Atlassianは、クラウドとデータセンター両者の、いわゆる‘良いとこ取り’を考えていて、今日(米国時間10/12)行われたAtlassian Summitでは、同社のデータセンター+クラウド方式を拡大する新製品を発表した。
今は企業ITのクラウドへの移行が進んでいるから、そんな中で、クラウドとオンプレミスの二股を張るのは奇妙にも見えるが、しかしAtlassianから見れば、そんなハイブリッド方式こそが、未来のリスクに対する正当なヘッジなのだ。
同社は、開発やそのほかの部門のチームワークを助けるさまざまなツールを作ってきた。それらの主なものは、 HipChat, Jira, Confluence, BitBucketなどだ。しかし近年はデプロイのサイズが急騰し、今では5万名のユーザーがJiraを使っている企業もある。そしてAtlassianの社長Jay Simonsによると、クラウドでそんな大型のデプロイを行うことを、〔セキュリティなどの面で〕落ち着かないと感じている顧客企業も一部に存在する。
そんな企業の需要に応えるために同社は、数年前にデータセンター向けの製品ラインを導入し、そして今日、そのラインを拡大してHipChat Data Centerをベータで含めることになった。HipChatは、SlackやFacebook Workplaceなどと競合する企業向けチャットツールで、いわゆるエンタープライズメッセージングサービスの一種だ。
データセンター向けのHipChatすなわちHipChat Data Centerとは、クラウドからではなく企業ユーザー自身のインフラの上で動くメッセージングアプリだ。Simonsによるとそれは、自分たちのソフトウェアは自分たちのインフラで動かしたい、という企業向けの製品だ。
さらに同社は今日、Jira Software Data Centerを、システムを停止せずにアップグレードできる機能を発表した。Jiraを使ってミッションクリティカルなプロジェクトを管理しているところは、ダウンタイムがそのまま損失につながる場合もあるので、この機能はとくに重要だ。
Simonsはこう説明する、“オンプレミスの場合の問題は、アップグレードするときオフラインにすることだ。そこでわれわれは、システムをオフラインにせずにアップグレードできる機能を加えた”。
そして、自分のデータセンターではなくクラウドにデプロイしたいユーザーのためには、データセンターからAmazon Web Servicesへの移行を支援するサービスを改良した。
こうやってクラウドとオンプレミスの両方のプロダクトをメンテナンスしていくことは、難しいと同社は認める。しかし、にもかかわらず、デプロイの仕方に関して顧客に選択肢があることは重要だ、と。
Atlassianは10年連続で黒字という、優良企業だ。売上の主軸はWebサービスだが、オンプレミスのためのプロダクトをWebで展開するのは、クラウドに対するそれに比べると難しい。同社は昨年12月に、2億1000万ドルを調達したあと、上場した。現在の同社の時価総額は、60億ドルを超えている。