血液検査バイオのTheranos、1億ドルの資金を借り入れ――投資会社はSoftBank傘下

バイオのスタートアップ、Theranosが1億ドルの資金を借り入れることに成功した。画期的新方式の血液検査を提供するという触れ込みで登場したものの、検査結果に深刻な疑問が突きつけられて苦闘している会社に投資者が現れた。

最初に報じたのはBusiness Insiderで、Theranosへの投資家はニューヨークに本拠を置くFortress Investment Groupという未公開株式投資会社だという。同社は今年初めにSoftbankに買収されている

もちろん今回の資金調達は借り入れで増資ではないが、今年、人員の半数以上を解雇し、さらに赤字を拡大しているTheranosは運転資金を切実に必要としていた。

一滴の血液だけで200種もの疾病を検査できると主張して登場したTheranosは一時、シリコンバレーの寵児となり、会社評価額90億ドルを記録した。しかし肝心の検査結果が疑わしいことが報じられて一気に転落し、いくつもの訴訟を起こされ、連邦機関による調査の対象にもなった。共同ファウンダー、CEOのエリザベス・ホームズは自社のラボに関与することを禁じられた。ラボは閉鎖され、会社はいわばピボットを余儀なくされた。Theranosは主力業務を血液検査サービスの提供からジカ熱感染を探知する装置の製造に切り替えた。

同社はこのトラブルのせいで2015年以降資金調達ができないままだった。昨夜(米国時間12/23)、ホームズは投資家に対し、「2018を通して運営を可能にする資金を確保した」と説明したという。

Buisiness Insiderの記事によれば、この借入には、いくつかの条件が付帯しており、Theranosは所定の成果を上げることが求められると同時にFortressはTheranosの持ち分の4%のを得たということだ。

ホームズの投資家への書簡には、品質管理やコンプライアンスなどを含め、Theranosを再び軌道に乗せるためにこの1年実施してきた改革の概要が示されている。Theranosは訴訟のいくつかで和解し、ラボの実態を調査していた連邦機関、CMS(Centers for Medicare and Medicaid Services)とも和解したという。書簡でホームズは近くラボを再開できることを期待していると述べている。

ホームズはTheranosは1年半から2年以内にジカ熱テスト装置の販売ができるとしている。これは2016年に事業をピボットして以来一環して主張してきたスケジュールだ。

ホームズはまた個人向けにカスタマイズされたセンサー・システムを用いてラボによる検査業務も復活させることも期待している。Theranosはこの分野で多数の特許を保有している。

こうした一連の動きはもちろんTheranosにとってグッドニュースだ。しかし本当の問題はTheranosが公衆の目から見て一度地に落ちたイメージを回復できるかどうかだろう。われわれはTheranosが本当に復活しつつあると信じられるだろうか? ともあれ2018年の運営資金を投じたFortessはそう信じたようだ。

このニュースはクリスマスの週末という時期に飛び込んできた。同社がこれ以上の詳細を発表する意思があるとしても、それはかなり先になりそうだ。 ただしわれわれはTheranosにコメントを求めておいたので、何か判明すればアップデートする。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

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TechCrunch Japan

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