マイクロソフトがXboxやPC用ゲームのアクセシビリティをテストする開発者向けサービスを開始

過去数十年の間に、ゲームがマニアのためのものから一般の人が広く楽しむものに成長してきたことで、障がいを持つ人々はより多くのゲームをプレイすることが可能になったのと同時に、プレイできないゲームも増えてきた。Microsoft(マイクロソフト)は、PCとXboxのゲームをさらに多くの人が楽しめるものにするために、新たに拡張されたXbox Accessibility Guidelines(エックスボックス・アクセシビリティ・ガイドライン)に沿っているか、ゲームを照らし合わせて確認する新しい社内テストサービスを開始した。

このMicrosoft Game Accessibility Testing Service(マイクロソフト・ゲーム・アクセシビリティ・テスティング・サービス)は現在稼働中で、WindowsまたはXboxプラットフォーム向けにゲームを開発している人は誰でも利用することができる。

「このサービスでは、専門家と障害を持つゲーマーで構成されるチームが、Xboxアクセシビリティガイドラインに照らしてゲームをテストします。当社の目標は、7営業日以内に正確でタイムリーなフィードバックを提供することです」と、同社のシニアゲーミングアクセシビリティプログラムマネージャーであるBrannon Zahand(ブラノン・ザハンド)氏は述べている。

これは無料ではないので(Microsoftはコストを明示していないが、おそらくプロジェクトによって異なるだろう)、資金を投じる前にどんなレポートになるのか知りたい場合は、アカウント担当者に相談すればサンプルを見せてくれるだろう。

しかし、このサービスでは、最終的に完成したコードを送る必要はない。「ゲームのアクセシビリティは、ゲーム開発の初期段階で実装する方がはるかに簡単です。ゲーム開発者には、コアUIとゲーム体験を組み込んだ代表的なビルドができたら。すぐに提出することをお勧めします」と、ザハンド氏は述べている。「また、すでに製品をリリースしていて、新しいアップデートやコンテンツ追加で新鮮味を維持しようと考えている開発者にとっても、このテストは価値があるでしょう。多くの場合、コンテンツをアップデートする際に、その一部として比較的小規模な調整や機能追加を行うことができますから、障害を持つゲーマーやアクセシビリティ機能を利用するゲーマーのための改良も施すことができるでしょう」。

このガイドライン自体は2020年1月に導入されたもので、ゲームを開発する際に考慮すべきヒントやチェック項目が何百も含まれている。今回公開された「2.0」バージョンでは、多くの改善点が盛り込まれており、このXboxブログの記事にまとめられている。

全般的にいうと、今回の変更では明快さと適用しやすさが改善され、開発者により直接的でシンプルなアドバイスを提供している。しかし、現在販売されているゲームの中には、このようなことが単に理論的に可能というだけではないことを示す多くの例がある。

今はこれが当たり前のようだ(画像クレジット:Microsoft)

このガイドラインには、UIから操作方法、難易度設定に至るまで、あらゆることが書かれており、興味のあるゲーマーにとっては説得力のある読みものとなっている。いくつかのゲームが、ゲームのコアに影響を与えずにアクセスを向上させるために、どれほどきめ細かな難易度や機能やモードの設定を導入しているのかを知ると、なぜ他のゲームはそうしないのかと不思議に思うようになる。

また、画面読み上げ機能ができるだけ多くの情報にアクセスできるようにするためには、メニュー画面やゲーム内のUIをどのように構成するのがベストなのかなど、より多くの重要なヒントも掲載されている。

いくつかの機能を追加したり減らしたりすることで、ゲームの「意図」した遊び方に支障をきたすのではないかという意見もある。実際、「DARK SOULS(ダークソウル)」シリーズのように難しくて融通が利かないことで有名なゲームが、どうやってそんな変更を優雅に統合することができるのか、想像するのに苦労する。

しかし、そんなことは頭が良い開発者たちに任せておけばよい。一方で、我々が話題にしているこれらのオプションは、実際、最もハードコアなゲームでさえ、ほとんどすべてが切り替えや調整が可能だ。異なる状況にある他人への配慮が欠けていることを口に出したり、感情を露わにする必要はない。

Microsoftは近年、ゲームのアクセシビリティに向けていくつかの取り組みを行ってきたが、その中でも最も顕著なものは、Xbox Adaptive Controller(エックスボックス・アダプティブ・コントローラー)だろう。これはジョイスティック、ボタン、トリガーとして機能するさまざまな補助デバイスを、同社のプラットフォームに接続できるようにするもので、これによってより多くの人々が、ゲームをプレイしやすい環境を整えることができる。

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:MicrosoftXboxアクセシビリティ

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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