再利用可能なプラスチック容器エコシステムの構築を目指すAlgramo、シリーズAラウンドで9.3億円調達

世界の廃棄物の中で大きな割合を占める使い捨てのプラスチック容器。しかし、消費者にとって使いやすく、費用対効果の高い容器の代替手段は、今のところ見当たらない。再利用可能なプラスチック容器と販売拠点を組み合わせることで、コスト削減と収益アップを目指すAlgramo(アルグラモ)は、新規の850万ドル(約9億3000万円)の資金調達ラウンドで、その存在感を大幅に拡大しようとしている。

さまざまな業界で企業が環境に配慮することを強く求められている現在、約10年前にチリで設立されたAlgramoはその地位を確立しつつある。

プラスチック廃棄物を減らすための有力な方法の1つは、使い捨てのプラスチックを減らすことだ。ここで難しいのは、消費者にコストを転嫁しないで、具体的にどのような方法で削減するか、である。環境にやさしい製品でも、2倍の値段だったら金銭に余裕がある人しか買わないし、そうでない人は良心に反して、安くて環境に良くない方の選択肢を選ばざるを得ない。

「自分の財布か、地球か、という選択肢です」とCEOのJosé Manuel Moller(ホセ・マヌエル・モラー)氏。「だからこそ、より安く、より良いものが必要なのです。私たちは、物事をさらに複雑にするのではなく、もっとシンプルにしようとしています」。

画像クレジット:Algramo

何年にもわたるテストの結果、Algramoがたどり着いた解決策は、洗剤やシャンプーなどの既存製品のラベルを変更し、ICタグを付けて、消費者がディスペンサーで簡単にボトルを補充できるようにするというものだ。モラー氏が製品コストの30%を占めると推定するパッケージのコストを取り除き、詰め替えを販売することで安価になる。これは店舗に行くだけで購入できる。

画期的だったのはこのアイデアではなく、大手ブランドとの関係だ。食器用洗剤を補充するために、遠くのスーパーまで行かなければならないとしたら、補充するのではなく、新しい洗剤を買ってしまう可能性が高くなる。詰め替え用の商品が適当なノーブランドのものばかりだとしても同様である。そこでAlgramoは、世界中のウォルマートやユニリーバに訴えてきたが、ごく最近、彼らは少なくとも地域レベルで耳を傾けてくれるようになった。

モラー氏は次のように話す。「Algramoの存在がなくても、起こるべくして起こったことです」「しかし、私たちは彼らのサプライチェーンに参加し、既存の関係を壊さないように小売店やブランドと協力しています。実際、詰め替え用の商品では約60%のスペースを節約することができます」。

同社は現在、Unilever(ユニリーバ)、Nestlé(ネスレ)、Colgate-Palmolive(コルゲート・パーモリーブ)、Walmart Chile(ウォルマートチリ)と提携している。大手ブランドと大手小売企業を結びつけ、消費者がすぐに実践できる、少しでも節約できるようなソリューションを提供することで、誰もがハッピーになれるのだ。Algramoは当初、ディスペンサーを搭載した小型車両を使って事業を展開していたが、最終的には小売業との連携の方が成功した。

写真でわかるように、小型車両はまだ存在している

現在、チリ全土にAlgramoのステーションがあり、約5万人のユーザーが詰め替えの商品を購入している。取り扱う商品は、収益性ではなく、環境負荷が大きいものを選んで決定されたのだが、モラー氏によると、最も環境汚染につながるのは飲料だという。同社は意欲的に取り組んでいるものの、これには別の課題があり、まだ商品化には至っていない。

その代わりに、洗濯用洗剤やシャンプー、コンディショナーなどの使用頻度の高い製品、さらにはドライタイプのドッグフードの利用率は高い。また、同社は余裕のない人でも利用しやすいように、ユーザーが必要な分だけを詰め替えの料金で購入できるように配慮している。

チリでの実績により大規模にこのアイデアが実証されたので、Algramoは、世界各地での試験運用に向けて資金調達を行っている。現在、ジャカルタ、ニューヨーク、メキシコ、ロンドンでプロジェクトが進行中だが、いずれも確実に現地での作業が必要になる。というのも、規制や委託企業、流通ネットワークが異なるため、進出先ではどこでも新たな契約や合意が必要になるからだ。

今回のシリーズAラウンドによる850万ドルの資金は、このようなグローバル展開を目的としている。ラウンドはメキシコのDalus Capital(ダラスキャピタル)が主導し、Angel Ventures(エンジェルベンチャーズ)、FEMSA Ventures(フェムサベンチャーズ)、Volta Ventures(ボルタベンチャーズ)、Impact Assets(インパクトアセッツ)、University Venture Fund(ユニバーシティベンチャーファンド)、Century Oak Capital(センチュリーオークキャピタル)、Closed Loop Partners(クローズドループパートナーズ)のVentures Group(ベンチャーズグループ)(Closed Loop Partnersは2019年のシードラウンドも主導)が参加した。

モラー氏は、Algramoのような取り組みは他社も行っていて、最終的には同社のプラットフォームは競合他社のプラットフォームと連携するかもしれない、と話す。このビジネスで最も重要なのは、小売店およびブランドの両方と関係を構築することで、次に顧客との関係であるが、その後のステップはさまざまな状況に合わせることができる。例えばインドで一般的な再利用可能な食品容器などのリバースロジスティクスシステムが成功しているケースがあれば、それがソリューションの一部になるかもしれない。食料品チェーンなどが独自のリサイクルソリューションを構築する場合は、Algramoは役割の一部を担い、裏方に徹したいと考えている(Algramoは特許もいくつか所有している)。

今のところ、これらはすべて計画に過ぎず、Algramoはさまざまな大きな市場における自社の存在感を高めることに集中している。もしこれを読んだあなたが上に挙げた地域にお住まいなら、近所の大規模小売店や食料品店でAlgramoのステーションを探してみるか、ウェブサイトの下部にある地図を確認してみてはどうだろうか。

画像クレジット:Algramo

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)

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TechCrunch Japan

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