レノボ13型Androidタブ「Yoga Tab 13」の日本版が8万7780円前後で登場、11型モデルも4万2900円前後で同時発売

レノボ13型Androidタブ「Yoga Tab 13」の日本版が8万7780円前後で登場、11型モデルも4万2900円前後で同時発売

リモートワークで盛り上がる需要などにより、一時期の絶滅危惧種的な低調を脱し、市場が再び活発になりつつある高性能Androidタブレット。

大画面で、かつ快適に楽しみたいAndroid版ゲームタイトルがあるゲーマーや、PCとのファイル連携など、Androidが有利(というかiPadでは若干の使いにくさが残る)環境でタブレットを使いたいヘビーユーザーなどを中心に人気が復調しつつあります。

そうした中で、使い勝手の幅を広げそうな注目機種2モデルの日本版が、レノボ・ジャパンより発表されました。モデル名は『Yoga Tab 13』(上写真)と『Yoga Tab 11』。この名称が示すように、13インチもしくは11インチ画面を採用した、比較的大型のモデル。海外で先行発表された機種の日本版です。

販売想定参考価格は、13が8万7780円前後(税込)。11の4GB RAM/128GBストレージモデルが4万2900円前後(同)、8GB/256GBモデルが4万9500円前後(同)。発売日はすべて8月6日です。

両機種ともに、日本ではWi-Fiモデルのみとなります。海外版の11で用意されたLTEモデルはありません。

なお、ワールドワイド発表時のEU圏価格は、それぞれ799ユーロ(単純換算で約10万3700円)からと、499ユーロ(同6万4800円)からでした。日本での価格は比較的優遇されたものと考えて良さそうです。

Yoga Tab 13を正面から。最新タブレットらしく、画面周辺のベゼル(額縁)はかなり狭めです

Yoga Tab 13を正面から。最新タブレットらしく、画面周辺のベゼル(額縁)はかなり狭めです

ここで「販売想定参考価格」とあるのは、(今回は)量販店でも販売されるモデルであるため。『Lenovo Tab P11 Pro』をはじめ、レノボ製Androidタブの一部モデルは直販専門でしたが、今回の2モデルは店頭でも販売されるというわけです。

参考記事:レノボYoga Tab 13発表、HDMI入力でモバイルディスプレイ兼用の高性能Androidタブレット(2021年6月)

Yoga Tab 13ならでの最大の特徴が、HDMI入力端子によるモバイルディスプレイモード。ここでは左のゲーミングノートPCのフォートナイトを複製表示しています

Yoga Tab 13ならでの最大の特徴が、HDMI入力端子によるモバイルディスプレイモード。ここでは左のゲーミングノートPCのフォートナイトを複製表示しています

さて、まずはYoga Tab 13の特徴から紹介しましょう。Androidタブレットとしては、SoCにクアルコムの『Snapdragon 870』を搭載したことによる高速処理……ですが、実はそれ以上にインパクトの大きな機能があります。それが、「バッテリー搭載モバイルディスプレイとして使える、マイクロHDMI入力端子」です。

このHDMI入力機能で重要なのは、単に機能があるというだけではなく、ハードウェアレベルでの実装となっている点。そのため理論上の遅延は、単体のモバイルディスプレイ並みに少ないようです。

マイクロHDMI入力は、横置き時での本体左側に位置。映像ソースとなる機器を左に置くレイアウトが基本となりそうです

マイクロHDMI入力は、横置き時での本体左側に位置。映像ソースとなる機器を左に置くレイアウトが基本となりそうです

実際に事前説明会でのデモ機では、同社のゲーミングPCを接続して『フォートナイト』のデモプレイなども行える状態。軽くプレイしてみましたが、フレームレートこそ60fps程度だったものの、とくに目立った遅延はありませんでした。

合わせて意外と遅延が気になるWindowsでの大面積ウィンドウ移動やマウスの追随などもチェックしてみましたが、このあたりに関しても大きな遅延はなさそう、という印象です。

HDMI入力有効時には、画面右下に解像度やフレームレート、バッテリー残量をOSD表示。こうした使い勝手もかなり良い印象

HDMI入力有効時には、画面右下に解像度やフレームレート、バッテリー残量をOSD表示。こうした使い勝手もかなり良い印象

レノボの担当者にハードウェア的な実装を聞いたところ、「HDMI端子に機器を接続した時点でタブレットとしての機能はスルーされ、基本的には単体ディスプレイと同じ構成で動作する」という旨のコメントが聞けました。

一方で、ディスプレイ入力は常にHDMI側が優先されることから、本体(Androidタブ側)を有効にするにはHDMI端子からケーブルを取り外さないとならないという仕様です。

また、映像入力として使えるのはこのマイクロHDMIのみ。つまりAndroidタブ側のUSB Type-Cに映像機器を接続しても映りません。ここは一般的な(USB Type-Cで映像入力と給電を兼用する)モバイルディスプレイとは大きく異なるポイントです。

レノボ側は海外でのプロモーションで、ニンテンドースイッチなどを接続した写真なども公開していたことから、筆者個人としても遅延対策が気になっていたところ。ですが、実物を見た結果、これであれば実用になりそう、という印象を受けました。

本体の右側面側にはUSB Type-C端子と電源、音量ボタンが。こう見るとスタンドの径は細そうですが、ステンレス素材とあって強度はしっかりとしています

本体の右側面側にはUSB Type-C端子と電源、音量ボタンが。こう見るとスタンドの径は細そうですが、ステンレス素材とあって強度はしっかりとしています

合わせて本体に内蔵されたキックスタンドにより、設置自由度が高い点も特徴です。加えて今回は細い棒状となっているため、フックなどへの吊り下げや手持ちストラップ的にも使えるのがミソ。

本体に比べるとかなり細めに見えますが、強度的にはヒンジ部を含めてしっかりとしたもの。滑り止めとしてラバーグリップも巻き付けられています。このあたりは、Yogaシリーズを長年手がけてきたレノボのノウハウが活かされたものと見て良いでしょう。

裏面の天側にはスウェード調の布張りが。持つ際の滑り止めになるのみならず、高級感も演出しています

裏面の天側にはスウェード調の布張りが。持つ際の滑り止めになるのみならず、高級感も演出しています

バッテリー内蔵モバイルディスプレイとしても使えるという特徴が目立つYoga Tab 13ですが、もう一つの特徴は、上述したようにAndroidタブレットとしての基本性能も高いこと(といっても、価格もそれなりに高価ではありますが)。

その点に深く関わっているのが、搭載SoCであるSnapdragon 870。位置づけを簡単に紹介すれば、昨年の最高速Snapdragonである865 Plusの動作クロックを高速化した製品です。

現行の最高速モデルである『Snapdragon 888』ほどの性能ではありませんが、クアルコム製SoCとしては上位に位置し、またタブレットとして見れば群を抜いて高速なものとなっています。

参考記事:クアルコムが「Snapdragon 870」発表、7nm維持のハイエンドSoC(2021年1月)

画面としては13インチ、解像度2160×1350(アスペクト比16:10)の液晶パネルを搭載。色域はsRGB 100%をキープし、HDR映像ソースとしてドルビービジョンに対応。最大輝度は400nitsなど、高級機らしい仕様(色域は若干狭い印象も受けますが)。別売りのペンにも対応します。

RAMとストレージは8GBと128GB。とくにRAMはAndroidタブレットとしてはかなりの余裕度。一方でストレージは若干小さめで、かつSDカードスロットも非搭載。このあたりは留意が必要でしょう。

セキュリティとしては顔認証に対応します。また隠れた特徴として、カメラはフロントカメラのみ(=リアカメラは非搭載)と、割り切った仕様です。

13インチタブレットだけあって、当然ながら本体は大柄。右にあるYoga Tab 11が“タブレット標準サイズ”であるのに対し、ふたまわり以上大きめなサイズ感です

13インチタブレットだけあって、当然ながら本体は大柄。右にあるYoga Tab 11が“タブレット標準サイズ”であるのに対し、ふたまわり以上大きめなサイズ感です

バッテリー容量は、本体の大きさを良い意味で活かして大台の10000mAh。公称バッテリー駆動時間は12時間(フルHD動画再生時)と、余裕度の高い仕様です。なお付属ACアダプタは30W出力対応と、バッテリー容量に見合った仕様。公称充電時間は約3時間です。

また隠れた特徴として、本体に搭載されたUSB Type-C端子の機能が充実している点が挙げられます。速度は10Gbps(USB 3.1 Gen2)である上、タブレットとしては珍しいDisplayPort 1.4出力にも対応。さらにUSB On-The-GOもサポートします。

無線LANはWi-Fi 6に対応し、Bluetoothバージョンは5.2対応。本体のスピーカーはJBLコラボで、総ユニット数は4基。レノボ製品らしくドルビーアトモスもサポートします。マイクロフォンも3基搭載のアレイ仕様です。

本体サイズは約293.4×204×6.2~24.9mm(キックスタンド底面側状態での幅×高さ×奥行き)。厚みに幅があるのは、これまでのYogaタブレット系と同じく、円筒状の最厚部のみが突出した形状となっているためです。

また重量は約830gと、さすがに重め。本体の大きさも相まって、基本的に長時間での手持ち使用は避けたいタイプです。

こちらがLenovo Tab 11。よく見ると13よりも左右ベゼルが少しだけ太めですが、全体的には非常に似通っています

こちらがLenovo Tab 11。よく見ると13よりも左右ベゼルが少しだけ太めですが、全体的には非常に似通っています

同時発表されたYoga Tab 11は、SoCにメディアテックの『Helio G90T』を搭載するモデル。残念ながらHDMI入力端子は搭載しませんが、設置上の特徴であるバー型のキックスタンドを含めた基本的な本体デザインなどは13譲りとなっています。

日本ではHelio G90TというSoCは馴染みが薄いものですが、総合的な性能は、クアルコムのSnapdragon 730Gに匹敵するクラスとされています。730Gは昨今のミドルレンジスマートフォンで人気のSoCの一角ですが、本モデルもこれに準じた性能を発揮します。

また、RAMとストレージは冒頭で紹介したように2グレードありますが、上位の8GB/256GBモデルは、Yoga Tab 13よりもストレージ容量が大きくなるのがポイント。さらにこちらはマイクロSDカードスロットも搭載するため、ストレージ周りでは13に比べて大きなアドバンテージを有します。

11の背面はファブリック生地仕上げ。13では非搭載のリアカメラも右上に確認できます

11の背面はファブリック生地仕上げ。13では非搭載のリアカメラも右上に確認できます

画面は11インチの液晶。解像度は2000×1200(アスペクト比16:9.6)となります。この“横幅がフルHDより80ドットだけ広い”仕様は、一見すると記載間違いのようにも見えますが、レノボの既存モデルでも使われている解像度です。

こちらは色域仕様こそ非公開なものの、輝度は最大400nits、HDR映像ソースはドルビービジョン対応と、イマドキのAndroidタブレットとしては水準以上のスペックです。

スピーカーも4ユニット仕様でドルビーアトモス対応、さらにJBLコラボ仕様となっています。

またカメラも、13ではフロントのみだったのに対して、本機はリアカメラも搭載。前後ともに画素数は800万という仕様です。

11の端子はUSB Type-Cのみ。なお3.5mmオーディオジャックは非搭載のため、USB Type-Cからの変換ケーブルが付属します(これは13も共通です)

11の端子はUSB Type-Cのみ。なお3.5mmオーディオジャックは非搭載のため、USB Type-Cからの変換ケーブルが付属します(これは13も共通です)

バッテリー周りも、Yoga Tab 13を凌ぐ点。容量は7500mAhとそれなりに控えめですが、駆動時間は公称で最大15時間と、より長持ちになっています。付属ACアダプタの出力は20Wですが、充電時間は公称で約2時間と、こちらも13より高速です。

ただし無線LANはWi-Fi 5までの対応、Bluetoothバージョンも5.0仕様に留まるなど、クラス相応の点もあります。

本体サイズは約256.8×169.0×7.9~23.0mm(キックスタンド底面側状態での幅×高さ×奥行き)、重量は約650g。

初期出荷時のOSはAndroid 11。こちらも13、11ともに共通です

初期出荷時のOSはAndroid 11。こちらも13、11ともに共通です

このように新Yoga Tabシリーズ2機種は、これまでのYoga系タブレットで評価の高かった設置自由度の高さをはじめとする特徴を引き継ぎつつ、基本性能の大幅な底上げを行なったモデルとして仕上がっています。

とくにYoga Tab 13はそれなり以上に高価ではありますが、Androidタブとしては異例とも呼べる速度に加え「バッテリー内蔵モバイルディスプレイを兼用できる」という、非常にユーザーメリットの強い特徴も備えた魅力的な仕上がりとなっています。

昨今盛り上がりを見せるヘビーユーザー好みのAndroidタブレット市場にあっても、非常に注目できる、また注目して良い完成度のモデルであることは間違いありません。

(Source:Yoga Tab 13製品ページYoga Tab 11製品ページEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Arm(企業)Android(製品・サービス)ガジェット(用語)Qualcomm / クアルコム(企業)Snapdragon(製品・サービス)Lenovo / レノボ(企業)日本(国・地域)

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TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。