ロケット船Slackは減速しない。この、企業向けメッセージングサービスはこのほど、投資前評価額38億ドルで2億ドルを調達した。ラウンドをリードしたのはThrive Capital、これにGGV, Comcast Ventures、そしてSlackのこれまでの投資家Accel, Index Ventures, Social Capitalらが参加した。
これで同社は、創業3年にして5億4000万ドルの巨額を調達したことになる。この前は、昨年の4月に28億ドルの評価額だった。そして今年は、ユーザー数が前年比で3.5倍に増加した。
SlackのCEOで協同ファウンダーのStewart Butterfieldは、声明文の中でこう言っている: “これまでもそうであったように、弊社はこの機会にトップ走者としての地位をさらに揺るぎないものにし、継続的に意欲的な成長プランを追求していきたい。この資本は弊社の資金力をさらに厚くすることによって、妥協の要のない長期的戦略的展望への注力を可能にする”。
Thrive Capitalの常勤役員パートナーJosh Kushnerは、こう述べている: “チームワークの形を変えつつあるSlackとパートナーできることは、喜びである。複数のプラットホームやチームやアプリケーションが複雑に関与していく未来のコミュニケーションを、Slackはシームレスに支えることができる、とわれわれは確信している”。
顧客企業には、NASA, LinkedIn, Spotifyなどがいる。本誌TechCrunchも、社内コミュニケーションにSlackを使っている。同社の社員数は430名、本社はサンフランシスコにある。
Slackは、社内コミュニケーションからメールを追放するかも、という点でシリコンバレーでも注目を集めている。今、毎日のユーザー数は270万、エンタープライズ系のスタートアップとしては相当多い。同社は最近の本誌主催Crunchie’s賞で、“最速成長賞”を獲得した。
その異様な人気と、巨額な資金調達、膨大なユーザー数、周辺デベロッパーの活動量、どれをとっても、Slackはメッセージングというシンプルな業態を大きく逸脱している。その主要機能を他社が真似ることはできても、蓄積されたネットワーク効果と、統合されているさまざまなアプリケーションやチャットボットなどは、逆立ちしても真似できない。
この成長が今後も続くと信ずる者から見ると、評価額はやや低いと思えるかもしれないが、それはあくまでも現在のユーザー数をベースとする高値の生涯値だ。今度新たに得られた2億ドルは何をするための資金か、その計画はまだSlackの胸の中にある。買収か、より高度な人材の雇用か、強力なR&Dか、そのすべてがありえる。たとえば今同社は、音声チャットとビデオチャットの導入に取り組んでいる。
残る疑問は、果たして誰かがSlackの勢いを止められるだろうか?