ティーンやトゥイーン(10〜14歳前後の子ども)をターゲットにした口パク動画アプリのMusical.lyが、App Store上で新しいアプリを公開した。数日前に、同社はPing Pongと名付けられたビデオチャットアプリの配信をApp Store上でスタートさせていたが、どうやらこれは一般公開前のテストリリースだったようだ。これで上海に拠点を置くMusical.lyがリリースしたアプリの数は、合計で4つになった。同社のフラッグシップアプリであるMusical.lyのユーザー数は、昨秋時点で1億人を超え、ライブビデオ配信アプリのLive.lyはリリースから数ヶ月のうちに、TwitterのPeriscopeを追い抜かした。
サンフランシスコにも拠点を構えているMusical.lyの評価額は、昨年5月に1億ドルのラウンドをスタートした時点で5億ドルに達していた。当時のユーザー数は6000万人ほどで、まだMusical.lyは成長途中にあった。そして同社は資金調達後すぐに、ビデオを介してリアルタイムでコミュニケーションがとれるLive.lyを、同社にとって2つ目のアプリとしてローンチし、Facebook LiveとPeriscopeに挑んでいった。
共同CEOのAlex Zhuは、ユーザーが音楽以上のものを共有しているということにMusical.lyのチームが気づき、このトレンドをビジネスにできないかと考えた結果、Live.lyが誕生したと説明していた。
その後同社は、3つめのアプリとなるSquadをローンチした。このアプリも、Musical.lyのユーザーをもっとソーシャルな方向へと動かし、お互いに交流できるような場を提供している。シンプルなグループビデオチャットアプリのSquadは、今年の1月にリリースされたものの、Product Huntで取り上げられた以外では、特にマーケティング活動の痕跡は残っていない。
そしてリリース後は、多くの人がSquadをHousepartyと比較していた。Housepartyもティーン向けのグループビデオチャットアプリで、ライブビデオ配信サービスの先駆者的な存在であるMeerkatと同じ会社が開発を手掛けている。なおMeerkat自体は、PeriscopeやFacebook Liveの登場でシャットダウンへと追い込まれた。
Squadのスクリーン
一方Ping Pongは、ユーザーがグループではなく1対1でやりとりすることを除いては、Squadの変化形でしかないような印象を受ける。恐らくこのアプリの目的は、ユーザーがグループでリアルタイムにやりとりするのと、1対1での非対称ビデオメッセージを送り合うのと、どちらを好むのか検証することにあるのだろう。
Ping Pongのスクリーン
SquadもPing Pongも、まだそこまでユーザー数は伸ばせていないようだ。App Storeのソーシャルネットワーキングのランキングを見てみると、Squadが318位に、Ping Pongは700位にランクインしている。ソーシャルメディア上でもPing Pongの話あまり見かけず、現在のところPing Pongはサインアップさえできない状態にある(Squadは問題なく動いている)。
サインアップができないというエラーメッセージが表示されるわけではなく、Ping Pongは利用者の多い時間帯にはまだ対応していないようで、読み込み画面でスクリーンが固まってしまう。Facebook経由でもサインアップはできないが、おかしなことにFacebookはPing Pongのことを「chacha」と呼んでいる。もしかしたらコードネームなのかもしれない(一方で偶然?にも、北京発のChaChaというビデオチャットアプリも存在する。しかし両社の関係についてはよくわかっていない)。
TechCrunchは、先週末からMusical.lyに何度もコンタクトを試みているが、メディアにめったに登場しないことでよく知られる同社からのコメントはまだない。
Ping PongはApp Storeで公開されており、アプリの様子をみることはできるが、先述の通りサインアップは少なくとも今のところできなくなっている。
Ping PongもSquadもGoogle Playでは配信されていないが、主力アプリのMusical.lyはAndroid向けの「Musical.ly Lite」として公開されている。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)