世界のある地域から別の地域へ貨物を空輸する場合、普通は2カ所でパイロットが必要となる。離陸と着陸の部分だ。1980年に公開されたJim Abrahams(ジム・エイブラハムズ)監督の映画「Airplane! (フライングハイ)」でも、離着陸以外の時間は、ほとんど計器に頼っていることが見事に表現されている。Reliable Robotics(リライアブル・ロボティクス)は、この「飛行機にはパイロットが必要だ」という厄介な問題を解決することを目指している。パイロットが搭乗する代わりに、必要なときだけ地上のパイロットを使い、あとは飛行機自身に自力で目的地を見つけさせるのだ。Coatue Ventures、Lightspeed Ventures、Eclipse Ventures、Teamworthy Ventures、Pathbreaker Venturesの各社は、いずれもこれこそが未来だと信じ、カリフォルニア州マウンテンビューを拠点とするReliable Roboticsに総額1億3000万ドル(約148億円)の資金を提供している。そのReliable Roboticsが本日、Coatue Managementの主導する1億ドル(約114億円)のシリーズC資金調達ラウンドを発表した。
この資金は、チームの規模を拡大し、最初の航空機認証プログラムをサポートするために使用されて、商業貨物運用を目指す。同社はまず、既存の航空機の自動化システムに取り組んでいる。数年前からはセスナ172を使って、無人飛行の実験・開発を始めている。
2019年9月には、Reliable Roboticsは、カリフォルニア州サンノゼのすぐ近くの空域で、誰も乗っていないセスナ172を飛ばした
同社は2017年に創業され、2020年まではステルス状態で運営されていた。その技術は、地上滑走、離陸、着陸、駐機など、飛行に関わるすべてのステップを処理するが、同時にライセンスを持ったパイロットがコントロールセンターから遠隔で飛行を監視している。Reliable Roboticsによれば、同社が開発したシステムは、空港に新たなインフラや技術を設置することなく、農村部や遠隔地の小規模な滑走路での自動着陸を行うことができるという。
ビジネスケースは単純だ。パイロットは、道路を利用するトラック運送事業と同様の制約を抱えた、貨物輸送事業を運営する上で最もコストのかかる場所なのだ。トラックの運転の大半は退屈で単調な仕事であり、ドライバーが最も多くの失敗を起こす場所になっている。空の上に目を向けると、資格を持ったパイロットを地上から操作できる自律型システムに置き換えることで、コストは下がり、航空機の利用率は急上昇する。
Coatue Venturesのシニア・マネージング・ディレクターであるJaimin Rangwalla(ジャイミン・ラングワラ)氏は「Reliable Roboticsは、民間航空会社向けの航空機自動化のリーダーであると確信しています。私たちは、彼らのチームの明確なビジョン、定量化された認証の進捗状況、業界での達成実績に感銘を受けました。私たちは、FAA認証を取得した遠隔操縦システムを最初に市場に投入するというReliableの目標を支援できることを誇りに思い、とても期待しています」と述べている。
同社の最大のセールスポイントは、全国の地方空港や自治体空港同士を結ぶことだ。まず効率を高め、貨物を運ぶコストを下げることに注力している。また、Reliable Roboticsは、遠隔操縦された飛行機に乗客が搭乗する未来の可能性も示唆している。また、新しい電気とのハイブリッド航空機のプラットフォームも評価している。
もちろん、自動運転車の安全性については、多少不安を感じているひとは多い。そして飛行機はその不安に文字通り新しい次元を追加することになる。米連邦航空局(FAA)は、Reliableをはじめとするこの分野の民間企業の動向を注視しているが、実験用無人航空機の認可はすでに多数下している。
Reliable Roboticsの共同創業者でCEOのRobert Rose(ロバート・ローズ)氏は「FAAとNASAとの官民パートナーシップを得て、遠隔操作航空機システムの航空機への統合を進めています。私たちは、現在の商用航空機に、かつてない安全性と信頼性をもたらすつもりです」と語る。「公的機関との緊密な連携、先見性のある投資家からの力強い支援、そして貨物業界からの高い関心が、すべての人に航空輸送へのアクセスを拡大させるという私たちの使命をさらに加速させるでしょう」。
画像クレジット:Reliable Robotics
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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:sako)