Apple、iOSとmacOSのARM版カーネルをオープンソース化

AppleはmacOSの主要なリリースの後、常にカーネルを公開してきた。このカーネルはiOSデバイス上でも動作する。macOSとiOSが同じ基盤の上に作られているからだ。このほどAppleは、最新バージョンのカーネルをGitHubでも公開した。あわせてカーネルのARMバージョンも初めて目にすることができる。

先へ進む前に、まずはコンピューターの歴史を少し話しておくべきだろう。macOSの最初のバージョン(当初はMac OS Xと呼ばれていた)は2001年に登場した。ベースとなったNeXTSTEPは、NeXTのために作られたオペレーティングシステムだ。スティーブ・ジョブズは1985年にNeXTを創設し、1997年にAppleに売却した。そしてAppleはMac OS Xの基盤としてNextSTEPを使う決断を下した。

NeXTSTEP自身、オープンソースプロジェクトのBSDに由来している。今あなたが使っているかもしれないMacが、オープンソース技術に強く依存している理由はそこにある。それはAppleが毎年macOSのごく小さな部分をリリースする理由でもある。これをコンパイルして自分専用バージョンのmacOSを動かすことはできないが、このカーネルのソースコードに関心を持つデベロッパーもいる。

iOSはどうなのか? 2007年にスティーブ・ジョブズが最初のiPhoneを発表したとき、iPhoneのオペレーティングシステムはmacOSの派生物だと言った。「今日みなさんに、ソフトウェアのブレークスルーをお目にかけます。ほかのどの携帯電話よりも5年以上先を行くソフトウェアです。どうやってそれができたのでしょう? 実はある強力な基盤を元にしました ― iPhoneではOS Xが動いています」ジョブズはそう言った。「なぜ携帯端末にそんな高度なオペレーティングシステムを使うのでしょう? そこには私たちに必要なものが全部入っているからです」

AppleはこのオペレーティングシステムをiPhone OSと呼ぶようになり、後にiOSになった。iOSはフローティングウィンドウがないなどmacOSの完全なコピーではない。しかしiOSとmacOSは、Darwinと呼ばれる同じUnixベースのコアをはじめ多くのフレームワークを共有している。Apple WatchとApple TVも、やはりDarwinに依存するiOSの派生システムを使用している。

そういうわけで、ARMに最適化されたAppleカーネルのソースコードをダウンロードできるようになったことに、さほど大きな意味はない。Appleは、iPhoneのカーネルを公開することでオープンソースコミュニティーのフィードバックをもらいたいのかもしれない。AppleはARMチップで動くmacOSを開発中なのかもしれない。あるいは単なる間違いかもしれない。たぶんAppleはTwitterの反応を見たかっただけなのだろう。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook