Appleが秘かに米国内での電子書籍市場シェアを伸ばしていたことが、現在進行中の電子書籍価格協定訴訟の証言で明かされた。現在同社は米国内電子書籍販売の20%を占めているという(MacRumors発)。これはかつて市場ウォッチャーが推測していた数字の約2倍であり、Amazonの圧倒的な力とは比較にならないものの、Appleがデジタル書籍分野でかなりの位置を占めつつあることを示している。
ニュース全体はAppleにとってマイナスの内容で、同社は政府の主張から自らを守り、iBookstoreに失敗の絡印が押されないよう戦う必要がある。しかしiBookビジネスにとっては良いニュースだ。この秋Mac版iBooksアプリが次期OS X、10.9 Marvericksで提供され、デスクトップでも電子書籍がサポートされれば、さらに成長が見込める。
iBooksがデスクトップにやってくれば消費者も喜ぶ。クロスプラットフォーム戦略は、Amazon、Nook、Koboなどが大きな成果を上げている。MacがサポートされてもAppleデバイスを使っていない人々は取り残されるので、どれほど利用が伸びるのかは不透明だ。しかしiBooks成長の陰に、益々大きくなるAppleの教育界での存在があることは想像できる。iBooksに関連するプロモーションでは、教科書が大きくとりあげられている(WWDCでのOS X版iBooksの展示でも同様だった)。
Mac版iBooksが革命を起こすとしても、それはiPadで読んでいた本の続きを読めるからではない。モバイル端末よりパソコンで本を読みたいと思う人は殆どいないからだ。しかし、教育市場での意味は大きい。インタラクティブ教科書は、様々な面でiOSよりもOS Xで使う方が理にかなっている。長文のメモを取ったり、複数のウィンドウで別々の本を開いたり、複数の情報ストリームを得られることなどパソコンが有利な点は多い。
iBooksは、消費者向け電子書籍プラットフォームの押さえとしてもよくできているが(Appleはより完全なエコシステムを主張できる)、真の永遠の価値は恐らく教育にある。そこではAppleが他のプラットフォームに対して確実に優位性をもっている。他社は電子教科書を作っているだけだが、Appleはそれを正しく実行し、すばやく広げるための教育の血統を持っている。おそらくそれがiBookstoreの成長を支えているのだろう。
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(翻訳:Nob Takahashi)