たった1年間でどれだけのことが起きるのかを考えると、びっくりする。2019年、コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)を出入り禁止にされたセックステックのスタートアップ、Lora DiCarlo(ローラ・ディカーロ)が再び出展し、2つの新しい大人のオモチャを披露することになった。それどころか、Baci(バッチ)とOnda(オンダ)というその2つの新製品は、CESのHonoree Innovation賞を受賞した。
Lora DiCarloの3つの製品には、人が触った感覚を再現するためのマイクロロボティクス技術が使われている。Osé(オセ)は複合的なオーガズムを感じさせるようデザインされているが、OndaはGスポットに特化され、Baciはクリトリスに特化されている。
今回の受賞は、CESの母体である全米家電協会(CTA)の180度の方向転換によるものだ。2019年7月、CTAはセックステックのスタートアップ企業の出展と賞のエントリーを、健康のカテゴリーで1年間だけ試験的に認める方針を発表した。それ以前に、CTAはセックステック企業であるLora DiCarloに対して大きなヘマをやらかしていた。CTAは、生物模倣とロボティクスを応用し、手を使うことなくGスポットとクリトリスを同時に刺激して、女性が複合的なオーガズムを感じられるという装置を発表した同社に与えた賞を剥奪してしまったのだ。5月、CTAは同社に賞を再び授与し、謝罪した。
Lora DiCarloの創設者Lora Haddock(ローラ・ハドック)氏は、TechCrunch Disrupt 2019において、あの侮辱的な事件は、認知度という面で会社に大きく貢献したと話してくれた。2019年末、Lora DiCarloは最初の製品Oséのプレセールスを開始した。同社にはすでに300万ドル(約3億2500万円)の収益があり、そのうちの150万ドル(約1億6000万円)は、ローンチからわずか36時間で叩き出している。
「Oséのイノベーション賞が剥奪されて再び授与された2019年の事件の後、私たちはチェンジエージェントとなり、すべてのCES出展者の性の公平性と、安全でよりインクルーシブな環境の構築を訴える人々の厳しい声を引き出してきました」とLora DiCarloの創設者ローラ・ハドック氏は声明の中で述べている。「私たちの製品と使命を深く知ることで、人々は、性的な健全性が幸福全体にとって重要であることに気づき始めたのです。2020年も、私たちはCESに出展し、セックステックに対する人々の考え方を改めさせたいと思っています。これはテクノロジーの話ではありません。オーガズムの話でもありません。技術によって強化されるエクスペリエンスが、健康の感覚を大きく拡大するという話です。良質な睡眠、ストレスの緩和、気分の改善など同じです」
私の同僚のBrian Heater(ブライアン・ヒーター)が、今週、CES会場でハドック氏の話を聞く予定です。ご期待ください。
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(翻訳:金井哲夫)