アメリカ連邦地裁、反トラスト法裁判でAppleに有罪判決―「電子書籍価格操作の共謀と実行で中心的役割」

Appleとアメリカの有力出版社による電子書籍の価格操作の共謀容疑に関して すべての出版社はすでに司法省と和解し、Appleだけが法廷闘争の道を選んでいた。Reutersによれば、今日(米国時間7/10)、 ニューヨークのマンハッタン連邦地裁はiBookstoreの価格操作に関する反トラスト法違反の容疑に関して有罪の判決を下した。また判決で検察側は消費者に代わって損害額を査定し、Appleに賠償を求める裁判を起こすべきだと命じられた。

アップデート: われわれはAppleの広報担当者から以下の声明を受け取った。

Appleはeブックの価格を操作するために共謀したことはなく、この事実に反する訴追に対してあくまでも戦う。2010年にiBookstoreをオープンした際、われわれが目的としたのは、消費者により大きな選択の自由を提供し、当時市場で強く求められていたイノベーションと競争を実現し、 出版産業におけるAmazonの独占的地位を打破することだった。われわれは何ら不正な行為をしていないので、今回の判決に対しては控訴する。

2012年4月に司法省はAppleと出版業界の主要6社を反トラスト法違反としてを訴追した。これに対してAppleは「司法省の主張は根本的に誤りであり、馬鹿げている」と反論した。

出版社6社(ペンギンとランダムハウスの合併により現在は5社) はすべて和解に応じ、Appleだけが法廷闘争の場に残った。EUでのこれに類似したeブック関連の反トラスト法訴訟ではAppleは欧州委員会に対して「有罪を認めないまま和解」の道を選んでいる。

“Appleは価格操作の共謀と実行において中心的な役割を果たしたと認められる

2010年にiBookstoreが発表された際、Appleはストア側ではなく出版社側が価格を設定する、いわゆるエージェンシー・モデルを導入した。Amazonが巨人であり、Appleは新参で、出版社はAmazonによる市場支配を恐れていた。紙の本でもeブックでもAmazonは自ら価格を設定していた。そこで出版社側はAppleに市場シェアを奪い返させ、利益率の向上を図ろうとした。出版社は新刊書についてAmazonの9.99ドルではなく、12.99ドルあるいは14.99ドルに設定した。この値上げに伴ってAppleはiBookstoreだけでなくKindleStoreその他あらゆるeブックストアで同一の価格とするよう出版社に要求した。

Denise Cote判事は「Appleはこの共謀とその実施において中心的役割を果たした。Appleは好機を捉えてきわめて巧妙に動き、エージェンシー・モデルの採用によって誕生したばかりのeブック市場における価格を上昇させた。一部の例では上昇は50%以上にも及んだ」と判示した。PaidContent判決の全文がある。.

Wall Street Journalによればペンギン・グループとハーパー・コリンズは当初Appleの価格設定に反対したが、結局同意した。 出版社はAmazonの価格決定権を奪うためにAppleのiBookstoreを利用し、これに成功した。AppleのKindleコンテンツ担当副社長、Russell Grandinettiはこの訴訟で「出版社はKindleストアからコンテンツを引き上げると脅した。AmazonはやむなくAppleと同様のエージェンシー・モデルに切り替えざるを得なかった」と証言した。

この判決で関連する出版社とeブックストアは向こう2年間、同様のエージェンシー・モデルの採用を禁じられた。

(写真:Casey Hussein Bisson

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Appleの電子書籍シェアは20%。OS X版iBooksは追い風になるか

Appleが秘かに米国内での電子書籍市場シェアを伸ばしていたことが、現在進行中の電子書籍価格協定訴訟の証言で明かされた。現在同社は米国内電子書籍販売の20%を占めているという(MacRumors発)。これはかつて市場ウォッチャーが推測していた数字の約2倍であり、Amazonの圧倒的な力とは比較にならないものの、Appleがデジタル書籍分野でかなりの位置を占めつつあることを示している。

ニュース全体はAppleにとってマイナスの内容で、同社は政府の主張から自らを守り、iBookstoreに失敗の絡印が押されないよう戦う必要がある。しかしiBookビジネスにとっては良いニュースだ。この秋Mac版iBooksアプリが次期OS X、10.9 Marvericksで提供され、デスクトップでも電子書籍がサポートされれば、さらに成長が見込める。

iBooksがデスクトップにやってくれば消費者も喜ぶ。クロスプラットフォーム戦略は、Amazon、Nook、Koboなどが大きな成果を上げている。MacがサポートされてもAppleデバイスを使っていない人々は取り残されるので、どれほど利用が伸びるのかは不透明だ。しかしiBooks成長の陰に、益々大きくなるAppleの教育界での存在があることは想像できる。iBooksに関連するプロモーションでは、教科書が大きくとりあげられている(WWDCでのOS X版iBooksの展示でも同様だった)。

Mac版iBooksが革命を起こすとしても、それはiPadで読んでいた本の続きを読めるからではない。モバイル端末よりパソコンで本を読みたいと思う人は殆どいないからだ。しかし、教育市場での意味は大きい。インタラクティブ教科書は、様々な面でiOSよりもOS Xで使う方が理にかなっている。長文のメモを取ったり、複数のウィンドウで別々の本を開いたり、複数の情報ストリームを得られることなどパソコンが有利な点は多い。

iBooksは、消費者向け電子書籍プラットフォームの押さえとしてもよくできているが(Appleはより完全なエコシステムを主張できる)、真の永遠の価値は恐らく教育にある。そこではAppleが他のプラットフォームに対して確実に優位性をもっている。他社は電子教科書を作っているだけだが、Appleはそれを正しく実行し、すばやく広げるための教育の血統を持っている。おそらくそれがiBookstoreの成長を支えているのだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi)