CtoCサービスが成長する”カギ”は何か? Baixing、メルカリ、Stores、ジモティーが語る

冒頭の画像を見てほしい。この写真は何か?これは米国のクラシファイドサービス(「売ります」「買います」をはじめとした個人広告を掲載するサービス)「craigslist」の1ページである。craigslistでは様々な分野の個人広告が掲載されているが、その1つ1つが、実は今、スタータップが提供する特化型のCtoCサービスに置き換えられつつある、ということを示している。

北海道・札幌で5月22日から23日にかけて開催中の招待制イベント「Infinity Ventures Summit 2014 Spring(IVS)」の第3セッションAでは、そんなCtoCサービスの事業者4社——Baixing.com CEOのJianshuo Wang氏、ジモティー 代表取締役社長の加藤貴博氏、メルカリ 代表取締役社長の山田 進太郎氏、ブラケット 代表取締役の光本勇介氏が登壇。インフィニティ・ベンチャーズLLP 共同代表パートナーの田中章雄氏がモデレーターを務める中で、それぞれのビジネスについて語った。セッションの前半は各社のサービスが紹介されたが、ここではセッションの後半のディスカッションについて紹介していきたい。

CtoCサービスはどうやって集客するのか

メルカリが手がけるのは、スマートフォン向けフリマサービス「メルカリ」だ。先日14.5億円の資金を調達し、現在テレビCMも開始している。山田氏は、CMでユーザーが増加したこと自体は否定しないが(CM効果について他社の事例を挙げると、先日調達を終えたアカツキなどは、2週間のテレビCMで70万ユーザーが増加したという話だった)、「プロダクトこそが非常に重要」と断言した。当然と言えば当然かもしれないが、やはりプロダクトが命となる。メルカリではスマートフォンに特化し、素早く手軽な操作で出品、購入できるフリマサービスを目指しているという。誰もが迷わず操作できるプロダクトを作ることこそが重要だと語る。

オンラインショップ構築サービス「STORES.jp」を提供するブラケットの光本氏は、「まだ自分たちでも答えが見つけられていない」と語る。STORES.jpの出展数は10万店舗。単純に店舗数だけを比較すれば4万店舗超の楽天を超えている数字だ。しかし店舗の性質も違うし、SEOやリスティング広告などを含めて、コストをかけたマーケティングを展開している。なので同じことをしてもどこまで成果が出るかというと難しい。そのためStores.jpでは、店頭販売できるパッケージ商品を作るということから、さまざまな集客の施策を作っているそうだ。

craigslistのようなクラシファイドサービス「ジモティー」を展開するジモティーの加藤氏は、そもそも「クラシファイド」という言葉自体が日本で一般的ではないため、言葉としては「(売ります買いますを投稿できる)掲示板」としてアピールしていった方がユーザーとの親和性が高いと判断したという(ちなみにジモティーのユーザーは40代以上が62%となっており、ITリテラシーも比較的低いそうだ)。サービス開始当初は,「社員の友人に声をかけてサービスを紹介する」といった人海戦術で集客を始めた時もティーだが、結局重要なのは「リピーターをどれだけ作るか」ということだと思い、ユーザーがどうやって成功体験を得られるかに注力しているそうだ。

中国でクラシファイドサービス「Baixing.com」を展開するWang氏も、口コミの重要性を語る。広告経由のサイト流入は実は全体の5%程度で、ほとんどはオーガニックなサイト流入なのだという。ちなみにBaixing.comで最も人気のある商品は中古車で、実に中国で流通する中古車の30%が同サービスを通じてやりとりされているそうだが、中国の中古車市場では安価な部類に入る1万ドル以下のものを取り扱っているそうだ。こういった商品は安価すぎて中古車ディーラーだと扱いたがらないそうだ。

リリース時期、ユーザーヒアリング、機能——カギになる施策は?

セッション後半、会場から「どういった施策が成功のカギになったのか」という質問が4社に投げられた。

アプリを4月に提供したメルカリ。先行するサービスとしては、女性に特化したFabricのフリマアプリ「Fril」などもあったが、「競合も出てきたが、タイミング的にも早く動けたことがよかった」(山田氏)と語る。

ユーザーインタビューの重要性を語るのは加藤氏だ。「社内の意見とユーザーの声は実は合っていなかったりする。例えばサービスのリッチ化は、実はユーザーのニーズと乖離していることもある」(加藤氏)。この話はなにもCtoC領域に限ったことではないだろう。

光本氏は、1つに絞れないとしながら、これまでの常識を超えるようなサービスの付加がポイントだったと語る。Stores.jpでは、ユーザーが複数店舗で商品を購入する場合でも、一括での決済ができるようにしたし、商品撮影や倉庫利用も基本無料で提供を開始した。こういった施策も、集客のフックになっているそうだ。

「シンプル」こそが大事だとするはWang氏だ。加藤氏の話にも近いが、サービスが複雑になりそうなとこには、まず原点に戻ってシンプルにするのだという。Baixing.com自体も、ユーザーに4つのテンプレートを作るだけで個人広告を出せる仕組みを導入しているのだという。


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TechCrunch Japan

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