登録者数1.5億人のアバターアプリZEPETOはSnowから独立して中国を意識する

1年半前にZ世代ユーザーの間で流行した韓国のアプリZEPETO(ゼペット)を覚えている人もいるだろう。自撮り画像をアニメーションするアバターに変換して、コンピュータが作り出したバーチャルなアイテムに囲まれた世界で楽しく遊ぶというアプリだが、その流れは維持されているようだ。ZEPETOの登録ユーザーは1億5000万人に上るが、先日同社がTechCrunchに話したところによると、月ごとのアクティブユーザー数のほうが、そのアプリの性能をよく示しているという。その数は1000万人前後で推移している。

いまのところ、中国がZEPETOの最大の市場だ。中国では、親しみを込めた子どもの呼称「崽崽」(ザイザイ)という名で知られている。「崽崽は、総合的なエコシステムへの発展を志向しつつ、中国全体に強固なコンテンツを提供したいと考えています」とCEOの金大旭(キム・デウク)氏は言う。

このアプリには、その由緒正しい家柄の恩恵も受けているようだ。これは自撮りアプリのSnow(スノー)を開発した同名の企業から生まれ、その親会社はアジアのメッセージアプリの巨人LINE(ライン)を保有するNaver(ネイバー)だ。だが同社は、今月Snowから独立してNaver Z(ネイバーゼット)という子会社になった。

人々がそれに代わる新しいトレンドへと移行していく中で、人気の写真編集ツールがフェードアウトするという話は珍しくない。その理由は、新しいアプリがより魅力的な視覚効果機能を備えているか、マーケティングの妙技によって多くの人たちを魅了するかのどちらか、あるいはその両方だ。そのため、気軽に使えて便利な機能を提供することが目的のアプリは、まだ順調なうちに、ユーザーを逃がさない方法か、強力に関与して収益化を図る方法に、よくよく知恵を絞る必要がある。ZEPETOが行ったのは、その両方と言える。

自分自身とそのZEPETOキャラクターがダンスするユーザーの抖音(中国版TikTok)動画のスクリーンショット

このアプリには、特別なネットワーク機能がある。ユーザーは自分のアバターを使って匿名でバーチャル世界に暮らすことができる。「ザ・シムズ」みたいな感じだ。難題は、もちろん、人々にまた遊びたいと思わせる大きなネットワークを構築することだ。

ZEPETOでは、一連のミニゲームでも遊べる。ZEPETOのグローバルビジネス責任者であるRudy Lee(リウディー・リー)氏は、大人気の「どうぶつの森」で人々が楽しんでいるような平和な冒険と表現している。

別の見方をすると、この事業はバーチャル・アイテムがよく売れるまでに成熟している。事実、この部門の業界リーダーであるTencent(テンセント)でも、ユーザーの仮想プロフィールと仮想空間を装飾するアイテムの売り上げが収益の大半を占めていたことがあるが、それは韓国のインターネットのパイオニアであるうCyworld(サイワールド)がビジネスモデル化したものだ。TencentがWeChat(ウィーチャット)を開発し、記録的な売り上げのビデオゲームを運営して世界的な評価を得る前のことだ。

ZEPETOは、現在のところ、6億個のバーチャルアイテムを販売して1000万ドル(約10億600万円)の収益を得ている。同社は、先日、第三者のアーティストが服やアクセサリーのバーチャル・アイテムを製作して販売できるクリエイティブなマーケットプレイスを立ち上げ、この事業をステップアップさせた。ZEPETO Studio(ゼペット・スタジオ)と呼ばれるこのストアは、オープン最初の月でおよそ70万ドル(約7400万円)の売り上げを記録した。有名ブランドのアドオンも数多くある。これは写真エフェクトのアプリでは一般的な戦略だが、ナイキのバーチャル・アパレルを自慢することもできる。

「私たちは、ディズニーやナイキといった国際的なブランドや、BTSのようなセレブと提携しています。さらにエキサイティングな提携をZaiZai Studioに呼び込み続け、クリエイターたちによりよいサービスを提供できるようにします」とリー氏は、中国でのスタジオ機能が5月中旬にサービスを開始する予定に関連させて話していた。

ZEPETOでブランド展開するナイキのアパレルブランド

十分に大勢の人たちがZEPETOを使い続けたなら、第三者のストアはデザイナーにとっても儲かる商売になる可能性がある。ZEPETOには6万人のアーティストが登録しているが、もっとも多く稼いだ人の最初の月の売り上げは9000ドル(約96万円)ほどにもなった。

だが、ユーザー数が増えるにつれ、ZEPETOはそのマーケットプレイスが、みんなのものであり続けるよう気を付けなければならなくなる。同社は内部にモデレーション・チームを組織し、「バーチャル衣服に書かれる政治的メッセージ、ヘイトスピーチ、差別的メッセージなど」を排除しているとリー氏は言う。そのルールは、とくに中国での展開を意識したもので、情報の流れが厳しく統制されている中国に適応するためのものだ。

また、便利なツールとして生き残る方法としては、他のアプリの成功に便乗することを決めた。以前、我々は、VSCO(ビスコ)のライバルである写真編集アプリPicsArt(ピクスアート)が、TikTokに影響されたステッカーに対応することで生き残った話を書いたが、ZEPETOもそこに注目している。今、多くのユーザーが、アバターのアニメーション動画を、TikTokの中国国内向けバージョン抖音(ドウイン)でシェアし始めているとリー氏は話してくれた。

画像クレジット: Zepeto via Weibo

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(翻訳:金井哲夫)

投稿者:

TechCrunch Japan

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