Coinbase(コインベース)は、OpenSea(オープンシー)など既存の主要プレイヤーに対抗するNFT(非代替性トークン)マーケットプレイスの起ち上げを準備しており、年内に予定しているローンチに向け、早期アクセス用順番待ちリストへの登録が可能になったことを、米国時間10月12日に発表した。
Coinbaseは、近日中に提供を始めるこのプラットフォームについて、現時点では詳細を明らかにしていないものの、ブログ記事の中では、ソーシャルメディア機能をより深くプラットフォームに統合したいと述べている。「Coinbase NFTは、NFTの創作、購入、展示、発見をこれまで以上に簡単にします。複雑な仕組みは舞台裏に隠した直感的なインターフェースを構築することで、NFTをよりアクセスしやすいものにします。また、交流や発見のための新たな道を開くソーシャル機能を追加します」と、同社は書いている。
Bitcoin(ビットコイン)が、Coinbaseの直接上場時に記録した史上最高値に迫っているにもかかわらず、Coinbaseの株価は、この分野で最も人気のある暗号資産(暗号資産)の成長回復に追いつけず、4月の直接上場以来約27%の下落となっている。この暗号資産取引所は、同時に規制当局からも睨まれており、最近ではSEC(米国証券取引委員会)が「Lend(レンド)」という融資商品に関して同社を提訴すると圧力をかけ、発売を中止したこともあった。また、Robinhood(ロビンフッド)のような取引アプリが暗号資産への対応を強化したこともあり、Coinbaseはますます激しさを増す暗号資産売買業界の競争に対処を迫られている。
NFTが高額なデジタルコレクションやアートを求める投資家の関心を集め続ければ、Coinbase NFTは上場会社となったCoinbaseに大きな収益源をもたらす可能性がある。2021年初めに急騰し、8月に再び盛り上がったNFT市場は、多くの人が予想していたよりも回復力を見せているが、すでに大きく変動している暗号資産の値段よりも、依然としてさらに激しい変動が見られる。OpenSeaは、8月に34億ドル(約3860億円)もの取引量を記録した。
CoinbaseはEthereum(イーサリアム)ブロックチェーンのサポートを開始しており、そこでNFTの展開を始めるということはそれほど意外ではないが、Coinbase NFTの開始時には、レイヤー2のスケーリングネットワークとの統合は行わないとしている。つまり、Coinbase NFTのユーザーは、高額なガス代を支払い、Ethereumメインネットのスケーラビリティ問題の多くに対処しなければならない可能性があるということだ。
Coinbaseはブログで、いずれ「マルチチェーン」サポートを導入する予定と書いているが、Coinbase NFTのローンチ時にはEthereum標準のERC-721とERC-1155規格のみをサポートする。競合のOpenSeaは最近、Polygon(ポリゴン)ネットワークを活用した大幅に低コストな取引のサポートを開始している。
OpenSeaはこの分野で強大な勢力を持つが、Coinbaseが競合しなければならない唯一のプレイヤーというわけではない。ライバルであるBinance(バイナンス)やFTXも、最近NFT市場エコシステムへの参入を発表している。多くの暗号資産投資家がNFTの可能性はまだ表面に現れてきたばかりと見ているものの、Coinbaseは間もなく競合する他社よりも、かなり遅れて参入しようとしている。とはいえ、コンシューマー・クリプトの世界におけるCoinbaseの知名度を考えると、その参入は大きなものになりそうだ。
画像クレジット:Steve Jennings / Getty Images
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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)