無人小売店舗のスタートアップ、InokyoはAmazon Goに挑戦する

インディーズ版Amazon Goを目指すスタートアップのInokyoが、レジ係不要の無人小売店舗のプロトタイプをスタートした。商品を棚から取り出したり棚に戻したりするところをカメラで撮影し、客は店を出る前にアプリのQRコードをスキャンするだけで、購入した商品の代金が引き落とされる。

最初の店舗はカリフォルニア州マウンテンビューのカストロ通りにオープンし、 おしゃれなこんぶ茶やスナック、プロテインパウダーやバス用品などを販売している。陳列棚はまばらで少々戸惑うが、5年後の日常のショッピングらしき様子を垣間見ることかできる。本誌が撮ったデモビデオを参照されたい。

「レジ無し店舗は自動運転車が輸送業界に与えるのと同じレベルのインパクトを与えるだろう」と、Inokyoの共同ファウンダー、Tony Francisが私に言った。「これは小売の未来だ。店舗が無人化に進むことは避けられない」。

Inokyo(Tokyoと韻を踏む)はこのマウンテンビュー店舗を早期利用する ベータテスターを募集中だ。テストの目的は、将来の品揃えとビジネスモデルを考えるために必要なデータを収集することにある。Inokyoはこのテクノロジーをサービスとして他の小売店に販売するか、自社店舗を運用するか、ブランドと提携して製品のポジショニングを改善するかを、店内センサーのデータと顧客の行動に基づいて決定するつもりだ。

「このテクノロジーを実験室で研究しても成功しないことはわかっている。最初にシステムを提供してリアル世界で学習し、このテクノロジーをいち早く進化させたものが市場を席巻できると考えている」とFrancisは言う。InokyoはAmazonやWhole Foodsと競合できるような小売の巨人になれることはないかもしれない。しかし、その技術によって対等な戦いを実現し、小さな企業が巨人たちの独占を阻む可能性はある。

問題はレジ係が代わりに何をするかだ

「Amazonは私たちが思ったほど先行していない」とFrancisは指摘する。彼は共同ファウンダーのRameez Remsudeenと共にシアトルのAmazon Go店舗を見に行ってきた。米国でレジ係をカメラで置き換えた最初の店だ。そこで感じたのは「この体験は魔法のようにできるはずだ」ということだった。

ふたりはカーネギーメロン大学の機械学習の授業で知り合い、その後その知識をInstagramとUberで利用した。彼らは無人店舗の世界に今すぐ参入すればその方向性について発言権を得られると考えた。

来週Inokyoは彼らのシード資金を提供したY Combinatorのアクセラレーターを卒業する。6週間のプログラム期間中に、マウンテンビューの店舗スペースを見つけ、従来型店舗の顧客の行動を学習し、初期の商品群を揃え、ユーザーが棚から取り出したものを追跡するテクノロジーを開発した。

Inokyonストアのしくみはこうだ。まずアプリをタウンロードして支払い方法を登録するとQRコードが送られてくるので店に入る時にセンサーにかざす。天井のカメラが客の体型と服装をスキャンして顔認識をせずに店内での動きを追跡する。一方、棚に設置されたカメラは商品が取り出されたり戻されたりするところを追跡する。これらを組み合わせて、誰がどこで何を取り出したかを認識することでカート内の商品を決定する。店を出る時に再びQRコードをスキャンする。のちに詳細が書かれたレシートを受け取る。

実は当初Inokyoでは店を出る時のスキャンをしていなかったが、客からのフィードバックで、万引きしているような気分だと言われた。出口のスキャンは技術的に必要だったわけではなく、安心感を与えるためというわけだ。そこには「選んだ商品をInokyoが全部認識しなくても私の問題ではない」という不穏な楽しみもある。そして、もし過大に請求された場合はアプリ内のサポートボタンを押して払い戻しを受けることができる。

Inokyo co-founders (from left): Tony Francis and Rameez Remsudeen

私は商品を棚から何度も出したり入れ替えたりしてみたが、Inokyoの請求は正確だった。ただ、その時店内には3人くらいしか客がいなかった。この種のシステムにとって本当の課題は、客が大勢やってきて似たような外見の人をカメラが区別しなくてはならないときだ。精度が99%以上でなければ、システムは役にたつより面倒のタネになるだろう。しょっちゅう金額が多すぎたり少なすぎたりするくらいなら、昔ながらの店に行った方がいい。

無人小売店舗はレジ係不要だからといって、スタッフを置く可能性がないと言う意味ではない。コスト削減を最大化するために、客は略奪をしないと信じているだけだ。Inokyoは店内に目を配り、客が入店時にスキャンするのを確認したり、手続きの質問に答えたりすることを考えている。また、レジ係を配置転換して商品を薦めたり、客にあった商品を見つけるコンセルジェにする可能性もある。こうした店の評価はテクノロジーだけでなく体験全体の利便性できまる。少なくとも、レジ作業から解放された従業員が、商品補充や顧客対応、店舗のメンテナンスなどに従事できる機会があるはずだ。

The Amazon Go autonomous retail store in Seattle is equipped with tons of overhead cameras

Amazon GoはInokyoと同じような方法でカメラを利用しているが、さらに重量センサーを用いて商品を追跡している。レジ係不要の夢を追っている会社は他にもay to Inokyo, it also relies on weight sensors to track items. There areたくさんある。中国のBingoBoxは1億ドル近い資金を受けて300以上の店舗を展開している。ただし、技術的にはさほど高度ではないRFIDタグを使用している。Y Combinatorの同窓スタートアップ、 Standard Cognitionは500万ドルを調達して、従来型店舗に無人カメラ技術を付加している。AiFiも同じことをしているが、不審な動きを検出して万引きの可能性を報告できると言っている。

未来型店舗はますます現実味を帯びてきた。正確な追跡ソフトウェアと容易に設置できるハードウェアを開発し、買い物フロー全体を快適にできる会社が勝者となるだろう。もしこのテクノロジーが顧客を遠ざけることなくコストと行列を減らすことができれば、地元のリアル店舗はすぐにでも導入するだろう。この未来がやってくるのか、いつそうなるのかという以上に大きな問題は、レジ打ちで生計を立てている無数の人たちにとって、それがどんな意味を持つのかということだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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