Apple App Storeのアプリ拒絶方針がやや緩和、ただしチャートのランクを操作しようとするものは依然厳禁

App Storeにおけるアプリの承認基準の最近の変更方針をめぐって、モバイルアプリのデベロッパ間に議論と懸念が広まっている。いくつかのフォーラムの投稿などを見ると、すでにAppleは、ビデオ広告を見ることやソーシャルな共有に対して報酬を提供するアプリの、拒絶を開始しているようだ。

しかしまた一方では、新たな変化があるらしい。

ビデオ広告業界の情報筋によると、このところ、上記に関連したアプリの拒絶が減少し、新しい方針が撤回されたかのような感触がある。

さらにまた、初期の、より問題の多かった拒絶が解除されて、アプリがApp Storeの棚に戻りつつあるらしい。

どうやらAppleのアプリ審査部署は、報奨によってユーザにそのアプリをレビューさせたり、格付けさせたり、ほかのアプリをダウンロードさせるようなアプリは、今後も拒絶していくようだ。そのような報奨は、App Storeのトップチャートに影響を及ぼすからだ。

しかし上記のような行為を伴わずに、単純にビデオを見るだけで報酬がもらえるビデオ広告は許容される。また、そのアプリに関する記事をソーシャルメディアに投稿したら報酬が得られるものでも、OKだ。

そしてまた、デベロッパが自己のアプリやほかの人たちのアプリを宣伝しているだけのビデオ広告はOKだが、その中で実際にアプリをダウンロードさせて報奨を提供するものは、ノーだ。

報奨のあるビデオやソーシャル共有とは?

今日では、ビデオ広告企業というものが数多くあって、デベロッパがお金を得たり、自分のアプリを見つけてもらうための広告を提供している。それらの企業は、AdColony、Applifier(Unity)、Flurry、TapJoy、SupersonicAds、Vungle、AppLovin、Sponsorpay、NativeX、などなど々々だ。そしてそれらのビデオ広告の多くが、ほかのアプリの広告だ。

デベロッパは、そういう報奨つきのビデオ広告を自分のモバイルゲームの中で利用し、ユーザがそのビデオを見てくれたことへの報酬として、仮想通貨やそのほかの特典を与える。そのビデオ広告に登場するアプリやゲームも、露出が増えるという利益を得るし、ときには、新しいユーザが実際にそのアプリ/ゲームをダウンロードしてくれることもある。

そのような報奨を、ビデオ広告の視聴だけでなく、アプリのソーシャルな共有に対しても提供しているアプリが少なくない。たとえばCandy Crushはメッセージを表示して、Facebookにポストしたら寿命が延びますよ、とユーザを誘う(この場合、ゲーム中の“延命”が報奨である)。

デベロッパはこの方法で露出を増やし、混み合っていて自分を目立たせることが難しいApp Storeで、ユーザ獲得の機会を少しでも増すことができる。しかし一方で、これらの報奨提供メッセージなどは、ゲームに集中したいユーザにとって、邪魔、うるさい、というデメリットもある。そしてAppleがとくにまゆをひそめるのが、これらのテクニックの濫用によって、App Storeのチャートの順位が人為的に変わってしまうことだ。

エンドユーザの感じ方には、好悪両面がある。ビデオの視聴や共有をうるさく勧誘されるのはいやだ、という感じ方と、実際にお金を払わなくても仮想通貨をもらえるのは嬉しいな、という感じ方。

再び変化のきざしが

アプリが拒絶されるというニュースがあっちにもこっちにも載るようになってから、デベロッパの不安が広がった。濫用のレッテルを貼られるほどこの方法を多用しているデベロッパは、あまりいなかったし、しかも強制ではなくオプトイン、すなわちユーザの自由意思だ。しかしAppleは、その強権を揮って、デベロッパの…ときには唯一の…収入源をカットするというのだ。

しかし実際には、ビデオ広告が一律に禁じられるわけではない。自分のアプリや、ほかのアプリ、あるいは一般的なブランドや商品のビデオ広告があってもよいし、それらを見てくれた人に報酬が提供されてもよい。ただ一ついけないのは、広告の上で直接、アプリをダウンロードできて、それに対する報奨があることだ。

ビデオ広告のプロバイダたちが実際に調べたところによると、アプリ拒絶のニュースが発表された直後に比べて、最近では拒絶されるアプリの数が大幅に減少している。

結論: いけないのは「ランクの操作」

どうやら、実際にはいろんな複数の方法が併用されていたり、報酬や報奨の厳密な定義を見つけることが難しい、という問題が(Appleのアプリ審査部内に)あったようだ。一部には報奨制の濫用と呼べるほどの、露骨でどぎついアプリが実際にあるかもしれない。しかし、良識的で大まかなルールはこうだ: App Storeのチャート上のアプリの順位を変えることを主目的として報酬が(すなわち報奨として)提供されているものはダメ。

そもそも、噂では、ビデオ広告視聴/ソーシャル共有に対する報奨のあるアプリを拒絶するという話は、AppleのiAdのチームが言い出しっぺだという。また一方で、それはない、という説もある。いずれも、真偽のほどはわからない。

ただ一つ真実なのは、今デベロッパたちは懸命になって、自分のアプリをダウンロードしてもらい、超混雑のApp Storeでランクを上げるための、新しい方法を探していることだ。

この秋リリースされるiOS 8は、アプリの発見という問題をいくつかの方法で解決しようとしている。それらは、”Explore”セクションの改良、サブカテゴリの導入、関連項目を提案する検索、検索のトレンド、アプリのバンドル、デベロッパがキャンペーンの効果を分析する方法の改良、などなどだ。でも、ユーザに単純にご褒美や謝礼をあげてアプリのランクを上げる行為をしてもらう、という、これまでの、あまりにもわかりやすい方法は、簡単にできるからこそ、一部のデベロッパにとってはなかなかやめられないのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))