テクノロジーの大きな問題は、ノスタルジアと無縁であることだ。Nintendoや、もしかしてFujifilmを除けば、かつての快適な製品や機能にこだわる企業はめったにない。そして、それは当然だ!
たとえばApple。私は今でも、自分のiPhoneに正しいヘッドフォンジャックがないことが苦痛だ。ドングルはすぐなくすから、いらつくし、Touch IDのような新しい機能がiPhoneのセキュリティやユーザー体験の抜本的な改良ではないことを、忘れてあげるのはとても難しい。
しかし、栄枯盛衰は世の常である。ヘッドフォンジャックに次いで今度消されるのはTouch IDかもしれない。
今週初めのBloombergの記事によると、AppleはiPhoneに強力な3Dカメラを載せて顔認識機能を実装するらしい。そしてそうなると、Touch IDは要らなくなる、と。
数日前にKGIのアナリストMing-Chi Kuoが、次のiPhoneは全面ディスプレイのデザインになり、顔認識を使う、と書いていた。
これら最新の噂の前には、Touch ID用センサーはスクリーンの下に置かれる、という説もあった。
でもBloomberg/KGIの最新の記事を前提にすると、Appleの新しい特許が気になる存在だ。
そのパテントは、コンピューティングデバイスがスリープモードの間に、ユーザーをカメラで認識する方法を記述している。消費電力はそのとき最小だが、ユーザーがそのコンピューティングデバイスに近づくと自動的に覚醒する。
そのシステムは三つのパラメータ(肌の色、顔、動き)を使って、これからユーザーがデバイスを使おうとしているのか、そのユーザーは本当のユーザーか、を見分けようとする。すべてのパラメータが合えば、デバイスは覚醒してあなたを歓迎する。
この特許文書に使われている画像は、存在認識システムを使っているデスクトップコンピューターだ。iPhoneやiPadのようなモバイルデバイスは静止していないことが多いから、デスクトップ機の方が画像認識の仕事がやりやすいに決まっている。しかし、かといって、この顔認識/存在認識システムがモバイルデバイスでは使われないとは、どこにも書かれていない。
ただしAppleのパテントでよくあるのは、その技術が実際の製品ではまったく使われないことだ。でも、iPhoneの顔認識の噂を聞いた以上は、このパテントがどうしても気になってしまうのだ。