Appleの年の瀬コマーシャル“The Song”には、多くの人が感動したようだ。まあそういうCMを作るのが一年のこの時期の慣例だけど、でもあれが語っている製品に関するお話は、Appleの今の製品系列の多くに通ずるクリエイティブな労作だ。同社が今日発表したあのコマーシャルの‘メイキング’ビデオは、Appleの最先端技術と、非常に初期の、骨董品のような録音機を結びつけることによって、あの感動の作品が作られたことを物語っている。
コマーシャルの主人公が見つけた“ヴィンテージ”ふうの録音は、実は現在のレコーディングアーチスト(プロの歌手)が吹き込んだものだが、全体は美術さんと音響さんの努力によって、いかにも40年代ふうに見えるし聞こえる。今の証明写真ブースのような録音ブースが観光地の遊歩道などに置いてあって、そこへぶらりと入った旅行者が自分の声を90秒録音してレコードを作る。そうやって録音された若き日のおばあちゃんの歌声を、CM中の若い女性がMacの上でリミックスする。
Appleがこのメイキングビデオで指摘したいのは、当時の録音ブースが与えた社会的インパクトと、Appleの技術との相似だ。人びとが、録音された自分の声を初めて聴く。そしてGarage Bandでは、スタジオの技術者ではないアマチュアが、自分の曲を録音して世界と共有できる。CMの最初で40年代の録音ブースが登場したときは、頭の中が???になった方も多いと思うが、それでもなおAppleとしては、この見事な比較により、高度な技術の民主化/大衆化という同社の特技を、今年のクリスマス商戦でも売り込みたいのだ。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))