量子計算(quantum computing)のD-Waveにとって、今年はビッグな年だった。5月に同社は、NASAとGoogleが同社のD-Wave Twoコンピュータを共同購入して‘Quantum Artificial Intelligence Lab’(量子人工知能研究所)を作り、機械学習に関する最先端の研究を行う、と発表した。カナダのブリティッシュコロンビア州Barnabyの小さな企業であるD-Waveはこれまで、同社の量子計算技術に対して一部の科学者たちから批判も浴びてきたが、ここにきてNASAとGoogleが顧客になったことは、同社に大きな支持票が集まったことを意味する。
そこで、D-WaveのCEO Vern Brownellが先日サンフランシスコに来られたとき、本誌TechCrunchの本社にお招きして、D-Waveの概要と同社の過去から未来への軌跡について語っていただいた。日頃の本誌は量子力学や超伝道体などについて疎い方なので、通常のビデオインタビューよりも長くかかってしまった。でも、その17分はとても有意義な時間だった。そしてインタビューに応じていただいたBrownell氏は、とても心配りのできるお方だった(無知な私なんかに対して!)。
インタビューの最後に彼は、シリコンバレーのスタートアップ環境について語り、これからのファウンダやエンジニア、そしてとくに投資家たちは、もっと困難な問題に挑戦してほしい、と述べた。この部分が私はとくに好きだけど、それはだいたい16:10あたりだ:
“ちょっとがっかりしていることがあるとすれば、それは、世界の未来を大きく左右する本当に革新的な技術に、今の投資家たちがほとんど関心を示さないことだ。ゲーム企業やTwitter、Facebookなどの企業も立派だけど、人間の生き方を根本的に変えるものではない。でも、成果を生むために何年もかかるような革新的な研究やハードウェアの開発に取り組んでいるところは、投資も乏しいため、とても少ない。そのことが、とても不満だ。
でも、いつかは時計の振り子の振れる方向が変わって、技術開発よりも科学研究の方が重視される時代が来ると思う。ちょっとした思いつきではなく、新しい科学を技術に変えていくことの方が、ずっと重要なのだから。”
量子チップの動作原理や、D-Waveが浴びた批判、量子計算技術によるクラウドサービス、学問と技術の橋渡し、などなどの話題については、上のビデオをご覧いただこう。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))