中国の検察当局が、現地の人気メッセージングアプリ「WeChat」の青少年モード(Youth Mode)が未成年者を保護する法律を遵守していないとして提訴したと報じられています。
米Reuters報道によると、この訴訟は北京市海淀区人民検察院が深圳市のテンセント・コンピュータ・システムズ社に対して起こしたもの。訴状にはWeChatの青少年モードがどのように中国の法律に抵触したかは書かれておらず、テンセント社もコメントを求められてもすぐに答えなかったとのことです。
この問題視された青少年モードは、オンにすると若いユーザーが決済したり、近くの友人を検索したり、特定のゲームをプレイできなくなるという機能です。つまり事実上、WeChatのようなスーパーアプリ(中国内で、日常生活のあらゆる場面で活用できる統合的なアプリ)につき、親が子供の使用を制限するペアレンタルコントロールというわけです。
こうした青少年モードは中国の規制当局による指導のもとで各社のアプリに導入された経緯があり、今回なぜ問題視されたのかは不明です。もっともReutersは今回の訴訟が、中国政府による広範な取締りの一環ではないかと推測しています。
つい先日、中国の国営メディアが多くの10代の若者らがオンラインゲーム中毒となっており、「精神的アヘンが数十億ドル規模の産業に成長した」と報じたばかりです。
この記事はすぐに削除されましたが、直後にテンセント・ホールディングス(上記テンセント・コンピュータ・システムズの親会社)は人気モバイルゲーム「王者栄耀(Honor of Kings)」につき、18才未満のプレイ時間を平日は1日1時間、週末は2時間までに短縮することを発表しています。
今年4月、Reutersは中国政府がインターネット大手に対する独占禁止措置の一環として、テンセントに対して巨額の罰金を準備しているとの噂話を報じていました。また国営メディアの証券時報も、今月はじめにゲーム業界に対する税制上の優遇措置を撤廃すべきとの論説を掲載。国営メディアの主張は中国政府の意向に他ならないため、より締め付けは厳しくなることが予想されます。
中国のゲーム産業は巨大なプレイヤー人口や豊富な資金力、それに政府の発展促進政策といった恩恵により、急速な成長を遂げてきました。しかし2018年、習近平主席が子供の近視率が高いことを憂える談話を述べたあと、オンラインゲームの新作やゲーム全体の本数を規制し、子供がプレイする時間を制限するなど風向きが変わっています。
テンセントは任天堂が中国にてNintendo Switchを販売する窓口ともなっているだけに、日本のゲーム業界に対する影響も少なくないはず。今後の展開を見守りたいところです。
(Source:Reuters。Engadget日本版より転載)
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