太陽の光は偉大なるエネルギー源だが、卵が焼けるほど熱いことは滅多にないし、鋼鉄を溶かすなんて、なおさら難しい。そこでHeliogenは、ハイテクを駆使する凝縮ソーラー技術で、そんな状態を変えようとしている。同社はこのほど1億ドル(約111億円)ほどの資金を調達して、温度が摂氏1000度に達する太陽炉を作り、協力企業の鉱山や精錬所でテストしようとしている。
TechCrunchは2019年の同社のデビュー時にHeliogenを取り上げたことがあり、その記事の細部は、今でも同社における技術の中核部だ。たくさんの鏡の集合をコンピュータービジョンの技術を使って細やかにコントロールすることで、それらは太陽光を反射、凝集して摂氏1000度以上の温度になる。これまで存在したソーラーコンセントレーターの2倍近い能力だ。創業者のBill Gross(ビル・グロス)氏は当時「殺人光線のようなものだ」と説明した。
この温度であれば、鉱業や精錬業など、いろいろな用途で化石燃料やその他のレガシーシステムに代わることができる。Heliogenのコンセントレーターを使うと、日中は太陽光を利用し、夜だけ別の熱源を使えばよい。燃料費を節約できるだけでなく、グリーンな未来に近づく。
この2つのゴールがあるため現在、電力や都市ガスなどの公共事業や大手鉱業企業、製鉄企業などが同社の投資家になっている。HeliogenはPrime Movers Labのリードで2500万ドル(約27億7000万円)のA-2を調達したが、もうすぐもっと大きな8300万ドル(約91億8000万円)の、彼らの用語でいう「橋を延長するラウンド」が控えている。それには鉱山業のArcelorMittalやEdison International、Ocgrow Ventures、A.T. Gekkoなどが参加する。
資金は、Heliogenが「Sunlight Refinery(太陽光の精錬)」と呼ぶ技術開発の継続と、実用規模での現場稼働展開に使われる。同社は「設計とコストの改良を常時行い、効率アップと費用低減を図っている」と声明で述べている。
パイロットサイトの1つが、近くカリフォルニア州ボロンに作られる。そこにはRio Tintoのホウ砂採掘場があり、正規工程の一環としてHeliogenが使われると2021年3月の合意書にある。もう1つのArcelorMittalとの合意書では「いくつかの同社製鉄工場でHeliogenの製品のポテンシャルを評価する」となっている。それらの場所は、米国、MENA(中東北アフリカ)、アジア太平洋地区が計画されている。
鉱業や精錬所以外では、この技術は炭素排出量ゼロで水素を生成することにも利用できる。次世代の燃料供給のための実際に機能する水素インフラストラクチャーの構築に向けて、大きな一歩になるだろう。というのも、現在の水素技術では化石燃料への依存をゼロにできないからだ。それに、無料かつ無炭素で得られる高熱は、その他の産業の工程にとっても有利だろう。
「我々は最も炭素集約度の高い人間活動に取り組むプロジェクトを増やし、地球上のすべての人のためにエネルギーの価格と排出量を下げるという目標に向けて取り組むための資源を与えられています」と、グロス氏はラウンドを発表するリリースで述べた。「私たちの使命を追求し、ポスト炭素経済の実現を可能にする世界的な技術を提供することを可能にしてくれた投資家に感謝します」。
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カテゴリー:EnviroTech
タグ:Heliogen、太陽光、水素、炭素排出量、資金調達
画像クレジット:Heliogen
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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)