AppleとSamsungは長年にわたる非対称なライバルであり、スマートフォン市場でしのぎを削る一方で、チップに関しては提携関係にある。The Electronic Timesの最新記事によると、TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)が次期iPhoneで唯一のA10製造業者になる。Samsungは次期iPhoneではAppleと取り引きをしないことになる。
これは一夜のうちの変更ではなく、AppleはこれまでにもTSMCと仕事をしてきている。iPhone 6sおよび6s PlusのA9チップは、現在TSMCとSamsungの両社が製造している。それ以前、TSMCはiPhone 6、6 PlusのA8の単独供給元だった。
複数の製造パートナーを用いることには様々な利点がある。第一に、供給不足の心配がなくなる。Appleが四半期に何千万台ものiPhoneを売ることを考えると、SamsungあるいはTSMCが単独で十分なチップを供給できるかどうかは疑問だ。SamsungとTSMCは他の携帯電話用チップも製造している。
第2に、複数のメーカーと交渉することによって有利な価格を得られる。Samsungの方がTSMCより高いのかどうかはわからないが、AppleはA10が巨大な契約になることから価格を引き下げることができる。
そして、Appleは最も効率のよい設計を選べる。TSMCのA9は、バッテリー寿命に関してわずかに優れていた。このためAppleがTSMCを選んだのにはこの理由もあるかもしれない。
Electronic Timesによると、TSMCは今秋のiPhone 7発売に備えて6月にA10の生産を開始する。設計には10 nmが採用されるかもしれない。A10の詳細を知るにはiPhone 7の分解を待たなくてはならない。
一般ユーザーにとって、iPhoneチップの製造元がTSMCであるかSamsungであるかよる大きな違いはない。どちらの会社もAppleの独自CPU設計を実装している。しかしSamsungのチップ事業は、この契約がなくなると大きな打撃を受けるかもしれない。
Via 9to5mac
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)