現在Google本社に隣接するショアライン・アンフィシアターで開催中のデベロッパー・カンファレンス、Google I/Oのキーノートで、予想どおりAndroid Nが発表された。この次世代Android OSはGoogleのモバイル・システムの要となる存在だ。
Android NでGoogleは従来のアップグレードのサイクルから大きく外れた。 GoogleはこれまでI/Oで次世代Androidの最初の発表を行ってきた。しかしAndroid Nのプレビュー版は数カ月前にリリースされている。またNはon-the-airでアップデートできる最初のプレビュー版となった。そうした経緯から、かつてない数のユーザーがテストに参加しているはずだ。
今日(米国時間5/18)開幕したI/Oデベロッパー・カンファレンスで、GoogleはAndroid Nの3回目のプレビュー版を発表した。 同時にこれは「ほぼベータ版の品質」に達しているとGoogleが考えた最初のプレビュー版だ。前回のリリース同様、今回のプレビュー版もNexus 6,、9、5X、 6P、Nexus Player、 Pixel C、Android One (General Mobile 4G)に対応する。これらのデバイスを持っている場合、こちらから登録できる。
製品版のリリース日時はまだ明らかにされていないが、Googleによれば「今年の夏の後半」を予定しているという。
GoogleのAndroidのエンジニアリング担当副社長、Dave Burkeは私のインタビューに対して「Nはユーザーのメインのモバイル・デバイスに利用できるレベルに達していると考える」と語った。私の経験では、Googleの場合、最初のリリースでもかなり使い物になった。しかしBurkeは「たしかに多くのユーザーが初期ビルドにしては出来がいいと驚くが、それでも致命的なバグが残っており、われわれのチームはそれらを修正している」と語った。
そういう次第で、今回Googleの発表の多くはすでに知られている内容だろう。 たとえば、Android Nはマルチウィンドウをサポートしている(これによってPixel Cのようなタブレットが生産性ツールとして使い物になるはず)。またグラフィックスAPIが改良されている。高速なジャスト・イン・タイム方式のコンパイラーはパフォーマンスを大きくアップするはずだ。Burkeによれば、アプリのインストールは75%速くなり、サイズも大幅に小さくなるという。
当然ながら、Googleは最初のプレビューに搭載予定の新機能のすべてを詰め込んできたわけではなかった。
たとえば、新しいAndroid Nには標準でVRモードが搭載されることが判明した。このモードはVRアプリが優先的にCPU、GPUにアクセスできるようにする。またVRヘッドセットを装着した場合に問題となるユーザーの頭の動きに対する画面表示のレイテンシーを最小限にとどめるソフトウェア技術もいくつか含まれている。Googleによれば、VRモードはCardboardヘッドセットにNexus 6Pを装着した状態でレイテンシーを100msから20msに短縮するという。これは没入感を大幅に改善するだろう。VRプラットフォームについてTechCrunchはこちらに詳しい記事を掲載している。
また今回GoogleはOSアップデートのプロセスを一新した。Androidデバイスはバックグラウンドで新OSをダウンロードし、インストールする。ユーザーがデバイスを再起動すると新OSに切り替わっているわけだ。Androidの更新が終わるのを何分も待つ代わりに、単に再起動をかけるだけよくなる。更新は見えない場所ですでに行われており、ユーザーの利用を中断しない。
このバックグラウンドでの更新はすでにChrome OSで実施されており、Burkeは「両チームはアップデートの改良で緊密に協力している」と語った。
この改良で、Androidデバイスはユーザーにアップデートがあったことを知らせ、新OSをインストールするよう促すのではなく、ユーザーがデバイスを再起動するのを待つように変更された。BurkeによればGoogleの調査でユーザーはほとんどは月に1度以上デバイスを再起動しており、Chrome OSの経験では数ヶ月で99%のアップデート率を達成できたという。
ユーザーが指紋認証その他の認証手段を利用している場合は、再起動後にOSが更新されている場合でもAndrodiはユーザーにいちいちパスワードの再入力は求めない。
[原文へ]
(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)