Amazonは、現在どのIT企業も同等品を出していない新製品を発表した ― つながっているスピーカー、Echoは、常時オン状態で待機して、バーチャルアシスタントが利用者の命令を聞いて情報を知らせたり作業を開始したりする。
この円筒形デバイスは部屋中に広がる音を出し、上部にある7つのマイクロフォンは、ビーム形成技術を使ってユーザーの声を特定し、部屋のどこから話しかけられても聞き取ることができる。要求を理解しやすくするために、演奏中の音楽などのバックグラウンド音をフィルターすることもでき、音声はAmazonのクラウドベース・ウェブサービス経由で処理されるため、要求の認識は対応は時間と共に改善されていく。
360度全方向スピーカーを内蔵し、ユーザーの端末からBluetooth経由で接続するほかに、Amazon Music Library、Prime Music、TuneIn、およびiHeartRadioの音楽再生機能が標準でサポートされている。さらに、地方ラジオ局やNPR、TuneIn経由のESPNその他の情報源によるニュースや気象情報を聞くこともできる。ユーザーの質問には、Wikipediaから得た基本情報、単語の意味、さらには単位の変換もリアルタイムで答えてくれる。
Amazonは専用のEchoアプリも公開し、Fire OS、Androidで動作する他、iOSのSafari、およびデスクトップ経由で制御するためのウェブベースアプリも提供される。ユーザーはこれを使って、サービスの設定、アラームの確認、リマインダーや買い物リストのチェック、その他ユーザーがスピーカー自身を経由して入力した情の確認等ができる。
Amazon Echoaの価格は199ドルで、Primeメンバーは期間限定で99ドルだが、注文するためにも同社からの招待が必要だ。これは全く思いがけなく現れた製品だが、Amazonの極秘プロジェクト、Lab126が様々なガジェットを手がけているという情報は今年になって聞いていた。家中で使える常時オンのSiriが、いつでも質問に答え情報を提供するというアイデアは、将来のApple TVに組み込まれるという噂もあり、少なからぬスタートアップの頭の中にある概念でもある。
Amazonにとっては明らかな利益がある。ユーザーの声を聞き、音声による問い合わせを処理することは同社のコンセプトそのものだからだ。それは、ユーザーにこのアイデア全体を不安に感じさせるものでもある。AmazonのFire Phoneが、ユーザー指向の利便性を提供することより、客をAmazonのウェブストアに誘導するためにあると、多くの人々が感じたのと同じだ。Amazonによると、Echoが聞くのはアクティベーションワードを言った時だけだそうで、標準では “Alexa” になっているようだ。
すべてが少々不可解ではあるが、主要IT企業の新製品としてかなりユニークであることには興味をそそられる。さらに、もしこれがPhilipsのつながる電球 Hueや、Nestの学習サーモスタット等のスマートホーム機器分野ともつながるようになれば、家全体のスマートハブへとシフトする可能性も見えてくる。現時点で見る限り、消費者への売り込み方は奇異に感じるが、操作するためにユーザーが頭を動かさなくてはならない3D表示付スマートフォンよりは、おそらく分別ある商品なのだろう。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)