Alphabet、EU制裁金27億ドルをよそに売り上げは好調

Alphabetの広告ビジネスは、EUから課せられた巨額の制裁金をよそに恐ろしいペースで成長を続けている ―― しかし、兆候のすべてがGoogleの完璧な未来を指しているわけではない。

EUは、 Googleのショッピング比較検索が反トラスト法に違反しているとして、6月末に27億ドルの制裁金を課した。Googleは今日の第2四半期決算にそれを盛り込んでいるが、売上は前年比20%増で「有償クリック数」も52%跳ね上がった ―― 基本的に有償クリックはGoogle広告を見る人口だ。利益以外の部門は予測を上回った。

しかしGoogleの決算報告には見過ごされがちなものがある。「トラフィック獲得コスト」(TAC)がGoogleの売上に占める割合は前年より増えている。昨年第2四半期は広告売上の21%だったが、今年は22%だ。わずかな違いに思えるかもしれないが、TACの増加は良くない兆候でありウォール街に対するネガティブな信号になりかねない。

決算報告が発表された後すぐ株価は最大3%下落した。同社株は今日1000ドルを越えたが、今後伸びていくためにはこうした課題を解決するシナリオが必要だ。先月は多少困難があったにもかかわらず、今年に入ってGoogleの株価は25%以上値上がりしている。

TACの増加は徐々にではあってもGoogleの今後にとってリスクになりうる。たとえ有償クリック数が増え続けたとしても、コスト増はバランスシートを圧迫する要因だ。Nestなどの新事業による「その他の賭け」(Other Bets)を追求する今も、Alphabetを推進するのはGoogle本体だ。Googleは今、副次的プロジェクトの無駄を省き、真のビジネスへの転換をはかっている。

Googleの第2四半期の経費は昨年の81億ドルから100億ドル以上へと膨れ上がった。売上は21%伸びたものの、コストがそれ以上に増えている。いずれも小さな兆候だが、Googleの未来を適切に見積ろうとするウォール街が見逃すことはない。

それでもGoogleはEUの制裁金を利益に織り込むことで将来予測を確定したかった。ウォール街はそのレンズを通して今日のGoogleの決算報告を見ている。同社の1株当たり利益は5.01ドル、売り上げは260億ドルで、アナリストの予測はそれぞれ4.46ドルと209億ドルだった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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