それはAppleにとってこの上なく重要な四半期だった。そして、彼らはほぼ投資家の期待に沿ったようだ ― ただし、第2四半期に向けて同社初の売上減少の可能性も秘められている。
Appleは、第1四半期に売上759億ドル、1株当たり利益3.28ドルを記録した。これは売上におけるAppleの四半期記録だが、アナリストの予測にはわずかに届かなかった。アナリストは、1株当たり3.23ドル、売上766億ドルと予想していた。
Appleは第1四半期に7480万台のiPhoneを売ったが、アナリストの予測は7500台だった。前の四半期にAppleは7450万台のiPhoneを出荷しており、これはiPhoneの売上成長が壁に当たった可能性を意味している。これには複数の要因が考えられるが ― 中国での成長の鈍化、飽和点に達した等 ― 何であれ、主要な成長エンジンのスピードは落ちているようだ。
これはiPhoneの売上としてはわずかな不達だが、同社のQ2予測を注意深く見ている人々にとっては大きい数字だ。アナリストは557億ドルと予測しているが、AppleはQ2の売上を500~530億ドルと見込んでいる。昨年の第2四半期に、同社は580億ドルの売上を記録した ― 即ちAppleの次の四半期は、最近の記憶にある限り初めてのマイナス成長となる可能性がある。株価は時間外取引でも横ばいを続けており、これは第2四半期の弱気の将来予測をアナリストがすでに織り込み済みだったことを意味している。
これはAppleにとって一大事だ。iPhoneは同社にとって常に主要な成長因子であり、iPadの売上が停滞する中、もしこのエンジンが減速するようなら、将来の業績にとって良くない前触れだ。実際、成長エンジンが飽和点に達することは不可避である。しかしAppleは2007年のiPhone発売以来、これを維持し続けている。
AppleはiPadを1610万台販売し、これも予測を下回った。Macの売上は530万台で、アナリスト予測に届かなかった。いずれも、昨年の第1四半期より減少している。既に停滞しているiPadの売上に、iPad Proがどう寄与していくのはまだわからない。
AppleがVRに参入する可能性に関する噂に関して、興味深い指摘がある。CookはVRを「ニッチ」とは考えていない、と語った。「実にクールで、面白いアプリケーションもいくつかある」。
AppleはiPhoneの販売では今もお札を刷っている状態だが、Apple WatchやiPad Proなどの新しいハードウェアで製品の多様化をはかっている。Appleは「その他」カテゴリーで43.5億ドルを売上げており、そこにはApple WatchsとApple TVが含まれている。
AppleのQ1末時点の保有現金は2160億ドルだった。「わが社のバランスシートは究極の状態」とCookは会見で語った。
為替レートは同社にとって引き続き向い風であり、Appleが決算発表で具体的にそれを指摘したほどだ。売上への影響は50億ドルに及ぶと同社は言った。実際、Cookは電話会見の最初にこの言葉を口にした ― 併せて国際経済が直面する他の主要問題も。同社売上の2/3は米国以外からもたらされており、外国為替はAppleにとって強い向い風であるとCookは言った。
「どこを見ても極端な状態が起きている。ブラジル、ロシア、日本… いずれの市場も経済成長の鈍化や物価の下落あるいは通貨の弱体化に影響されている」とCookは言った。「中国はやや取り戻しつつあり、香港は特にそうだ」
今年の株価の動きを踏まえると、Q1はAppleにとって極めて重要な四半期だった。つまるところ、2015年はApple株にとって良い年とは言えなかった。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)