量子クラウドデータセンターから量子鍵配送まで、量子サービス(QaaS)目指すTerra Quantum

スイス・チューリッヒを拠点とし、サービスとしての量子(QaaS)プラットフォーム(最終的には独自の量子ハードウェアを含む)の構築を目指すスタートアップ、Terra Quantumは、現地時間1月20日、2019年のシードラウンドでも出資したLakestarが主導し、6000万ドル(約68億5000万円)のシリーズAラウンドを実施したことを発表した。今回のラウンドに参加した他の投資家は、匿名を希望している。Terraによると、世界的に有名なドイツ最大級のファミリーオフィス2社と、世界的に最も影響力のある暗号資産投資家1社が含まれているとのこと。

Terra Quantumの背景にあるアイデアは、新しいエンドツーエンド量子プラットフォームを構築することだ。同社が独自の量子チップを開発するのはまだ数年先のことで、現在は量子アルゴリズムのライブラリや、量子鍵配送サービスなどの量子セキュリティツールを顧客に提供することに注力している。

独自のハードウェアについては「超伝導量子ビットに非常に関心がある」とのこと。現在、同社は模擬的な仮想量子ビットへのアクセスをユーザーに提供しており、トポロジーやアーキテクチャを問わず、現在利用可能なあらゆるハードウェアプラットフォーム上でワークロードをサポートできる。

Terra Quantumの創業者兼CEOであるMarkus Pflitsch(マルクス・フリッチュ)氏は、次のように述べている。「今回のシリーズA資金調達により、ディープテック分野のスタートアップからグローバルな量子ビジネスへと発展した当社が、量子コンピューティング分野での主導的な地位をさらに高めることが可能になります。初のハイブリッド量子クラウドデータセンター(QMware)と、量子鍵配送(QKD)に基づく超安全なグローバル量子プロトコルを発表した最近のマイルストーンを非常に誇りに思うとともに、これまでも、そしてこれからも私たちの道を支えてくれるすべてのパートナーのサポートに感謝しています」。

Terra Quantumは現在、自動車業界やバイオテック業界のDAX40企業を顧客に抱えている。

Terra Quantumは、今回の資金調達により、研究開発能力の拡大(独自の量子ハードウェアを構築する場合に必要となる)と、量子サービスの拡大(そのためにはハードウェアが必要となる)を計画している。

LakestarのパートナーでありCTOのStephen Nundy(スティーブン・ナンディ)氏は次のように述べている。「当社は、優れた技術を持つ創業者とのパートナーシップを強く望んでおり、Terra Quantumの量子技術の素晴らしい可能性を最初から信頼していました。Terra Quantumは、第二次量子革命を推進する上で、主導的な役割を果たすことを一貫して証明しています。その先駆的な量子アプリケーションは、例えば差し迫った量子暗号の課題を解決するなど、非常に大きな可能性を秘めています。我々は、Terra Quantumの世界規模での継続的な成長をさらに支援できることを非常に嬉しく思います」。

画像クレジット:ALFRED PASIEKA/SCIENCE PHOTO LIBRARY / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

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TechCrunch Japan

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