ブロックチェーンを活用した空間サービスのマーケットプレイス「Cryptorealty」にLayerX・ツクルバが参画

左から、LayerX代表取締役社長 福島良典氏、Property Access CEO風戸裕樹氏、ツクルバ代表取締役CEO村上浩輝氏

シンガポールを拠点とし日本と世界の不動産取引支援プラットフォームを構築するProperty Access Assetは8月30日、ブロックチェーンを活用したマーケットプレイスを創造するプロジェクト「Cryptorealty」を発表した。マーケットプレイスの対象となるのは、主に東南アジアの空間・サービスだ。

同プロジェクトにはGunosyとAnyPayの合弁会社として8月1日に設立されたばかりのブロックチェーン関連事業を行うLayerX、ならびにリノベーション住宅の流通プラットフォーム「cowcamo(カウカモ)」の運営などを手がけるツクルバがパートナーとして参画。LayerX代表取締役社長 福島良典氏はテクニカル・アドバイザー、ツクルバ代表取締役CEO村上浩輝氏はストラテジック・アドバイザーとして関与している。

以前にもお伝えしたとおり、Gunosyとツクルバは2018年5月よりブロックチェーン技術の不動産領域への活用にむけた共同研究を開始しており、LayerX設立以降、Gunosyのブロックチェーンチームは同社へ移行している。

Cryptorealtyへの関与はその共同研究の第一弾の成果になるのだと福島氏・村上氏は意気込んでいる。

Cryptorealtyは商業空間や空間を活用したサービスの創出・利用を、誰もが見える形で取引できるよう促すマーケットプレイス。空間・サービスを提供するオペレーターとプロジェクトを支援する支援者、そしてユーザーが空間およびサービスの利用権を販売や購入、レンタルをすることができる。

従来のREIT(不動産投資信託)やクラウドファンディングでは成しえなかった不動産領域での資金調達の課題の解決を目指す。

「REITでは非常に大規模なプロジェクトしかリスティングされず、かつ、例えば日本のJREITだと国内の投資家など限られた人しか買えなかったので、中小規模のデベロッパーにとってはファンディングの機会が非常に限られていた。クラウドファンディングでは、モノづくりのプロジェクトは相性が良いが、不動産のプロジェクトだと相性が非常に良くなかった。また、銀行からも資金を借りづらい。Cryptorealtyはそこを解決するようなプロジェクトだ」(村上氏)

Cryptorealty上ではオペレーターが自分たちの利用権をデジタルアセットとしてトークン化し、プラットフォームに登録する。サポーターやユーザーは利用権を買い、貸し出すことでリターンを得られたり低価格で高品質なサービスを利用できる。

Cryptorealtyの特徴は、ファンや応援者以外に、投資家の性質を持った支援者も集まりやすい点だ。福島氏は「従来のクラウドファンディングは基本的にファンが参加するもの、利用者が参加するものだったが、レンタルがあることによってユーザー以外のファンが参加できる」と説明する。

また、ブロックチェーンによる「トラストレス」な環境を整備することで、グローバルなオファーも期待できる。「ブロックチェーンを活用することで、利用権や所有権の移転や、それを“この時間で貸します”といったことが簡単にできる。ブロックチェーンは不動産領域と非常に相性が良い」(村上氏)

福島氏は「従来のプロジェクトは単純に仮想通貨で不動産が買える、というものが多かった。僕たちはもう少し踏み込み、トークンを絡めて今の世の中の不動産の課題を解決するものが作れないかと考えていた」と今回の参画について話していた。

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TechCrunch Japan

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