Apple毎年恒例のデベロッパーカンファレンス、WWDCの数あるニュースリリースの一環として、AppleはApp Storeレビュー・ガイドラインを改訂した ― App Storeに申請するアプリが受理されるか却下されるかを事前に判断するために、デベロッパーが利用する文書。Appleの説明によると、ガイドライン内容そのものに変更はなく、「よりわかりやすく」書き、「状況に応じた説明」が加えられたという。残念ながら、定期購読でアプリを収益化する機能の拡大等、新しいApp Storeのルールに関する追加説明は入っていない。
もう一つ注目すべきは、AppleがiOSとMacのApp Storeガイドラインを一本化したことだ。
後者の変更は、Appleがプラットフォームを扱う全体戦略を象徴している。iOS、macOS、tvOS、およびwatchOSが同じ傘の下に統合され、個別の規約文書が必要になるような特異性をなくそうとしている。また、従来のMac AppガイドラインとApp Storeカイドラインを統合することも、規則に多くこ重複があることを考えれば理にかなっている。
改訂された文書で、AppleはMac App Storeアプリ(2.4.5)の専用セクションを設け、アプリがMacとどのように協調して動くか、何をしてよいか、更新、保守が必要なのは何かを説明している。
奇妙なことに、Appleはこの新しいガイドラインの別バージョンを、コミック本形式でも公開しており、その反響は様々だ。
しかし、全体的に見て2つの文書に大きな違いはないというAppleの説明は正しい。規則そのもの ― プライバシー、スパム、ポルノ、その他の有害コンテンツ、暴力、誘拐、メタデータ、支払い、等々に焦点を合わせている ― は同じだ。
定期購読はまだ改訂が必要
ガイドラインには、定期購読を利用するアプリのための、長い専用セクションがあり、注目に値する。
これはAppleがデベロッパーの定期購読で利用できる機能を拡張するという最近のニュースを受けたもので、単なるアプリ内購入や有料ダウンロード以外に、アプリを収益化する一手段として定期購読を使えるようになる。しかしAppleは定期購読の利用方法に関する新ルールを明確に説明する改訂を行っていないため、現在多くのデベロッパーが混乱している。
Appleは、「今秋から適用予定の定期購読の規約変更に合わせて、数週間のうちにこのガイドラインを改訂する予定」とだけ言っている。
言い換えれば、自分たちの定期購読ベースのアプリが受理されるかどうかを判断するためにガイドラインを見ているデベロッパーたちは、まだ待たなくてはならないということだ。
定期購読がApp Storeで使えるようになってからしばらくたつが、利用できる分野は、雑誌、ビジネスアプリ、メディアプル等限られていた。今や人気の高いこのビジネスモデルをより多くのデベロッパーに開放することは、App Storeの売上を促進し、デベロッパーの利益拡大も後押しするかもしれない。
しかしこのニュースは、喜びより、混乱をもって受け止められている。
Appleは、定期購読があらゆるアプリで利用できるようになると言っているが、同社の “What’s News in Subscriptions” ページを見ると、何が許可されるかについて大きな落とし穴が待っている。「全カテゴリーのアプリが対象になるが、このビジネスモデルはどのアプリにでも適しているわけではない」。
例えばデベロッパーは、アプリ保守の資金を集める方法として定期購読を利用できるのかどうか確証がない ― Appleが定期購読に適した事例として提供した、「クラウドストレージや多人数オンラインゲーム(MMOG)のような継続的サービス」では必ずしもないため。もしこれが許されれば、放棄アプリの問題解決に期待がもてる。Appleは、App Storeのアプリが200万本に達したと言ったが、その多くはデベロッパーに時間と金がないために、更新されていない。
Appleは明らかに、ユーザーの利益にならない形で定期購読を使用するアプリがApp Storeに溢れることを望んでおらず、同社の考える正しい方法で定期購読を使わないアプリを受理または拒否する手段を持とうとしている。しかし、デベロッパーの今の混乱は、そもそも定期購読ベースのアプリを作ろうとしないことを意味している。なぜなら、拒否されるかどうかわからないからだ。
願わくば、Appleがこの後「定期購読」セクションの文言をまとめる際に、こうした懸念について考慮してくれることを期待したい。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)