商業赤外線衛星で政府機関より細かい地表温度データを収集・分析するHydrosat、地球の危機に関するデータ提供を目指す

地表温度データをモニタリングするだけで、その地表エリアに関する多くの情報を学ぶことができる。Hydrosatの共同創業者兼CEOであるPieter Fossel(ピーテル・フォッセル)氏は、TechCrunchにこう説明してくれた。「例えば、作物畑にストレスがかかっている場合、植物自体のストレスの徴候より前に、地面の温度が上昇しているはずです」。今回、新たに500万ドル(約5億5000万円)のシード資金を獲得したことで、同氏はHydrosat初の地表面温度アナリティクス製品を顧客に提供したいと考えている。

今回のシードラウンドは、Cultivation Capitalが新たに立ち上げたGeospatial Technologies Fundが主導し、Freeflow Ventures、Yield Lab、Expon Capital、Techstars、Industrious Ventures、Synovia Capital、そしてミシガン大学が参加した。

2017年末に設立されたこの地理空間データ分析スタートアップは、熱赤外センサーを搭載した衛星を使って地表温度データを収集する予定だ。地表温度は農業データ以外にも、山火事のリスクや水ストレス、干ばつなどの情報を提供できる。フォッセル氏のように、気候変動がすでに地球に力を及ぼし始めていると考えるなら、これらはすべて重要な変数だ。

地上温度のデータはNASAや欧州宇宙機関(ESA)などのレガシー機関で収集されているが、あまり高い頻度では収集されておらず、時には特定の場所の地表温度が16日に1回程度しか読み取られないこともあり、高い解像度でもない。Hydrosatは、このような既存のデータギャップを埋めたいと考えている。同社はマルチスペクトル赤外線カメラを使って他の帯域のデータも収集しているが、主なバリュープロポジションはサーマルデータだ。

最初の衛星は、2022年後半にSpaceX(スペースX)のFalcon 9(ファルコン9)ロケットでLoft Orbitalと組み地球低軌道に向かう予定だ。このミッションは、約1年前に心臓発作で他界したHydrosatの前CEOであるJakob van Zyl(ヤコブ・ファン・ジル)氏にちなんで名付けられた。衛星打ち上げというと華やかさが増すようだが、フォッセル氏は同社が「コンテンツ企業であり、データ企業であることが第一」と強調している。

「当社はまた、地表面温度製品の上に、作物の収穫量予測、干ばつ検知、灌漑管理などを目的としたアプリケーションを開発しています。なぜなら、これらはすべて基本的に水ストレスが原因であり、ここで挙げたアプリケーションはすべて、基本的に当社のコア製品である地表面温度データによって実現されるからです」と同氏は語った。

Hydrosatの最初の顧客は、ESAとの契約や、米国空軍および国防総省との3つのSBIR(中小企業技術革新研究プログラム)契約など政府機関だった。しかし今回の資金調達により、同社は製品を商業顧客に提供することが可能になる。商業顧客には、農業関連企業や保険会社、さらには地表データの収集に加えて分析を行いたいと検討している企業などが考えられる。

「(Hydrosatは)おそらく、我々が注力している農業分野からスタートしますが、業界を超えて広がっていく可能性があります。というのも、気温は、環境、水、ストレス、食糧など、当社が対象としている分野以外でもさまざまな活動のシグナルだからです」とフォッセル氏は説明する。「気温は経済活動のシグナルでもあります。防衛やセキュリティの観点からも、温度には多くの優れた使用例があります」とも。

将来的には、Hydrosat社はグローバルなモニタリングを可能にするために、16機の衛星を打ち上げる予定だ。しかし、これはあくまでも中期的な計画だとフォッセル氏はいう。長期的な計画としては、さらに衛星を打ち上げたり、データを充実させるためにバンドを追加したり、分析レイヤーを構築することが考えられる。「その先にあるのは、干ばつ、食糧安全保障、水ストレス、山火事、防衛・安全保障などへの応用を可能にする基盤データを提供することです」と同氏は付け加えた。

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カテゴリー:宇宙
タグ:Hydrosat人工衛星地表温度資金調達農業自然災害SpaceX

画像クレジット:Hydrosat

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

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TechCrunch Japan

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