全に不意をつかれた。先週、100名近いフランス国税庁(Direction générale des Finances)職員が、Googleのパリ事務所に立ち入り、税法違反を捜査した。フランスの財務検察官、Éliane HouletteはEurope 1に、彼女のチームが一年近く前から秘密裏にこの強制捜査の準備を進めていたことを語った。Googleは、18億ドル(16億ユーロ)の罰金を課される可能性がある。
Houletteのチームは、この捜査に関して少々偏執狂気味だ。Googleの規模と広がりを踏まえ、チームは極めて注意深く行動し、Googleはパリ事務所への立ち入り捜査を全く予期していなかった。押収する前に会社がファイルの隠蔽を行うことは避けなくてはならない。
このため国税庁内部でもHouletteがこの捜査に本腰を入れていることを知る人は殆どいなかった。彼女のチームはGoogleに言及する際「チューリップ」というコードネームを用いていた。
「われわれはこの会社の特質を踏まえ、完全な秘密裏に捜査に取り組んだ」とHouletteがEurope 1に語った。「秘密を守るために、われわれはGoogleに別の名前(チューリップ)を付け、Googleの名前は決して口にしなかった。そしてこの一年間近く、捜査はオフラインで行ってきた。コンピューターを1台使ったが、ワードプロセッサーとしてのみだった。
最終結果は数テラバイトのデータだ。このデータすべてを処理するには、何ヶ月、いや何年もかかるだろう、とHouletteは言っている。
多くの人々が、果たしてフランスは英国のような税取引きを行うのだろうかと質問している。フランスのミシェル・サピン財務大臣はロイターに、取引は一切しないと伝えた。Houletteはさらに、フランスの法制度にそのようなしくみはなく、フランス政府がGoogleと取引きを行う術はないと話した。
残る可能性はひとつ ― 裁判だ。この裁判は何年にもわたるかもしれず、厄介な状況になりそうだ。フランスでビジネスを行うことに関して、この国のイメージを悪くしかねない。Houletteはそれも承知しているので、この財務検察官が取引きや裁判に代わる方法を見つけられるかどうか注目したい。
Googleの税体系に対するフランスの捜査は、2011年に始まった。Googleによると、同社はフランスでさほど事業を展開していない。事務所のマーケティングチームは持っているが、営業チームはない。このためGoogle Franceの売上は殆どがアイルランドのGoogleヨーロッパ本社へ送られ、フランスには多くの税金を払っていない。
Googleは、Google Ireland Limitedの資金の殆どをGoogle Netherlands Holdings BVに送金し、ここからGoogle Ireland Holdingsに資金が送られる。
その名前とは裏腹に、Google Ireland Holdingsのコストセンターはバミューダにあり、Google Bermuda Unlimitedと呼ばれている。そしてこれが、銀行口座をバミューダに置きながらフランスで儲けるしくみだ。バミューダには法人税がそもそも存在しない。
多くのヨーロッパ企業が多かれ少かれ同じ手順で税率を下げている ― そしてこれは合法である。しかしフランスGoogleの主な問題は、国税庁がGoogleはフランスでマーケティング以上のことをしていると考えていることだ。アイルランドの契約先にフランスの会社がある場合、それはフランスの課税対象になる。よって捜査は始まった。
[原文へ]
(翻訳:Nob Takahashi / facebook)