量子コンピューティングのRigettiが約83億円のシリーズCラウンドをクローズ

IBM(アイビーエム)やMicrosoft(マイクロソフト)、D-Wave(Dウェーブ)といった業界大手に挑む量子コンピューティングスタートアップのRigetti Computing(リゲッティ・コンピューティング)は米国時間8月4日、7900万ドル(約83億円)のシリーズC資金調達ラウンドをクローズしたと発表した。本ラウンドはBessemer Venture Partnersがリードし、Franklin Templeton、Alumni Ventures Group、DCVC、EDBI、Morpheus Ventures、Northgate Capitalが参加した。

BessemerのTomer Diari(トマー・ディアリ)氏、Veritas Softwareの前CEOのMark Leslie(マーク・リーズリー)氏がRigettiの役員会に加わる。

2020年初め、TechCrunchはRigettiが当時少なくとも7100万ドル(約75億円)の調達(未訳記事)を模索しておりダウンラウンドになるようだと報じた。Rigettiの広報担当は今回のラウンドでのバリュエーションについて詳細は明らかにしなかった。

「本ラウンドにより当社は量子のアドバンテージをマーケットに届けるという目標に一歩近づいた」とRigettiの創業者でCEOのChad Rigetti(チャド・リゲッティ)氏は述べた。「当社はスケーラブルで、エラーが修正される量子コンピューティングの構築にフォーカスしていて、クラウドを介した現行システムへの高パフォーマンスアクセスをサポートしている。実用的なアプリケーションのためにデザインされた特有のハイブリッドコンピューティングアクセスを提供する」。

Rigettiは現在、同社のマシーンへのアクセスのためにクラウドベースのサービスを提供している。また現在プレビュー中のAWSのBraketサービスを通じても提供している。Rigettiは最近、昔のコンピューターを上回る量子コンピューターを作るための860万ドル(約9億円)のDARPA(米国防高等研究計画局)賞を受賞した。

「ひと度、量子のアドバンテージが達成されると、量子コンピューティングが途方もなく価値あるものにならない分野はない」とFranklin Equity Groupの副社長でポートフォリオマネジャーのJonathan Curtis(ジョナサン・カーティス)氏は話した。「Rigettiは先端テクノロジー、素晴らしい専従チーム、そして重要な商業・政府・市場開拓の関係を備えていて、この重大な新興マーケットにおいて数少ないリーダーの1社だと確信している」。

量子コンピューティングは長い間多くの約束をしてきたが、過去数年は実際に前進している。さまざまな企業が現実世界のユースケースのほとんどにまだ十分に対応できないワーキングシステムを構築しているが、これは多くのことを約束している。Rigettiは、おそらく他社よりもそうだろうが、こうした現実世界のユースケースにフォーカスしてきた。

「我々が科学の境界をサイエンスフィクションの領域に押し込み続けるにつれ、量子コンピューティングは高パフォーマンスコンピューターにおけるパラダイムシフトを起こす」とディアリ氏は述べている。「量子テクノロジーは生物学、化学、ロジスティック、材料科学において目覚ましい発展を生み出す可能性を秘めている。Rigettiが生産レベルのシステムに向け、最もクリアな近道を提供すると我々は確信している」。

画像クレジット:Steve Jennings/Getty Images for TechCrunch / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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